エピローグ
「いえいえ。公爵方や宰相に頭を下げて頂けるならこちらとしても問題はありませんよ。各家がこの事案を引き起こした方々をどのように更生させるのか、楽しみにしておきますね。……なにせ、次期公爵の方々が多いんですから」
俺はそう言って微笑む(婚約者達によると悪魔の微笑み)。ここで俺は圧をかけてるわけだ。こいつらを追放させるといった罰を与えて貴族社会から消すのではなく、更生させて貴族社会に残し続けろと。
これはバカなことをした攻略対象達にとっては救いとなる。と言う風に思えるかもしれないが、実際はそんなことは無い。それぞれの家にとっても本人達にとっても地獄だろう。なにせ、すでに俺へバカなことをしたというのは知れ渡っているのだから。家にとっても大きな汚点となるし、これから先しばらく本人達は後ろ指を指されるだろう。
だが、それでも被害者である俺がまるで譲歩したかのように言えば、
「わ、分かった。我が家の総力を持って更生させよう」
「我が家もだ」
「我が家も……」
それぞれ苦々しい顔をしながらもそう言ってくる。これで他派閥へ更に影響が与えられる。イヤミーの勝利も近いな。
公爵達の謝罪が終わった後、
「ふ、ふははっ。俺の派閥がここまで大きく……」
スネールは壊れたように笑っていた。ここまでなるのは予想外だったんだろう。予想以上に派閥が強くなっている。
ほとんど俺が動いた結果ではあるがな。
「次期公爵達の名前に傷つけられ、各派閥の内部分裂も誘える。逆に俺たちの派閥の内部分裂の可能性はかなり低い。これは勝てる!ふははははっ!!!」
スネールは笑ってるが、実際その通りだ。公爵たちの派閥は内部分裂が起きるだろう。攻略対象の名声は落ちてしまって、誰に家を継がせるかでもめるだろうからな。
すまない女主人公。お前の顔も見たことないが、お前の親友を奪い攻略対象の名声を傷つけてしまった。……しかし、主人公はどこにいるんだろうな。ここまで生活してきて、女主人公も男主人公もそれらしき存在の顔を見たり話を聞いたりしていない。出てこないと何か裏で良くないことが起きているんじゃないかと不安になってしまうんだが。
……なんて考えているの時の俺は覚えていなかった。女主人公は別として、男主人公のゲーム開始前のことを。
戦地から流れてきた猫の獣人達が村にやってきて、その人達に毎日鍛えられると言う設定があったことを。俺が、男主人公が強くなる要素の1つを潰してしまっていたことを。
知らないからこそ俺は、将来来るであろう強敵を想像し、
「くくくっ!首を洗って待っていろ。たとえ敵がいかに強大であろうと、悪は必ず勝つ!!」
これでこのお話は完結です!
まだまだ伸ばせる余地はあるのですが、きりが良いのでここで終わらせていただきます。結局主人公は出てこなかったですねぇ
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