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7悪 未知の領域に胸が膨らむ

「あぅ~」


「お~。元気そうだな。良かったぁ。愛しの天使は可愛いな!お父さんがほっぺにキスしてやろう」


「あううううぅぅぅ!!!??????」


やられた。思いっきりやられた。まさか帰宅直後に向こうがやってくるとはな。頬だったから許すが、唇に少しでも触れてたらぶん殴ってたところだ。寛大な心を持つ俺に感謝して欲しい。

まあ、赤子のへなちょこパンチならこのスネールは喜んで受けそうだが。

なんて思ってあきれてると、急にスネールは真剣な表情になって。


「しかし、どうにもきな臭いな。今日は薬草が入荷できなかったという話だったし、どこかが連動して動いてるのか?探らせなければ」


と、呟く。これが公爵としての顔だろうな。正直こっちのスネールは憧れそうなくらい格好良いぞ。いつものようなデレデレ親父な感じは全くない。

そして、そんなスネールの呟きを聞いてから数日後。メイド達が、


「そういえば知ってる?スネール様の側室の、マウス様が処刑されたって」


「あぁ。知ってる知ってる。スネール様に危害を加えようとしたんでしょ?」


「ってことは、あそこの家もお取り潰しかな?」


「そうかもねぇ~」


などと話していた。どうやらスネールの側室が1人消えたらしいな。きっと俺に毒を飲ませようとしたヤツの依頼主だったりしたんだろう。

……だが、マウスか。なんだか聞いたことのある名前な気がするが、どうにも思い出せないな。


「あっ。アーク様。そろそろお腹が空かれましたか?よければ私のを」


ん。そう言われるとそんな気もする。ありがたく頂こう。

なんて食事に気を取られた。だからこそ、その後頭を抱えることになる。マウスという名が、誰に関わっているのか思い出さなかったがために。誰の母親だったか思い出さなかったがために。




「……あぅ~」


「わぁ~。凄いわアークちゃん!もうそんなに速くハイハイできるようになったのね!私も負けないわぁ!!」


数ヶ月後。俺は母親とともにハイハイをしていた。俺も動けるようになったのだが、クララはクララで元気になっていた。まだ筋肉が衰えていて立つことは難しいが、俺と同じようにハイハイすることは可能だ。2人で並んで移動する。


医者が言っていたのを少し聞いたのだが、俺と共にハイハイをするのは体にも良いらしい。だから、俺もクララといるときはできるだけ動くようにしていた。このまま運動を続けて、クララには体力と筋肉を取り戻してもらいたいからな。

因みに、偶にだがスネールも一緒にハイハイしていることがある。……何やってるんだ公爵。

そして更に数ヶ月後、


「う!」


「おぉ!ついにつかまり立ちまで。……よぉし!私もやってやるわ!」


俺とクララはつかまり立ちを成功させた。クララはかなり無理していそうだな。できているのは、俺に負けないという対抗心があるからかもしれない。俺が頑張るからクララも頑張れるというのなら、俺も頑張る理由があるってものだな。一緒につかまり立ちしてやろうぜ!

……で?公爵さん?あんたは普通に立てるだろうが!一緒につかまり立ち頑張ってますみたいにしてんじゃねぇよ!!


「あぅ~」


「はははっ。アークもお父さんと一緒に遊べて嬉しいだろ?」


いや。そんなに。

なんてことも思うが、今はこいつの言うことをいちいち考えている余裕はない。ハイハイができて、つかまり立ちもできて。俺はやっと行動範囲を広げることができてきた。

今まではメイドに抱えられての移動で少し難しいところもあったのだが、ハイハイ移動のお陰である程度自由に移動できている。扉を開けたりするのは難しいが……それはまぁ、開いてるところを狙うしかないよな。


「アーク様⁉どこへ行かれたのですか⁉」


「ちょっ⁉アーク様⁉私のスカートを掴んで立とうとしないで下さぁい!」


スカートを掴んでるんじゃない。行動範囲を広げてるだけだ。

……うん。決してどこも戸締まりがシッカリしてて暇だったとか言うわけではない。これはただ、



――――――――――――――――――――

デイリーミッション

達成済み

・未知の領域に突入する

 報酬:スキル『透視1』

達成済み

・10秒間誰にも発見されない状態でいる

 報酬:スキル『隠密5』

――――――――――――――――――――



ミッションを達成するのに必要だっただけだ。これで今日のデイリーも達成だったな。

……ネタでスカートの中は未知の領域とかやってみたのだが、達成してしまった。なんだか凄いスキルを手に入れたぞ。ムフフゥな展開になりそうなスキルじゃないか。


こんな感じで、デイリーミッションの方も順調ではある。今のところ1度も失敗したことはないな。最近は体の発達のお陰で達成しやすくなったミッションも多いし。

数日前には大人数の話を聞くミッションもあったが、問題なくクリアできた。昔は50人の話を聞くなんてできなかったが、ハイハイができるようになっていたから簡単だったぞ。


「はい。アーク様。確保しましたぁ」


「あぅ~?」


おっと。デイリーをクリアして油断してたな。捕まってしまった。

……だが、ある意味グッドタイミング。少し動き回って疲れてたんだ。


「え?ご飯ですか?……どうぞ」

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