第15話.回想
長くも短くもない、それなりの期間過ごした自身の部屋を見渡す。
朝部屋を出た時からほとんど変わっていない。侵入した形跡はあるが、荒らされてはいない。最低限の確認だけはした、といったところか。
机の中は漁られていないようだ。
見られて困るものは入っていない。今回の爆破計画も、前々から計画しており紙に起こしたことはあるが、すぐに破棄したので誰にも見られていないとは思う。
壊されると困るものはある。
一直線に机へと向かい、小さな記録媒体を取り出す。
これは、思い出の記録。あの時から一度も見ていないが、今でも鮮明に思い出せる。
ビルの屋上からの風景。吹き荒れる風。最後は投げ捨てられて記録が止まる。
泣きそうな、あの最期を映した映像は脳裏から離れない。
死んでしまった、そのことに後悔はない。だって後悔したって見当違いだ。選んだことを否定したくない。人のためにやったこと、その「人」がたとえ自分自身であったとしても、その覚悟を否定するのは違う。
でも、泣かせてしまった。そのことに後悔はある。中途半端な行動や不甲斐なさが招いた結果だ。
……あのころの自分に問いたい。はたして命を投げ出す覚悟はあったのか、と。
本気で世界を変えるつもりだったのか、と。
もし、もしもあの時に本当に覚悟があったならば変わっていた、のだろうか。
──さぁ?やっぱり……わかんないや。
次に、一番楽しかった瞬間を思い出す。
……やっぱり、みんなで立てこもったあの日、かな。
これまでになかった一体感、今までできなかった反撃ができる。何にもとらわれず、何にもおびえずに自分を主張できた。
あんな日が日常になればとは思わない。
でも、あれを子供が遊びとして行える日が来れば、と思う。
……流石にあそこまで大規模だと困るか。
せめて、常に型にはめられたあの窮屈な状態から抜け出せる「わるふざけ」を、気軽にできるようになってほしい。
例えば……黒板消し落とし……は危ないからだめか。う~ん、なんだろう。席を入れ替えてみたとか?
いままでなら絶対に叱られていた。「悪ふざけはやめろ」といった注意で済むなら生ぬるい。戸籍詐称や詐欺といった、本当に言いすぎなのではないか、と心配になるところまで詰める先生だっていた。
──席を入れ替えて、バレて、クラス全員で笑う。いや、バレる前から、生徒の間でクスクス笑いあう。先生が怪訝な顔でこちらを向いて、全員が真面目に受けている風を装う。そして先生が向こうを向いたら、笑った人を小突く。で、ようやくバレる。
──そんなことが、時々ある日常が来ればいいと思う。
……今から教師を目指すのも案外悪くはないのかもしれない。
……絶対になれないことは分かっているが。
悪い記憶の方が鮮明に思い出せる。一番自分がどん底にいると感じていたのはあの車内にいるときの事かな。
──少し、過去の事を思い出しただけで、他の事もこんなに出てくるなんて。やっぱり、捨てきれてないんだなぁ、って──
──そうやって過去の思い出に耽るうちに、だんだんと意識が薄、れ て ────




