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第3話「石神神社の縁結び」

 結愛の動画が公開されたのは、旧校舎での撮影から3日後だった。

 簡単な動画編集をして完成したタイトルは、『【本物の心霊現象】廃校でピアノが勝手に演奏!?ガチで怖すぎた件』。

 蓮は自分の部屋でその動画を見ていた。

 

 確かに、ピアノが勝手に演奏している映像は迫力があった。

 結愛の驚きの声も、演技ではない本物の恐怖が伝わってくる。

 動画の再生回数は、いつもの3回から一気に1500回まで上がっていた。

 

 コメントも増えている。

 

『マジで怖い』

『これ本物じゃない?』

『続きが見たい』

『どこの廃校?』

 

 蓮は複雑な気持ちになった。

 結愛の努力が報われたのは嬉しい。

 でも、この成功が次の危険を招くことも分かっていた。


 結愛には動画編集の時に「絶対に真似しないでください」という注意喚起はした。


 最後の霊は危険だ。

 被害者が出ないように事前に伝えるべきと蓮は考えた。

 

 翌日の昼休み、結愛は興奮状態だった。

「蓮、見て見て!」

 結愛はスマホの画面を蓮に向けた。

 チャンネル登録者数が50人になっていた。

 

「ついに1人じゃなくなった!」

 結愛の目がキラキラ輝いている。

 

「よかったね」

 蓮は微笑んだ。

 結愛の喜びを見ていると、自分も嬉しくなる。

 

「コメントもいっぱい来てるの」

 結愛は嬉しそうにコメント欄を読み上げた。

 

「『次はどこに行くの?』って聞かれてる!」

 蓮の胸がざわついた。

 やっぱり次を求めている。

 

「結愛……」

 蓮は、もう勘弁してくれ。という顔をしている。

 

「次はもっとすごい場所に行きたいな」

 結愛の目が遠くを見つめていた。

 

「石神神社って知ってる?」

 石神神社。プロットで予定していた次の場所だ。

 

「あ、うん……知ってる」

 

「縁結びで有名な神社なんだけど、夜は心霊スポットとしても有名なの」

 結愛は既に調べていたようだ。

 

「今度の土曜日、一緒に行ってくれる?」

 蓮は迷った。

 断りたい気持ちと、結愛を一人で行かせたくない気持ちが混在する。

 

「お願い!」

 結愛の上目遣いに、蓮は負けた。

 

「……分かった」

 

「やった!」

 結愛は小さくガッツポーズをした。

 

 でも蓮は、最近気になることがあった。

 旧校舎での出来事以降、霊感がより敏感になっている気がする。

 学校にいても、以前より多くの霊が見えるようになった。

 昨日も、体育館の隅に昔の生徒らしい霊がいるのを見つけた。

 今まで気づかなかった霊が見えるようになっている。

 

(これって、大丈夫なのかな)

 蓮は不安になった。

 でも、霊感が強くなりすぎるのは、悪いことばかりではない。


 その夜、蓮は再び電柱の前でおばあさんの霊と話していた。

 

「石神神社ですか……」

 おばあさんは心配そうな表情を見せた。

 

「あそこは複雑な場所よ」

 心配の顔から真剣な表情になった。

 

「複雑?」

 

「昼間は縁結びの神様として親しまれているけれど、夜は違う顔を見せるの」

 蓮は身を乗り出した。

 

「巫女さんの霊がいるのよ」

 

「巫女さん?」

 

「私がまだ若い頃にいた巫女さん。とても美しい方だったけれど、若くして亡くなったのよ」

 おばあさんの声が少し悲しげになった。

 

「その巫女さんは、縁結びの力を持っている。でも……」

 

「でも?」

 

「縁結びさせたくなるの。特に若いカップルを見ると」

 蓮は青ざめた。

 

「もしも巫女さんがあなたたちを『カップル』じゃないと思ったら……」

 

「どうなるんですか?」

 

「強制的に結ばれようとするわ……そして、最終的には必ず決裂する運命になるのよ」

 蓮の顔が赤くなり、青ざめる。

 結愛と強制的に結ばれる?

 最後には決裂……別れるってことか。

 

「それに、あなたの霊感、強くなってきているでしょう」

 おばあさんの指摘に、蓮は驚いた。

 

「どうして分かるんですか?」

 

「霊感が強い人は、オーラが見えるのよ。あなたのオーラ、前より明るくなっている」

 蓮は自分では分からなかった。

 

「霊感が強くなると、霊からも注目されやすくなる。気をつけなさい」

 おばあさんの警告が、蓮の心に重くのしかかった。

 

「でも、行かないわけにはいかないんです」

 

「そうね……」

 おばあさんは考え込んだ。

 

「ならば、お揃いのアクセサリーを持って行きなさい。それと、絶対に0時を過ぎるまでいてはだめよ」

 

「はい」

 

「あの巫女さんは、基本的には優しい方。でも、恋愛に関しては少し……いえ、かなり過激なの」

 蓮は複雑な気持ちになった。

 ペアルック……巫女の縁結びを回避するためとは言え……。

 結愛に誤解されたら、どうしよう。


 土曜日の午後、蓮は結愛との待ち合わせ場所に向かった。

 リュックの中には、おばあさんのアドバイス通りお揃いのアクセサリーを用意していた。

 シンプルで暗くなっても分かりやすい少し光る白色のブレスレット。ペアっぽく見えるように、同じものを2つ買った。

 

「蓮!」

 結愛が手を振りながら駆け寄ってくる。

 今日はいつもより気合いの入った服装だった。


「準備OK?」

 

「うん。あ、これ」

 蓮はブレスレットを差し出した。

 

「ブレスレット?」

 

「動画再生が伸びたお祝い。それに光るから暗くなっても迷子にならないでしょ?」

 蓮は頬を掻きながら説明した。

 本当の理由は言えない。

 

「わあ、ありがとう!……でも、私は迷子になったりしないから!」

 結愛は嬉しそうにブレスレットを腕に付けた。

 

「お揃いって、なんかドキドキするね」

 結愛の言葉に、蓮の頬が赤くなった。

 

「じゃあ、行こう」

 二人は電車に乗って石神神社へ向かった。


 石神神社は、山の中腹にある小さな神社だった。

 参道には縁結びのお守りを売る露店が並んでいる。

 

「うわー、すごい人!」

 結愛は興奮した声を上げた。

 確かに、多くのカップルや女性グループが参拝に来ていた。

 縁結びの神社として有名なだけある。

 

「まずは普通にお参りしてから撮影しよう」

 蓮の提案に、結愛は頷いた。

 

 拝殿の前で、二人は手を合わせた。

 蓮は心の中で祈った。

 

(今日は何事もなく終わりますように)

 

 結愛は何を祈っているのだろう。

 横顔を見ると、真剣な表情で目を閉じている。

 参拝を終えると、結愛は撮影の準備を始めた。

 

「えーっと、皆さんこんにちは!YUAです」

 結愛の明るい声が境内に響く。

 音楽室の動画では実名対策に名前を漢字にするのではなくローマ字でテロップを入れた。

 声を編集したり、その部分だけカットするのは嫌と結愛に言われたので仕方なくそういう方法を取った。

 あとは服装も学生服などの個人や学校を特定ができるものは着ないように話した。


「結愛の真っ直ぐなところも良いけど……ノーガードすぎる……僕がしっかりしないと」

 小声で呟く蓮の声は、撮影に集中している結愛には聞こえなかった。

 

「今日は石神神社に来ています!ここは縁結びで有名な神社なんですが……」

 結愛は神社の歴史を説明しながら撮影を続けた。

 

 昼間の石神神社は、普通の観光地だ。

 でも蓮には、拝殿の奥から視線を感じていた。

 まだ霊の姿は見えないが、確実に何かがいる。

 

「今は昼間だから普通の神社だけど、夜になると雰囲気が変わるって噂なんです」

 結愛の言葉に、蓮は緊張した。

 

「それでは、夜まで待ってみましょう!」

 結愛は撮影を止めた。


 それからぶらぶらと時間を潰したりYouTubeの再生数について話し合っていると、夕方になった。

 観光客の数が減っていった。

 露店も片付けを始めている。

 

「そろそろ夜の撮影を始めようか」

 結愛は待ちきれない様子だった。

 蓮は周囲を見渡す。

 

 昼間感じていた視線が、より強くなっている。

 そして、拝殿の奥に薄っすらと人影が見えた。

 白い装束を着た女性の霊。

 おそらく巫女さんだろう。


 けれど、肌が寒くはならない。

 まだ安全だと感じた蓮は肩の力を少し抜く。

 

「結愛、僕の近くにいて」

 

「うん?大丈夫だよ、ここは神社だし」

 結愛は蓮の心配を軽く受け流した。

 

「それでは、夜の石神神社を探検してみましょう」

 結愛はライトを照らしながら撮影を始めた。

 

 すると、境内の雰囲気が一変した。

 昼間の穏やかな空気が消え、何かざわめくような気配が漂い始める。

 

「うわ、急に寒くなった」

 結愛が震え声で言った。

 

 蓮には見えていた。

 巫女の霊が、拝殿から出てきたのだ。

 

 美しい女性だった。

 長い黒髪に白い装束。

 でも、その目には異様な光があった。

 

 巫女の霊は、蓮と結愛を見つめている。

 そして、二人の腕に付けられたお揃いのブレスレットに気づいた。

 巫女の霊の表情が、にっこりと微笑んだ。

 

(セーフ……か?)

 蓮は直感した。

 巫女の霊は、二人をカップルだと思っている。

 

「えーっと、なんか空気が変わりましたね」

 結愛は実況を続けていた。

 

 その時、境内の灯籠が1つずつ点灯し始めた。

 本来なら電気で点くはずの灯籠が、炎のような光で照らされている。

 

「うわあああ!」

 結愛は本当に驚いた。

 

「灯籠が勝手に!これはすごい!」

 でも蓮は、巫女の霊の意図を理解していた。

 

 これは歓迎の儀式だ。

 カップルを祝福しようとしている。

 巫女の霊が口を動かした。

 

『美しい二人……永遠に結ばれますように』

 蓮にだけ聞こえる声だった。

 すると、境内に鈴の音が響き始めた。

 美しい音色だが、どこか不気味でもある。

 

「鈴の音が……どこから?」

 結愛はキョロキョロと辺りを見回した。

 巫女の霊が両手を上げた。

 その瞬間、境内に花びらが舞い散り始めた。

 桜の花びらが、季節外れの6月に舞っている。

 

「きれい……」

 結愛は思わず見とれていた。

 でも蓮は、状況の異常さに気づいていた。

 歓迎だけでここまでしてくれる理由ってなんだ?

 

 まだ残っていた男女のグループが異様な光景に近づいてくる。


 巫女の霊は動作を止め、じっとそのグループを見ていた。

 そして何かの言葉を紡いでいる。

 難しすぎて分からない。


 でも、あれがおばあさんから聞いた強制的に二人を結ばせようとしている行為だと感じた。

 花びらが蓮と結愛の周りを通り抜けながらグループの方向に向かって行く。

 まるで包み込むように。

 周囲を囲んでいる。

 

「結愛、手を離すな」

 蓮は結愛の手を握った。

 

「え?」

 結愛は戸惑ったが、蓮の手を握り返した。

 その瞬間、巫女の霊の表情が歓喜に変わった。

 難しい言葉を言わなくなり、僕たちの方へ向かってくる。

 

『素晴らしい!愛し合う二人!』

 

 蓮は冷や汗をかいた。

 完全に誤解されている。

 鈴の音がより激しくなり、花びらの舞も激しくなった。

 境内全体が幻想的な光に包まれている。

 

「これ、全部録れてる!」

 結愛は興奮していた。

 

 でも蓮には、もう近くまで来ていた巫女の霊の次の行動が見えていた。

 どこから取り出した赤い糸を手に取ってあやとりでハートを演出して、祝福の言葉だろうか。

 優しい表情で僕たちに何か言っている。


 そこで事態は悪化した。

 男女のグループが口論になっていた。

 怖くて帰りたい組と、SNSにアップしようと楽しむ組で分かれていた。


 巫女の目が異様に鋭くなる。

 巫女はあやとりの紐をしまい、手に血が滴る御守りを持っていた。

 中から取り出したのは弓矢。

 細長く、どうやって中に入っていたのかなんて考える余裕はなかった。

 

 おばあさんが言っていた「過激」の意味が分かった。

 あの弓矢に撃たれたら、本当に何かが起こる。

 

「結愛、そろそろ帰ろう」

 蓮は慌てて言った。

 

「え?でもまだ……」

 

「危険だ」

 蓮の真剣な表情に、結愛は戸惑った。

 巫女の霊は弓を高く掲げて少し止め、射撃体制を取っているのが素人にも分かる。

 

『永遠の契りを……』

 弓がしなり、矢が放たれる前に、蓮は結愛の手を引いて境内から駆け出した。

 

「え?え?」

 結愛は状況が理解できずに困惑していた。

 

 走ったあとで、後ろから悲鳴が聞こえる。


 境内から出た途端、蓮はめまいを感じた。

 足がふらつく。

 

「ええ?何があったの!?それに蓮?!大丈夫!?」

 結愛が心配そうに蓮を見つめた。

 一気に事態が悪化したことに結愛は底知れぬ恐怖感を感じたようだ。

 蓮を心配する手は少しだけ震えている。

 

「ちょっと……疲れただけ」

 蓮は額に汗をかいていた。

 なるべく結愛を安心させるように平静を装ったが、バレていると蓮自身も思った。

 霊的な接触が長時間続いたせいで、体力を消耗している。

 

「とりあえず、駅まで行こう」

 

 駅へ向かう道中、蓮の足取りは徐々に重くなっていった。

 額の汗が止まらず、呼吸も荒くなってくる。

 

「蓮、やっぱり変だよ」

 結愛は立ち止まって蓮の顔を覗き込んだ。

 

「顔色悪いし、汗もすごいかいてる」

 

「大丈夫……ちょっと疲れただけだから」

 蓮は笑顔を作ろうとしたが、うまくいかなかった。

 

「さっきから『大丈夫』って言ってるけど、全然大丈夫じゃないよ」

 結愛の声に心配が滲んでいた。

 

「それに、なんで急に帰ろうって言ったの?」

 蓮は答えに困った。

 本当のことは言えない。

 

「なんか……嫌な予感がしたから」

 

「嫌な予感?」

 結愛は首をかしげた。

 

「蓮って、時々不思議なことを言うよね」

 蓮の心臓がどきりとした。

 

「そんなことないよ」

 

「ううん、ある」

 結愛は真剣な表情になった。

 

「旧校舎の時もそうだった。なんで危険だって分かったの?」

 蓮は言葉に詰まった。

 結愛の疑問は的確すぎる。

 

「勘だよ」

 

「勘で椅子が飛んでくるって分かる?」

 結愛の問いかけが鋭くなった。

 

「結愛……」

 

「それに今日も……」

 言いずらそうに話す結愛。

 

「蓮は急に『危険だ』って言って手を引いた」

 蓮は愕然とした。

 結愛の観察力は、蓮が思っていた以上に鋭かった。

 

「偶然だよ」

 

「偶然にしては、タイミングが良すぎない?」

 蓮は追い詰められていく気分だった。

 霊感のことを隠し続けるのが、どんどん難しくなっている。

 

「私には何も見えなかったのに、蓮には何かが見えてるの?」

 結愛の問いかけが核心を突いた。

 その時、蓮の膝がガクンと崩れた。

 

「蓮!」

 結愛が慌てて蓮を支えた。

 

「もう無理しないで!」

 結愛の声が泣きそうになっていた。

 

「救急車呼ぼうか?それとも病院に……」

 

「いや、大丈夫」

 蓮は結愛の肩に寄りかかりながら言った。

 

「家まで帰れば、きっと治る」

 

「なんで分かるの?」

 また結愛の鋭い質問が飛んできた。

 

「なんで家に帰れば治るって言えるの?」

 蓮は焦った。

 霊的疲労だということは、絶対に言えない。

 

「別に……今までもそうだったから」

 

「そんな……普通じゃないよ」

 結愛の声に苛立ちが混じった。

 

「蓮は絶対に何か隠してる」

 蓮の心臓が激しく鼓動した。

 

「隠してない」

 

「隠してるよ!」

 結愛は初めて蓮に対して声を荒げた。

 

「私のこと、信用してないの?」

 

「そんなことない」

 

「じゃあ、どうして教えてくれないの?」

 蓮は答えられなかった。

 信用していないわけじゃない。

 でも、霊感のことを知られたらと想像するだけで気持ち悪いと思われるじゃないかと思った。

 

「蓮……」

 結愛の声が小さくなった。

 

「私、蓮に何か嫌なことしちゃった?」

 

「してないよ」

 

「じゃあ、どうして……」

 結愛の目に涙が浮かんでいた。

 

 蓮は胸が締め付けられる思いだった。

 結愛を傷つけたくない。

 でも、本当のことも言えない。

 

「ごめん……」

 蓮は小さくつぶやいた。

 

「今は、まだ言えないんだ」

 

「まだ?」

 結愛は涙を拭いながら聞いた。

 

「いつか言ってくれる?」

 蓮は迷った。

 

 いつか言える日が来るのだろうか。

 

「……分からない」

 蓮の正直な答えに、結愛は黙り込んだ。

 

 二人は無言で駅まで歩いた。

 電車の中でも、ほとんど話さなかった。


 家に着いた時、蓮の体調は少し回復していた。

 

 やはり霊的疲労だったようだ。

 でも、結愛との関係に、大きな亀裂が生まれてしまった。

 

「また明日」

 結愛は素っ気なく言って、自分の家に向かって歩いて行った。

 

 蓮は結愛の後ろ姿を見つめながら考えた。

 

(いつまで隠し続けられるだろう)

 

 霊感が強くなるにつれて、霊を見た時の疲労感も上がっている。

 そして、結愛の疑問もより鋭くなっている。

 

 部屋に戻って、蓮はニュースを見た。

 石神神社での事件が報道されている。

 

『カップルが神社で倒れ、救助した男性がわいせつ容疑で逮捕』

 

 蓮は拳を握りしめた。

 もしあの時、声をかけていれば。

 

 でも、結愛を危険にさらすわけにはいかなかった。

 

(でも、もし、あれが自分たちに来ていたら、結愛を守れてただろうか……)

 

 蓮は天井を見上げた。

 結愛のYouTube活動は成功している。

 

 でも、それは同時に、より危険な場所への誘惑でもある。

 成功体験が危険な道を成功の道と履き違えている結愛なら、十分あり得る。

 

 おばあさんが言っていた通り、霊からの注目も増すだろう。

 スマホを見ると、結愛からのメッセージが来ていた。

 

『今日はありがとう。いつか、言いたくなったら。教えて』

 

 蓮は返事を打とうとして、やめた。

 何と答えていいか分からない。

 

 窓の外を見ると、夜が深くなっていた。

 

 明日からの日常が、また少し変わってしまうような気がした。

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