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12悪 恋愛くらいは察しろ

《sideアーク・ワール》

俺が馬車に乗ってもしばらくの間はスネールが来なかったので、



――――――――――――――――――――

デイリーミッション


達成済み

・将来を約束する

 報酬:対象の好感度5パーセント上昇


達成済み

・1度に沢山の者から注目される

 報酬:スキル『存在感10』

――――――――――――――――――――



デイリーミッションを眺めていた。1つ目はイヤミーと将来の結婚を約束したときに、2つ目は最後に去って行くときに達成した。

ただ、2つ目のミッションなのだが、これは少し特殊なミッションだった。最後の注目がなくても、達成はされたのだ。しかし、それまでの報酬は『存在感3』だった。

どういう事かと言えば、このミッションは俺に注目した者の人数によって報酬が変わったのだ。具体的には、1度に俺へ注目した最高人数×0.1 が報酬として手に入れられる存在感のスキルのレベルになる。つまり、最後は1度に100人以上から注目されていたというわけだな。

予想外だったが、最初から最高レベルでスキルが手に入れられたのはおいしい。何に使うスキルなのかは分からないが、持っていて損をすることはないだろう。


「ア、アーク。随分と早く終わっていたね」


俺が今日の成果をのがめていると、やっとスネールが馬車に来た。


「長く話しても意味は無いだろう。よくやった者を全員の前で賞賛し、次への期待を述べる。それだけで十分だ」


「……そ、そうか」


俺の言葉で、スネールは狼狽えたような表情を。こいつは長く話をしていたみたいだから、なんとも言えない気持ちになっているのだろう。

だが、さすがは公爵と言うべきか。すぐに気持ちと表情を切り替え、


「それじゃあ出発だ!帰るぞ!!」


出発の言葉を。俺も頷き、


「ああ。そうしよう……あと、次のパーティーの日程は分かるか?また来ておきたいのだが」


「ん?パーティーが気に入ったのか?」


スネールは首をかしげる。

もちろんそんなわけでは無い。察しの悪い父親だな。息子に女ができたことくらい察してくれ。察することができないなら、俺は何も言わないぞ。


「そこまで気に入ったわけではないが……また見てみたいと思っただけだ」


「そうか。……分かった!なら、また連れてこよう!!」


「頼んだ」


こうしてまた俺がパーティーへ出席するは決まった。それから数日ごとに王城に行くことになる。

偶に王城以外のパーティーに出席したときは暇だったがな。イヤミーはいなかったし。


「アーク!今日は、お絵かきするの!」


「そうか。何か手伝うか?」


「一緒にお花描こ~!」


これは何度目かのパーティー。俺はイヤミーと共に花壇の花を模写していた。デイリーミッションでそういう系統のスキルも手に入っていて、自分でも驚くくらい綺麗な模写ができる。


「ア、アーク凄い!」


「そうだろう?俺だからな」


そんなことをしながら思い出すのは、ゲームのこと。より明確に言えば、ゲームの中のイヤミーのことだ。

イヤミーが悪役令嬢としての性格を前面に出し始めるのは、5歳の誕生日から。王族や貴族は5歳の時に、魔力鑑定という者を行なう。そこで今まで虐げられてきたイヤミーが、驚異的な魔力の数値を出すわけだ。そこで次期国王として推薦する者が現れ始めるのだが、イヤミーはそれを一切信用しない。

そして、自身が信用するために行なわせるのは親子での殺し合い。現当主と次期当主の2人に殺し合いをさせ、生き残った者を自分の部下に加えることにしたのだ。勿論拒否した者は多かったが、息子1人の命を犠牲にしてでも派閥に加わる者も続出。その結果、息子まで殺して後に引けなくなった貴族達による派閥ができあがるのだ。


そしてその派閥の厄介なのは、自分たちが辛い思いをしたのだから他の派閥にはもっと辛い思いをさせないと気が済まないと考える所にある。もの凄くはた迷惑な組織なのだがなぜか派閥内での仲間意識も強く、他人へ害を与えることに対して息の合った連携をしてくる。

女主人公の攻略対象達はこの集団に被害を受けさせられたモノたちが多い。復讐者の集いみたいな感じだな。それに色々あって主人公と親友キャラになる第5皇女が参加することになる。


「第5皇女、か」


「ん?シンユーがどうかしたの?」


俺の呟きを聞いたイヤミーが質問してくる。シンユーというのが第5皇女の名前だ。シンユーはイヤミーの妹に当たるわけだな。


「いや。少し派閥について考えてただけだ」


「あぁ~。シンユーは私と違って、人気者だもんねぇ」


今のシンユーは人気がある。ゲームのイヤミーは、人気の無くなった後のシンユーにも劣等感をこじらせ続けていたな。

シンユーが人気があることに関してだが、それにはもちろん理由がある。シンユーに人を引きつける魅力があるというのは勿論なのだが、非常に頭が良いのだ。現在イヤミーが4歳でシンユーが3歳。3歳などまだまだ子供で常識の無いバカなことをやる年齢だが、シンユーは同年代と段違いの頭脳を持っている。イメージとしては、3歳児が中学生レベルの数学やら理科やらの問題を解ける感じだな。

この世界だと数学や理科ではなく政治なのだが、政治のレベルを伝えるのは難しいんだよな。政治の正しさなんて測ることは難しいものだし。

今は天才と言われてもてはやされているそんな彼女。だが、一瞬にして転落する事件が起こる。それが、


「魔力鑑定、か」

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[一言] 原作の命名がw
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