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6悪 優だけど優じゃない

「アーク様。ご飯をお持ちしました」


1人の執事がやってきた。そいつが運んできた荷台(もっとオシャレな名前があるんだろうが、俺は荷台と呼んでいる)には。哺乳瓶が1つ。それが意味することは、


「あうううぅぅぅ!!!!(今日は母乳なしかよぉぉぉ!!!!!!)」


ちっ。若い子の素晴らしいものを拝む折角の機会が減ってしま……じゃなかった。ミッション達成のための機会が1つ減ってしまうとは。この執事め。許せん。

相当美味いものじゃないと納得しないぞ。それこそ、母乳鑑定で味が優くらいに表示されない限りはな。『母乳鑑定』!!


――――――――――――――――――――

牛の母乳

・混合物:劇毒

・新鮮度:劣

・味:優

・母体の状態:極度の肥満。運動不足

――――――――――――――――――――


「…………」


思わず黙る俺。ほ、本当に味は優だったぞ。優って、確かかなり高い品質だったと思うんだがな。凄いじゃないか執事。見直したぞ。

……ってちがぁぁぁぁぁうっ!!!大事なのはそこじゃない!

何だ混合物の劇毒って!明らかにこいつ俺のこと殺しに来てるじゃないか!まじでぶっ○すぞオラァ!!!

とは思いつつも、俺は哺乳瓶を受け取る。大事なのは、俺が毒物が入っていると気付いてないように見せることだ。


「あぅ~」


「はい。それでは私が飲むお手伝いを致しますね」


笑みを浮かべながら、執事が手と顔を近づけてくる。俺はその手が触れる瞬間、くるっと哺乳分を逆向きにして、近づいてきた執事の口に!


「ぐぶっ⁉」


「えっ⁉アーク様⁉」


俺を抱えていたメイドが驚愕。それもそうだろう。赤子が哺乳瓶を人の口に突っ込んだんだぞ。驚かないわけがない。

だが、今度は更に、


「ぐほぁっ⁉ゲホッゴホッ!」


「っ⁉血が出て……まさか!」


執事が血を吐いて驚きは加速。しかしその驚きは別の種類であり、一瞬視線を哺乳瓶へ移す。そして、


「アーク様に手出しはさせません!!」


俺を抱えながら1回転し、綺麗な回し蹴りを執事の頭に入れた。白か………………じゃなくて、血を吐いていた執事はそれを避けることなど不可能で、直撃を受けて倒れ込む。もしかしたら脳震盪でも起こしたかもしれない。

というか、メイドにしては綺麗な回し蹴りだったよな。……この屋敷のメイド、もしかして戦闘もいける口か?ミッションをクリアするためとはいえ、母乳の出ないメイドを弄んだのはマズかったかもしれないな。将来、メイドから裏切られないように気をつけるとしよう。


「すんすんっ……この匂い。やはり毒。しかも、劇毒じゃないですか」


メイドは倒れた執事を拘束してから、哺乳瓶の蓋を開けて匂いを嗅ぐ。匂いを嗅いで毒かどうか分かるなんて、メイドとは一体何なのかと思ってしまうな。

その後メイドが他のメイドを呼び、更に数人の兵士もやってくる。執事は兵士に運ばれ、哺乳瓶とその中身はメイドに回収され、この事件の犯人と凶器は押収された。

俺がそうして暗殺されそうになったことは瞬く間に屋敷に広まり、


「アークちゃん!危なかったねぇ~。頭の良い子で良かったわぁ!!」


心配したクララに呼び出され、抱きつかれた。

とりあえず言いたいのは、頭の良さと今回のことを回避できたのは違うだろと言う話だ。頭が良くても流石に毒の発見はできないだろう。スキル様々だ。


「アークちゃん。一応大丈夫だとは思うけど、私の薬草を分けてあげるわ。ちょっとでも体に入ってたら危険だからね」


クララはそう言って、薬草をちぎって俺に差し出してくる。こうならないように俺は気をつけたんだけどな。

今回の事件は、クララが倒れることになる原因の1つだ。毒で倒れた俺に薬草を使ってしまい、自分の分がなくなったという話だな。だからこそ俺は、毒などを飲まないように色々と気をつけたんだが。

ただ、全てを俺に差し出さなかっただけマシか。残りの薬草と俺の天使の愛撫で、原作のようにはならずに済むだろう。


「はい。あ~ん」


「あぅ」


俺は差し出された薬草の粉を口に含む。それから飲み込もうと思ったが、これの有効利用をする方法を考えつく。


「あぅ~」


俺は口に粉を含んだまま、クララの方へ手を。そうすると向こうは、俺が頭を撫でたいのだと判断して抱えてくれる。最近ずっと天使の愛撫を使ってるからな。慣れたんだろう。

そうして頭の近くに顔が近づいたら、


「んぐっ⁉」


素速くその唇を塞ぐ。マウストゥーマウスだ。

そして、何かされる前に口の中の薬草を向こうの口に移す。こうすれば、更に沢山の薬草を向こうに使わせることができる。ついでに頭も撫でておこう。


「……ぷはぁ~。もうアークちゃんったら、キス魔なお年頃なのね?一体どこで覚えたのやら」


俺の唇から解放されたクララは、そう言いながら何度か俺の額へ口づけを落としていく。その間、数人のメイドが目をそらしていたのは気のせいではないだろう。初々しいカップルが自分のキスを思い出したときの反応にそっくりだ。

メイド達、職務中に付き合いたての騎士とキスしてるからな。マジでぶん殴りたかった。早く子供を産ませて、俺へ母乳を与えられるように……って無理か。こいつらが子供を産むころには、離乳食を食べ始める時期になってるよな。


「ちゅっちゅ~。アークちゃんがパパにもしてあげたら、きっと喜ぶと思うわよぉ~」


口づけを落としながら、母親は孫亜子とを。

……嫌だな。イケメンとは言え、俺にそっちの趣味はないから。俺も男女差別をする気は無いが、するなら例え男だとしても可愛くないと。

と、考えた数時間後、


「アァァァクゥゥゥ!!心配したぞぉぉ!!!大丈夫だったかぁぁぁ!!!!???????」


「あぅ~」


「お~。元気そうだな。良かったぁ。愛しの天使は可愛いな!お父さんがほっぺにキスしてやろう」


「あううううぅぅぅ!!!??????」

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― 新着の感想 ―
[一言] この執事結局どこの手先だったのかな? 気になる…本当に残念です。
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