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チョキンとミシン ~パラドックスは足元が見えない~  作者: トチ
第二章 背けた目先に芯が見えた
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第四十三話 肥えた家畜はその意思を持たない

トチです。前書きは短い方が良いと思ってます。

長々と間を空けてしまいました、普段が忙しいので申し訳なく思っております。

パっと書くと翌日なんだコレ?と自暴自棄に陥ってしまいます。

それでは 捻り出した43話ですどうぞよろしくお願いします。


食事らしい食事だったと思う、避難の上での食事とは違い。

この状況でこの食事が出来る事に感謝したい。

ワンプレートに乗った肉類と付け添え、こんな状況でなければ味わって食べるのだが、

カラメルがどうやってそのフォークとナイフで食べているのか気になって仕方がない。

彼女の手は俺やメイの物より遥かに小さく非力に見える。

とても上品に食事を口へ運ぶ姿は見習わなければと。

パンの様なナンの様な食べ物も器用に切り分けて食べている、それが正しいマナーなんだな。

まあ俺はと言ったらお構いなしに、手掴みで貪り食ってるっていうのに。

ぶっちゃけパンの正しい食べ方なんて知らないし。


 キョロキョロとこちらを伺うニシキが奇異に見えたのか手が止まる。

カラメルは口先をくッと上げると"清浄を"と唱えた。

すると水の様に歪む空気の層が浮かび、ほんの少し汚れた口元がその空間で拭われる。

おそらく魔術によるものだ、白く濁った水は泡となり煙のように消える。


「便利ですね、俺も習えば使えるようになりますか?」


 目頭に力が入ると目線だけをニシキに向ける。


「使え、、ん? ああ、これは妖精属の使いじゃ」


 鼻筋に力が入ったのを気にするように眉間を揉み解す。


「召使いみたいな感じですか?」


「契約の下、仕えておるから簡単に言えばその通りじゃな」


「じゃあ俺らだと簡単じゃないんですね、、」


「察しが良いのか悪いのか、、お主らはこれ等を従わせねばならん」


「え? 従わせるって契約を交わすって事ですか」


「そうじゃ、足りない知識を借りるのが目的じゃ」


 カラメルは妖精属(ファータ)を従わせている意味を説明してくれた。

生活上での便利さもさることながら、その地域の特色(いろ)を教えてくれる。

ファータは自然の中で生きているため、魔術の触媒(しょくばい)となる草木や天然物に詳しい。

実際カラメルも魔術触媒の知識は妖精属から得ているとの事。

わざわざ採取や調査をしなくても、ファータが集めて来てくれる。

コンリーを回復させるのに使った"リンイ草"や"浅水藻"などはファータが採取したもので、

必要最小限の量なら主成分のみを抽出して、魔術詠唱中に添加することが出来る。

ただしファータはとても弱い存在で、気性の荒い生き物や強い植物には近づこうともしない。

契約に至っては相手を選ぶとも言われており、その重要性と難しさが強調された。


 息つく暇もなかったが、それはカラメルも同じだったようだ。

張った耳の下を探ると肩の力を抜くように口調が変わる。


「ここに戻るのも久しぶりじゃ、湯にも浸かりとうなった」


「そんなにお風呂入って無いの?」


 ミシンさんそれ駄目、自然と聞けるの強みだけど…


「湯浴みもしておらん、お主らに言われとうない」


 ほらねという案の定の口撃は無かった、どちらかと言うと憐れみすら感じる。


「あーそういや俺たちこっちに来てから風呂入ってない」


 棒読みか? そうでないかの線を探り割って入る。

それに合わせ肩口を鼻下に持って行きスメルチェック。


「お主もそっちも臭いぞ、オス臭いしメス臭い」


「え「えぇ!」」


「嘘でしょ?」


 カートゥーンのように動くカラメルはやれやれと言った面持ちだ。


「の前に、その気持ちの悪いのをどうにかせんとの」


「あ、これ治してもらえるんですか?」


 お化けみたいに、手の甲を差し向ける。


「治すというか、除去じゃの」


「そのままじゃと、育ててしまうからの」


「俺なにかされたんですか?」


「よくは知らんが、散実でも貰うたんじゃろ」


 首が45度傾くも素振りでしかない。


「化け物が類を増やす事を"散実"というんじゃが

 他の生き物に種を植え発芽させ意思を奪う事が目的じゃ」


「じゃあ俺は化け物になりたてって事?」


「そうとも言えるが本来であれば、依代の身動きを取れなくして

 じっくりとその類にするもんじゃ

 種によっては知らぬ間に実を植え付ける物もおる」


「ごめんなさい、、俺から貰いに行きました、」


 グライデルとのやり取りを軽く流し、巨大虫の破片が当たった事を擬音交じりに説明する。


「なるほどのぅ、そのような増やし方もあるとは」


「ゴミが当たりそうだったのを払っただけなんですけど、、」


「お主も大概気持ち悪いの」


 患部が気持ち悪い方がまだマシなのか?


「どれ、、コンリー! 術具拘束六式正は有ったかの?」


 なんか物騒じゃないですか?


「五式試しか無いわよ~ あれ高いもん、、っていうか食べ終わってからにすれば?」


「もうそれで良い、用意せい」


「もう思い付いたらすぐなんだから」


 コンリーは手に着いた滴を払いながらそそと別室を伺う。


「、、、、それ痛いの?」


「チクッとな、ちょっとじゃちょっと」


「ええ! また見れるの! まって待って私も見る~」


「何か始まるんですか?」


「メイちゃんもソレ火から降ろして、おいで~」



それからの事は思い出したくもない、、



「男の人もキャーって言うんですね、ちょっと可愛いです」


「前もっと凄かったんだから、涙浮かべちゃって」


「痛いナッシーが登場しない事に不満がある」


「泣いてもないし、そんなゆるキャラはいない」


「このように騒ぎ立てるおのこは初めてじゃが、ソレなりに可笑しかったぞ」


「もうやめて、危うく化け物になるとこだったんだから」


「そうじゃの、あの(たわ)けは手遅れじゃが、、」



 空気が一瞬で変わった。



「アレの始末を付けるのは私怨(しえん)じゃ、

 アレが不憫(ふびん)でならぬ、このままでは報われぬ」


「俺は覚悟してるし 腹は決まってる」


「私怨じゃともう、、そうか、ただ、、これに付き合う必要は無い」


「あの人には貸しもあれば借りもある

 このまま会偶(かいぐう)しても、次は死ぬ自信がある

 それなら必要な準備もしなくちゃいけないし」


「アレと対峙すると申すか?」


「一瞬の隙ぐらいしか作れないだろうけど、、その一瞬を引き伸ばせないかなって」


「お主は無茶を云うの、じゃがその時は頼む」


「俺からもお願いがある、カラメルさんは

 その戯けを殺さず助ける方法を考えて欲しい」


「さんは要らぬ、カラメルじゃ」


「OKって事で良いかな?」


「はい追加~ いまはお腹いっぱいにして、体さっぱりして

 休息しようね、難しい事はそれからにしよ?」


 各々が持ち場に着き、テーブルの中心を見つめる。


 慣れないこの館に一拍ひとはくの安らぎが有った。


いかがでしたか?

よく分からない機械って怖いですよね、これは私の経験から来ています。

アッチコッチに話が飛んでいますが私っぽい。


二章 第四十四話 サブタイのサブタイ「引而不発」

また皆さんとお会いできるのを楽しみにしております。

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