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1悪 改心なんて面白くない

きりがいいところまで書き終わっているので、終わりまで毎日投稿になります。

人気が出たら話は別ですが。

突然だが、俺は転生した。しかも、所謂悪役転生というヤツだ。


「うぇぇぇん!」


現在の状況を説明しよう。俺、ギャン泣き中だ。なんと言ったって転生してからまだ数日しか経過しておらず、体は赤子だからな。泣きたくもなる。赤子は泣いて大人に迷惑をかけるのが仕事だ。


「アーク様!どうされました?お腹が空かれたのですか?」


メイドに世話をされている間に、もう少し俺のことを詳しく説明しよう。

俺が転生したのは。アーク。本名アーク・ワール。ワール公爵家の長男だ。そして、ゲームの悪役でもある。主人公やヒロインをいじめる悪役である。

ただ、これには主人公が男だった場合という前提がつくがな。ゲーム開始時に男主人公にするか女主人公にするか選べて、女性主人公の場合はまた悪役が別だ。悪役令嬢というのが存在するから、そっちが悪役になる。


「うぇぇぇ……」


「ああ。落ち着かれてきましたね。それではごゆっくりお休み下さい」


泣くのが落ち着いてきた俺を、メイドがベッドに降ろす。

さて、落ち着いたし本題に入ろう。軽く俺の転生先を説明したが、ここからが問題だ。俺がどうやって生きていくのか、が。

ちまたでよくある悪役転生の話では、処刑が嫌で悪役をやめたりする。逆に、悪役が持っている信念は持ったまま行動するなんて言う作品もあったな。

では、俺はそんな話のように行動するのか?当然そんなことはしない。そんなことをしたって、先が予想できて面白くない。折角の人生楽しまなくては損だ。だから俺は転生してから数日悩んだ末、

悪となる事を決めたぁぁぁぁぁ!!!!!!


「うええええええぇぇぇぇぇんっ!!!!」


「またですか⁉今度はどうしたのでしょう!」


おっと。決意が強すぎて、この体では泣いてしまったようだな。今度は落ち着いて宣言しよう。




俺は、悪になる。




改心したり、原作のアークをリスペクトしたりなんかしない。俺は俺の思う、最高の悪になってみせる。悪役なんて言う役職には収まらない、強大な悪に。

そうするとなるといくつも壁はあると思う。特に原作の主人公は壁となるだろうな。次点でそのヒロイン達だ。俺が悪となる上で正義は邪魔となる。奴らの対策を考えなければいけない。だが、何をするにもこの年齢では難しい。そのため、最低限成長を待たなければいけない。……普通ならば。

が、俺は普通ではなかった。俺には、力があった。




――――――――――――――――――――

デイリーミッション


・10人以上の話を聞く

 報酬:スキル『エーライ帝国語7』


達成済み

・3時間眠る

 報酬:スキル『持続体力回復2』

――――――――――――――――――――




デイリーミッションという力が。

なぜか持っていたこの力だが、非常に便利である。特に報酬が素晴らしいな。最初はここの者たちが何を言っているのかさっぱりだったが、報酬で『エーライ帝国語』のスキルを得てからそれは変わった。初日はスキルの数字が1で、獲得しても細かい簡単な単語しか聞き取れなかった。だが、次の日や別の日に2,3とスキルの力が多くなっていくと、どんどん聞き取れる単語が増加。今では簡単な文章も聞き取れる。

因みになんとなく分かると思うが、スキルの名前にあるエーライ帝国は俺たちのいる国だ。


「あうあうあぁ~」


「よしよ~し。大丈夫ですよぉ~」


聞き取ることはできても流石に話をすることは難しい。ここはスキルでは無理なのかもな。それか、別のスキルがあるのかもしれない。だがどちらにせよ、聞き取れるだけでもマシだ。この年齢から情報収集ができるのはスタートダッシュが大きく変わるからな。


そして今日、この能力を強化するには10人以上の話を聞かなければならないらしい。これが意外と難しいのだ。2つ目のミッションであった3時間寝るのは非常に楽だったのだがな。

数人の話を聞くミッションにおいて大事なのはメイドだ。俺の世話をするメイドは、何度か交代する。そのため、4人くらいの話を聞くことは可能だろう。だが、それ以上となると難しい。10人となると俺の世話をするメイド以外にも話を聞く必要があるのだ。


「あうぅ~」


「ん?どうしました?アーク様。あちらに興味があるのですか?」


そこで俺は、扉の方に興味を示すように手を伸ばす。すると俺の望み通りメイドは、


ガチャガチャ!

「ほら。アーク様。ドアノブですよ。回るんですよ!」


「……あうぅ!!」


違う!そうじゃない!俺はそのドアノブを回して扉を開けた先に興味があるんだよ!ガチャガチャするだけのドアノブに興味は無い!

俺はドアノブが見たいんじゃないんだと示すために体をジタバタとしてみるが、


「おぉ~。そんなにドアノブが気に入られましたか。……ほら。ドアノブですよ~」


俺が非常に気に入ったことになった。誤解だ。俺をドアノブに近づけでも喜ばないぞ。

と思ったが、意外と悪くないかもしれない。ここで俺がドアノブをひねって扉を開けてしまえば良いのだ。メイドが理解できなくとも、俺が開けてやるぅ!


「あぅぅぅぅ!!!!!」

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