表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辞訣  作者: 白空


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/12

第1話.蜂起

裏話(?)はTwitter(現X)にて「@shirazora_work」で!

『政府直営「改心・更生プログラム」用施設』、俗称『犯罪者収容施設』でのお話。



―――――――――――――――――



 テレビに映し出された光景を見ながらため息をつく。映し出されているのは今まさに自分が住んでいる団地を上空から映した映像。しかしながら、その様子はいつもとは全く異なる。

 ──別に上空からこの建物を見たことはないのだが、少なくとも現代日本で見ていい光景ではない。


 重火器を持った暴徒による建物の占拠。


 大きな爆発音とともにテレビが暗転する。どれだけチャンネルを変えども「受信できません。アンテナの設定や接続をご確認ください。」と映るのみである。……どうやらパラボラアンテナが爆破されたらしい。


 使い物にならなくなったテレビの電源を切り、窓の外に離れゆくヘリを見つめる。

 屋上に銃口──それも長物のごついやつ──と人影を見つける。目の前にある転落防止用と銘打った柵がこちらを隠せているとは思えないし、ましてや銃弾を防げるかどうかなんて考えないほうが良い。無駄に強度だけがあってスカスカすぎる。窓際の電球の取り換えの際にはお世話になったが。


 外からの視覚に身を隠しつつ、今後の動きを考える。何も考えずに動けば、殺される。ここで向こうからのアプローチを待っていたとしても、暴徒の手中に落ちて破壊活動に勤しむことになるだろう。


 外に逃れようにも暴徒として国家権力にまた殺されるだろう。

「暴徒と見分けがつかかった」「危険が外部に及ぶ可能性があった」とか言って。

 ……やはり、保護されるのは癪だ。


 単騎での制圧は不可能だろう。この狂った作戦────命を賭けた作戦に付き合う奴はいないだろう。誰かがやりたいと言えども許しはしないが。この片道切符は誰にも渡さない。


 ……相手は武装をしている。考えるよりも先に武器(自衛手段)を持つべきだ。もう犯罪には手を染めないだなんて言ってられない。


 通常の、正規のルートで手に入れられるのは包丁が限界だ。当然だが包丁程度で太刀打ちできる人数ではないだろう。一対一であるならば勝機はあるかもしれないが、複数人に乱射されてしまえばいずれ確実に詰みが来る。


 ……はぁ。遂にこの時が来た、といえばよいのか。やっと、この時が来た、と喜べばよいのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ