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36悪 予想外の魔力量

「う、うわぁ。大転落ニャ」


「ああ。貴族ではそういうのが普通だ」


ネトは頬を引きつらせていた。貴族というのは恐ろしい世界だと感じているのだろうな。

ただ、実はこの話には裏話がある。この婚約を解消された貴族だが、婚約解消に喜んでいたのである。あまり婚約者達を好きではなかったそうで、自由な恋愛に歓喜したのだそうだ。その後の人生ではメイドの何人かを娶ったり平民を口説いたりして、恋愛結婚だけのハーレムを作ったのだそうだ。

ただ恋愛結婚とは言うが、貴族と結婚した相手の方も貴族を愛したかは分からないけどな。


「貴族って、厳しい世界なのニャ」


「そうだ。そういう意味だと俺はかなり運が良い方だな。婚約が解消されることはないし、派閥の上の立場も維持できる」


つまりはっきり言ってしまえば、俺の魔力が低かったとしても問題ないのだ。まあ、高い方が有利ではあるんだがな。

低かったとしてもどうにかできる、という話だ。


「……あぁ。でも、俺の魔力が安全圏に入っていたとしても、公爵となる事が確定するわけではないぞ」


俺は少し話の角度を変えてみる。婚約者ではなく、公爵の地位という面に関しての話だ。俺の言葉を聞いたネトは驚いた顔で、


「え?そうなのニャ!?」


「ああ。もしドーエムとか新しく生まれるかもしれない妹や弟とかの魔力が多くて公爵の地位を望むようなら、俺も戦う必要がある。勿論イヤミーと婚約している俺の立場はかなり絶対的なものではあるんだがな」

ドーエムは俺にかなり懐いている。だから、俺と争う可能性は低い。

とはいえ、これから更に弟や妹が生まれてきた場合、それとぶつからないとは限らない。ゲームのシナリオ通りに進むのなら問題はないのだが、俺の行動でかなりシナリオは崩れているからな。どうなるかは未知数だ。

もちろん、争う必要がないように対策は打っておくが。


「まあ、とは言ってもとりあえず目先にあるものからですね。頑張ってきて下さい」


「そうニャ。頑張っているニャ!」


部下やネトからそんな声をかけられる。


「ふっ。ベストは尽くす。……とはいえ、俺が今から何かしたところで結果が変わるわけでもないがな」


そういった会話をして。翌日の魔力鑑定当日。



「アーク!頑張ってね!!」

「アーク様。いかなる結果になろうと構いませんので。重く考えずに向かって下さい」


「ああ。ありがとう2人とも」


2人の声を受け、俺は魔力鑑定へ向かう。まだ美少女として見ることはできないが、普段から共に過ごしている人間の応援であるだけでも嬉しいものだ。勿論2人だけでなく、スネールやクララ、ドーエムからも声はかけられている。

そして、俺を応援しているのはそれだけではない。



――――――――――――――――――――

デイリーミッション


・魔力鑑定を受ける

 報酬:称号『力のある問題児』


・次期公爵候補を確定させる

 報酬:スキル『偉大なる覇道1』

――――――――――――――――――――



デイリーミッションも、俺の支援をしてくれていた。というか、この書き方だと俺が問題なくいけるのは確定しているよな。達成できないミッションは出てこないだろうし。

2つ目のミッションである「次期公爵候補を確定させる」というミッションは言い回しが面倒だが、純粋に公爵となる事のできる魔力の基準を満たせば良いのだと思われる。

ゲーム通りの魔力なら問題はない。


「アーク様。こちらへ手を」


俺は計測のための機械へ手をかざす。次の瞬間光があふれ出し、


「ぬっ!」

「これは、イヤミー様ほどではないが!」

「アーク様も強力な魔力を!」


貴族達が驚いている。イヤミーの計測の時もこんな感じだったんだな。ということは、俺の結果も問題ないだろう。

俺は結果を見る者へ視線を送る。その者は慌てた様子で測定の装置に近づき、


「そ、測定結果を発表します。アーク・ワール。魔力量5万7500です」


「「「「っ!?」」」」


またしても貴族達が驚愕する。そして、その驚く中には俺も含まれている。思わず片眉を上げ、驚く表情を見せてしまった。

だが、仕方ないんだ。そんな数値が出るのは予想外だったからな。まさかゲームのアークとここまで違うとは思わなかったのだ。


「……予想外だ」


俺は違いを感じて呟く。それを聞いたスネールが、


「も、もしかしてイヤミー様との差を考えてたのか?アレは例えお前であっても無理だから気にするんじゃない!5万だってあり得ないくらい多いんだぞ!!」


そんなことは知っている。そして、俺はイヤミーと比べて落ち込んでもいない。

ただただ原作との違いを感じていだけだ。……確か、原作だとアークは3万くらいだったはずなんだけどな。なぜ2万以上魔力が増えているんだか。

確かに天使の愛撫を使った影響で魔力量が増えることにはなったとは思うが、それでも半分以上増えるのは予想外だった。


「……ふむ。であるならば、俺が次期公爵となる事も問題はないか?」


「ああ。もちろんだ!お前は公爵としての条件の1つを満たしたぞ!」


「…………そうか」

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