7 Beyond The Overcome
(00オーバーカム終了)
(メルレンジェ起動)
空を見上げた。
紫色の空に赤い星が光っている。星の密度はあまりに濃い。雲に見えるほどだ。
足下にくすぐったさを感じた。
金色の魚の群れが俺の足をつついている。
俺はあわてて水面から突き出た岩の上に飛び上がった。
水の音から判断して、近くに滝があるようだ。
背後の草むらががさがさ音を立てた。野生動物だろうか。
いや、彼だった。
「マキシマス」
岩の上であぐらを組む俺を見て、彼はかすかに笑った。
「今までとは世界が違って見えるだろう、メルレンジェ?」
「だいぶな」
「あまり驚いていないな?」
「初めてGPASに乗った時と比べりゃ大したことない。要は、人間のまま世界の本当の姿を捉えるのは無理だってことなんだろ?」
「大ざっぱに言えばな」
マキシマスは、じゃばじゃばと水の中に入った。
「00オーバーカムもリーク・ストイコフが考えたのか?」
「その通り。かなり強引な手段だ。だが、あいつは人類がこの姿になるまで、一万年も待ちたくはないそうだ」
マキシマスは何かを俺に放り投げた。俺が自分で切断した右腕だった。
俺はそれを肩の切断面に押し当てる。
「リークに会いにいけ。どこかにいるはずだ。あいつはこの局面に至ったおまえに興味を持つはずだ」
「生きてたのか?」
「生と死の概念も、人間のそれと改める必要があるぞ」
マキシマスは言った。新たな力が俺を引っ張るのを感じる。
俺はうなずいて、立ち上がった。
「メルレンジェ、もう一度、おまえに会いたい。決着はつけねばならないからな。リークや00オーバーカムの邪魔のない所でだ」
マキシマスは言った。俺は片方の眉を吊り上げる。
「おや、あんたは俺に負けたじゃないか」
「そんな姿でよくほざくな」
実際、俺が右腕を押さえているのに対して、マキシマスの方には俺のつけた傷が残っていなかった。
王者は俺の知らない回復手段を持っているらしい。
「次こそは本気で相手してやろう」
俺はかすかに身震いした。
顔に浮かぶのは歓喜と敵意の混じった表情だ。
素晴らしい。俺はまだまだこの王者を追えるわけだ。
俺はマキシマスに背を向け、ゆっくりと歩き出した。
お読みいただき、ありがとうございます。私風に味付けした巨大ロボものです。




