13悪 金のためにというのは悪役
「魔力鑑定、か」
「何?もう魔力鑑定のこと考えてるの?まだまだ先の話でしょ?」
「そうだな。少し気が急きすぎたかもしれない」
魔力鑑定。王族貴族にとっては非常に大事なものだ。色々理由があって魔力が多いか少ないかで、家を継げるかどうかが変わる。
そこでイヤミーは非常に良い結果を出し、シンユーはその逆の結果を出してしまうのだ。その結果派閥の者たちからは見限られ、シンユーは一瞬にして孤独に。それから長い孤独な時を過ごしながらも、イヤミーの暴走を止める必要があると考え、主人公達と協力しながら王位継承権を巡って争っていくのだ。
つまり2人の運命を変えるきっかけの1つが魔力鑑定なのだが、イヤミーはそれを気にしていない様子である。
「アーク見て!お花ぁ!」
「う、うむ……まあ、悪くないと思うぞ」
俺はまさに幼児が描く絵というような絵を見せられながら、将来に思いをはせるのだった。イヤミーとまったり過ごすのも、意外と悪くないぞ。王城のこともイヤミーは隠すことなく伝えてくれるからな。たぶん外に出たらマズい情報もペラペラ吐いてくれる。注意は……しなくても良いだろう。俺が聞きたいし。
そうして遊んだと、家に帰ってきて、夜。
「あ、あのぉ。本日は私がお相手させて頂いてもよろしいでしょうか?」
俺のベッドに入ってくる、1人の使用人。俺はそれを、ゆっくりと押し倒した。
……事の発端は少し前に遡る。俺が隠密系のスキルを使って色々と実験しようと、使用人達に隠れて行動してるときだった。数人の使用人が話をしていて、
「……はぁ⁉やめちゃうの⁉」
「幾ら借金があるからって、流石にやめるまでしなくても良いんじゃない⁉」
そんな声が聞こえてきた。誰かがやめるのかと考えた俺は、ゆっくりと使用人達に近づいていく。
その使用人の集団の中でうつむいている1人が、
「……私、すぐにでも払わないと奴隷落ちさせられてしまうそうでして、どうしても急遽お金が必要なんです」
そう語る使用人の顔は、見覚えの有るもの。確か、昔俺の専属をしていた者の1人だったな。借金か何かでやめてしまうようだ。
「そ、そうは言っても、ここの給料もかなり良いモノだろう?これ以上ってなると」
「……分かっています。ですから、こうなってしまうと体を売るしか」
「そ、そんな⁉」
「そこまでしなくても……」
おぅ。重い話のようだな。
借金で奴隷にされそうだから、お金が必要。そのために体を売るつもりだ、と言うことか。一応世話になったしどうにかしてやりたいところだが……そうだ。
俺は思いつく。そして、そっと使用人の集団から離れた。
少しして、
「あの、アーク様。お呼びだと聞いたのですが」
「うむ。俺が呼んだのは間違いない」
そのメイドを呼び出す。何の用なのかと首をかしげているな。
いや、少し不安そうな感情も読み取れるから、どうしてやめるのかと問い詰められるかもしれないと考えている可能性もある。俺がそれをどこからか聞きつけ、だだをこねて面倒なことになるのかと思っているのかもしれない。
だが、違う。やめることが関係しているのは事実だが、
「お前、俺と夜伽をしろ?」
「……………………は?」
困惑の言葉が返ってくる。
「もう1度言うぞ。俺と夜伽をしろ」
「……あ、あの。アーク様?」
「俺の言うことが聞けないのか?さっさと服を脱いでベッドに寝ろ」
俺は偉そうにに言って、椅子に腰掛ける。流石にそこまで言われるとメイドも反論できず、渋々といった様子ではあるが服を脱いでベッドに。俺も同じようにして、ベッドに入り、
「流石にこの年齢でできるわけもないし、じっとしてろ。暫くこうしてればやったことになるだろう」
「えっ。あっ……そうですね?」
できないのが分かっているならなぜ呼び出したのか。首をかしげるメイドから事を考えている雰囲気を感じ取れる。だから俺は少し顔をそらして、
「……俺の相手をしたということで、後でボーナスを出してやるよ」
「っ⁉アーク様、それをどこで⁉」
目を見開くメイド。辞めることだけでなく俺がお金に困っていることを知っていたのが驚きだったのだろう。それと共に、俺への感謝の視線のようなものも感じる。
……なんだか、たかがメイドのために俺が動いたというのも癪だな。少し遊ぶか。
「ただ、寝てるだけでも暇だ。ちょっと足を開け。俺に色々教えろ」
「え?……あぁっ///」
俺の獲得していたそっちのスキル(例えば某ミッションで獲得した『性神の加護』など)が火を噴き、メイドも吹いた。……3歳でこれだけの技術を持ってるとか末恐ろしいよな。
なんてことがあった。その後のメイドは俺が渡したボーナスで問題なく借金を返し、メイドの仕事を継続できた。のだが、そのメイドが俺のしたことを他の者たちに広めてしまう。本人としては俺の素晴らしさを広める程度の考えだったのだろう。
だが、その結果、
「本日は私をお願いしますぅ~」
金に釣られたメイドが俺の寝室に来るという事が起きた。そして、ただ金を渡すだけでは面白くないと考えた俺の魔の手によって、部屋にメイドの艶のある声が響くのだった。
……本当にどうしてこうなった?
ただ、こうなっても悪いことばかりではなく、
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達成済み
・10人以上を○○させる
報酬:スキル『魅了の指1』
達成済み
・30人以上を○○させる
報酬:スキル『魅了の指2』
・100人以上を○○させる
報酬:スキル『魅了の指3』
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ミッションは達成できた。