23悪 そうだペットが飼いたい
「良いか、ドーエム。確かにこの国では兄妹での結婚も認められている。しかし、それをしてしまうのはあまりにも公爵家に利益がない」
「そうなのですか?」
俺の言葉に、ドーエムは首をかしげる。この年齢で利益がどうかと言われても分からないよな。だが、これでも貴族の娘なのだ。シッカリと今の段階から教育しておいた方が良いだろう。
「うむ。だからこそ、俺と結婚したいのならばそれ以上の利益をこの家に呼び込むことが必要だ。つまり、俺と結婚したいのなら、莫大な利益をこの家にもたらせ、と言うことだ。良いな?」
「はい!分かりましたお兄様!!」
俺の言葉に、ドーエムは大きく頷く。どの程度理解したのかは分からないが、少しでもこの家のために動いてくれたら嬉しい。
なんて思っていたら、
「ほぉ~。そういう風に教育してたのか」
落ち込んでいたスネールがいつの間にか顔を上げ、興味深そうな表情を。どうやら今の様子から、普段の教育がこんな感じだという風に誤解したのだろう。確かに今の会話は教育チックだったな。悪い誤解ではないので俺はスルーしておき、
「では、本題に戻ろう。この3日間俺が教育したが、これから先はどうする?」
そう。それが本題だ。俺の教育はこの3日間限定。これから先のことを話し合う必要がある。
俺にそれを問われたスネールは少し悩んだ後、
「ドーエムは何か希望があるか?誰かから何かを学びたい、とか」
「お兄様と一緒にいたい!!」
ドーエムはスネールの質問に即答した。
「お、おう。そうか。まあ、今この年齢から家庭教師をつける必要は無いからな。軽い教育だけでも問題はない……アーク。頼んで良いか?」
「うむ。良いだろう」
俺はスネールの頼みを了承。これによって、俺は引き続きドーエムの教育を行なうことになった。偶に治安維持のためにニャンダフルを使うとき以外は、毎日のように教育を行なう。パーティーがあっても仕事があっても、それをする程度の時間は取れた。
「お兄様!!もっとおぉぉぉぉ!!!!!!」
俺は心の平穏を保つ練習になった。
あと、
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デイリーミッション
達成済み
・人を20回叩く
報酬:スキル『連撃3』
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こういうタイプのミッションが来たときにも役に立ったな。
おそらくこのミッションは悪役だったアークがメイドを叩いてたシーンがあったから、それの延長線にあるミッションではないかと思われる。かなり長い期間このデイリーミッションと共に生きてきたが、どうやらミッションは俺にゲームのアークと同じような行動をさせたいようなのだ。回想シーンなどで出てきたゲームのアークとミッションが被ることがあるんだ。それで俺は理解した。このデイリーミッションは強力な報酬を得られる代わりに、ある程度原作と同じ道を通らせてくるということに。
それが悪いわけではない。おそらく何かしらの力が働いて、俺を原作から逸脱しないようにしたいのだと思われる。ならば、俺はその中でできる最大限のことをすれば良い。もし何か問題があるのならば、俺はデイリーミッションを諦めれば良いだけの話だからな。
「……お兄様!」
「ん?どうした?」
「そ、そろそろ止めて下さい!これ以上は壊れちゃうううぅぅぅぅ!!!!!!!」
ちょっと考え事をしていた所為で、激しくやり過ぎたようだ。俺は手を動かす感覚や強さを抑える。だが、時はすでに遅く、足元にはタオルで抑えきれないほどの水溜りができていた。
これを見た俺は、流石に対策を立てることに。それが、
「なあ、ペットが飼いたい」
「ペットですか?」
「ああ。そうだ。とりあえずペットを飼うために必要な道具を一通り調達してこい」
「わ、分かりました!明日までに用意します!!」
そうして俺の元に届けられる、首輪やリード、餌、そして、
「ドーエム。喜べ。今日からお前はこのペット用のトイレの上でいじめてやろう」
「ペ、ペットですか⁉私、ペットと同列なんですか?」
「その通りだ。俺に叩かれて喜ぶ変態は、その程度で十分だ!」
パシンッ!
「ひゃあああぁぁぁぁ!!!!!」
その日から、床に広がる液体に困ることはなくなった。他にも買ったものが多く勿体なかったので、ついでに、
「……よし。首輪はつけれたな。駄犬」
「は、はい!お兄様!ワンワン!!」
ドーエムに首輪を着けて、無理矢理リードを引っ張ったりした。ドーエムもいつもとは違ったいじめられ方にとても楽しそうにしていたぞ。……俺はあまり楽しくなかったがな。やはり見た目が問題だ。
あと問題と言えば、ペット関連でもう1つ問題がある。それは、俺が実際にペットを飼おうとしていないこと。気が変わったと言えば済むのかもしれないが、そうするとペット用品が撤去されかねない。
「ということで、ペットを捕まえに行くぞ!」
「いや。どういう事ニャ?」




