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29/42

29悪 周囲からの評価

「俺、幼女趣味じゃないんだよ」


俺の呟きは誰にも聞こえない。いや、聞いてる者もいるんだが、頭に入って入ってないだろう。だから逆に考えると、こういう愚痴みたいな事を考えるのに今の状況は適してる。


パシィンッ!

「ひゃうぅん!」

誰かさんを教育する今の状況は。


叩かれて嬉しそうにする誰かさんを見ながら、更に愚痴のようなことを考えていく。

俺が女好きと考えたのが数割の貴族。では、残りの貴族はどう考えたのか。それが、


「女たらし、ねぇ」


たらしだと思われたらしい。口説くのを得意とした、公爵家の最高の教育を受けた人材だと思われているとか。勿論そんな事実は存在しないんだがな。

で、そんなことを考えた貴族達なのだが、敵対派閥の貴族たちは俺を自身の娘に近づけないように動いている。とくに、公爵家とかがな。誰も公爵家で自由気ままに育ってきた生意気な豚ちゃんは口説いたりしないんだが。なぜそれが理解できないのだろうか?


パシンッ!

「あぁぁぁ!!!!お兄様ああああぁぁぁぁ!!!!」


というか、生意気な豚ちゃんである以前に幼女であることが問題なのだ。ここでそろそろ俺としては幼女趣味でないことを示しておきたいんだよな。

つまり何が言いたいかと言えば、


「年上の婚約者が欲しい」


と言うことだ。

まあ、こんなことを俺が言えば、すぐにいくつもの貴族が俺へその候補を提供してくれるだろう。だが俺は今、そんな気分ではないのだ。金髪ドリルの高笑いが似合うお嬢様方なんて俺は興味ない。ただただうざったいだけだ。

紹介が難しいとなると、


「根気よく探すしかないよなぁ」


パシィンッ!

「うふううううぅぅぅ!!!!そこ凄いですうううぅぅぅぅ!!!!」


ということで、俺は綺麗な年上を探すことにした。一応候補としてゲーム内のキャラが数人いるので、俺は兵士などに言って見かけたら連れてくるように伝えておく。

ただ、そのキャラが来るのは時間が掛かるだろうからもう少し待つしか無いな。適切なタイミングが必要だろう。とはいえ、それだけでは俺の気が済まない。ということで、


「ネト。また盗賊共を蹴散らしに行くぞ」


「おっ。了解にゃ!ボーナス期待してるニャ!!」


「ふっ。ボーナスが出るかどうかはお前達の成果次第だ」


今回狙うのはまた盗賊である。しかも今回は抱えている奴隷ではなくその盗賊自身が狙いだ。だが、ただの盗賊ではない。

所謂、女盗賊だ。主人公に「若いわね。坊や」と言ってくるタイプの女盗賊である。そういうのが俺としては欲しい。

と、考えて幾つか盗賊のアジトを回ったのだが。


「うぅ~ん……」


「ん?お眼鏡にかなわなかったかニャ?」


「そうだな」


ネトは俺が何を目的としているのか分からないだろうから、俺はそういうことにしておいた。

ただ、本音を言えばお眼鏡にかなう以前の問題だ。ここまで探してきたのだが、女盗賊がほとんどいない。数が少ないため、俺が気に入る者がいないのだ。

勿論全く女盗賊がいないわけではない。ただ、その大半が高齢者だったり、かなり狂った感じのタイプだったり。自分に刃物を沢山突き刺しておいてそれで攻撃するというのは……ちょっとなぁ。俺には受け入れがたかった。


「でも、お金と財宝はガッポガッポニャ」


「ああ。それはそうだな。その分ボーナスは出してやろう」


「やったニャ!!」


喜ぶネト。そして、傭兵達。

俺の方には収穫がなかったが、こいつらは嬉しいようで羨ましい。俺の欲しいものも用意してくれていれば良かったのに。

だが、女盗賊以外で成果がないわけでは無い。勿論少し懐は分厚くなったし、1つの成果として、


「狼たちが使えることは分かったな」


「狼じゃなくてシャドウウルフニャ。何度言ったら覚えてくれるのニャ……まあそれは良いとして、シャドウウルフたちが戦闘で役立つのは確かニャ。良い拾い物をしたニャ。にゃんだふる、じゃなくて、ワンダフルなのニャ」


「………………」


「え?分からなったかニャ?今のはそれぞれの鳴き声をかけた高度なギャグで………………」


とりあえずよく分からないことを言っているやつは無視しよう。


本日は狼たちの初めての実戦投入だった。ネトは俺が狼たちのシャドウウルフという種族名を分かっていないと思っているようだが、俺だってしっかりと覚えている。ただ、狼の方が短くて言いやすいと言うだけだ。

そして話を戻して実戦の結果だが、こちらは上々である。上手く盗賊のアジトとかみ合った形で、狭い通路なども高い機動力を活かして通り抜けていった。すれ違いざまに爪や牙で攻撃して、それで怪我を負った盗賊をネト達が捕らえていくという流れは見事だったぞ。


「餌代は充分回収できるな」


「ニャハハッ!それはもう十分すぎるほどにできるニャ!今回のだけで、一生分の餌代を回収できたんじゃないかニャ?」


俺の呟きにネトは笑う。このままこいつらも活用していけば、元は充分取れるな。餌代だけでなく世話をする者たちへの給料などの分もまかなえるだろう。あと3回ほどやれば関連する全ての費用の一生分を回収できる可能性が高い。


「では、帰るか」


「そうするのが良いニャ!私たちは、ボーナスで飲むニャ!」

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