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19悪 部屋が散らかってるのって

本日2話目

「アーク!どういうことだ⁉」


夕方。スネールが帰宅と共にこんな言葉を発してきた。

いつもなら何の話だ?と思うところだが、今日は違う。今日はあの日だったのだ。……そう!イヤミーの魔力鑑定日!!


「まあ落ち着け。まず、イヤミーの魔力量はどうだった?」


「イ、イヤミー。すでに呼び捨てなのか。……と、魔力量だったな?15万と少しだったぞ」


呼び捨てなのに驚きつつも、俺の質問に答えるスネール。そこはきちんとしてるんだな。驚いても頭のどこかでは落ち着いて対応できるのは流石だ。

……しかし、15万か。ゲームと違うのかどうかは分からないな。そこまで細かい設定は描かれていなかったし。10万を超えていたのは知ってるんだが。


「で?どういう事だというのは、イヤミーのことで良いんだよな?」


「あ、ああ。そうだ。いつの間に仲良くなったんだ?」


いつの間に、か。そんなのほとんど限られていると思うんだがな。推測すれば簡単に分かるはずだろう?


「パーティーの時だ。何度か会場を抜け出して、中庭とかで会っていた」


「ぬ、抜け出して⁉……アーク。そんなことしてたのか。全然気付いていなかったんだが」


「それはそうだろう。見つかったらワール家にも影響が出るからな。イヤミーに何か追い風が来るまではバレないようにしていた」


俺の隠密系のスキルは強力だからな。今でも偶にそういった系統の報酬が手に入るデイリーミッションが出て、強化され続けている。ここまで培ってきたものを利用すれば、発見される可能性は極めて低い。


「バレないようにって言っても、できたのか?」


「そうでなかったら、こうなる前に知られていただろう?」


「そ、それもそうなんだが……」


というか、この反応を見るにイヤミーが俺と何かあることを言った可能性が高いな。俺が良いと言うまで黙っておくようにしていて欲しいと伝えてあったんだが……まあ、今回は悪い方向には行かなかったし、許してやることにしよう。

それよりも、


「婚約を早々に決めておいた方が良いだろうな」


「あ、ああ。そうだな。……本当はアークの魔力鑑定も終わった後が良いが、今の状況を考えるとそれは危ないか?」


「危ないだろうな。今まで場数を踏んでこなかったイヤミーは流されやすいだろう。早くこちらとの繋がりを強くした方が良いと思うぞ」


そんな話し合いが行なわれる。ただ、婚約には本人同士の話し合いも必要ということで、数日後にイヤミーとも話し合いの席が設けられたのだが、


「アークと結婚?……する!今する!」


「いや、結婚じゃなくて婚約だからな?まあ、今すぐには難しいが、できるだけ早急に進めるとしよう」


あっさりと決まった。それから更に数日後、俺とイヤミーの婚約が正式に発表され、俺たちは婚約者となった。イヤミーが5歳で俺が今4歳だから、かなり幼い年齢での婚約だな。

ただ、婚約したことによって、


「アーク!あれおいしいよぉ!」


「そうか。ならば後で食べるとしよう。……あと、これも美味しかったぞ。ほれ。口を開けろ」


「あ~ん……ん~。おいひぃ~」


パーティー会場の真ん中。そこで俺たちは堂々といちゃつき合った。俺としてはイヤミーの見た目と年齢もあって子供の世話をしている感覚なのだが、周囲から見れば充分にいちゃついてるように見えるだろう。

イヤミーも最初こそいじめられた経験もあってパーティーに出ることは躊躇していた。が、少しずつ慣れさせていって今ではすっかり余裕の表情だ。周囲からの注目にも一切動じなくなっている。

因みに本人によると、


「私、アークのことしか見てないから」


だそうだ。嬉しい言葉ではあるが、次期国王候補であるならば自分の派閥の者くらいは見てやって欲しいという気持ちもある。

勿論パーティー会場以外でも、


「ほら。アーク。ここが私のお部屋だよ」


「ほぉ~。王城の部屋はこうなっているのか。……興味深いな」


お家デートならぬお部屋デートをやったりもした。俺の方の屋敷に来る予定もあるが、今はまだイヤミーの部屋に俺が行ったことしかない。

イヤミーの部屋には色んな物が山積みされていて、


「あ、あれはね。知らないおじさん達からのプレゼントなんだけど……」


俺が山積みの物へ視線を向けると、イヤミーは慌てて説明を。もしかしたら、俺が浮気を疑っているとでも考えたのかもしれないな(違う、そうじゃない)。

ただ、俺もそれが違うことは分かっているので、


「大丈夫だ。気にしていない。それよりも、俺もプレゼント贈らなければと思っただけだ」


「本当⁉プレゼント、楽しみにしてるね!」


「ああ。そうしてくれ」


俺はプレゼントを約束しておく。一応婚約したし、婚約指輪を贈ってみても良いかもな。将来は指も太くなっていって入らなくなるだろうが、それはそれで思い出になるだろう。将来は結婚指輪を贈ればいいわけだしな。


「……片付けをするか?流石に溜まる一方だと、色々危ないだろ」


「あぁ~。やっぱり危ないかな?でも、開けるのも危ないって聞いたこともあるから開けてないの」


イヤミーは難しい顔をして言う。確かにプレゼントの中に罠が仕込まれていたりする事もあるからな。婚約したときのプレゼントに毒が仕込まれていたこともあったし。あのときも俺がミッションで手に入れた殺意を察知するスキルが役に立ったな。

因みにその貴族には更に強烈な毒を塗ったプレゼントを送り返してある。


「それならば、俺たちではなく騎士とかに開けさせてみてはどうだ?」


「ん~?そんなことしてもらって良いの?」


「良いだろ。騎士の仕事は、お前の身を守ることだからな。プレゼントからお前を守るのも仕事に入るだろう」


ということで、王城の騎士を呼び出してプレゼントを開けさせていく。やはりというべきか、中には罠が仕込まれていたものが複数。箱を開けたら矢が飛び出すなんていうものもあったな。あと、押し込むと中から針が出てくるぬいぐるみなども。

そういうものを見たことによってか、


「アークゥ。怖いよぉ」

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