第四十一話 細やかな気遣いで相手を傷付けていた
トチです。前書きは短い方が良いと思ってます。
どうした? 夏! らしくないじゃないか?
そんなに無茶したら(みんなが)体壊すよ、いつもの夏に戻ってぇ!
なんて擬人化してみたり、、
それでは 第四十一話をご覧ください。
二人の会話は弾むでもなく、淡々と事務的に開始された。
ソウサの話は聞いているのか居ないのか、グライデルの話題を避けているとも。
それでもコンリーはカラメルに話し続ける、受取って貰えない厳しいプレゼンのように。
ほんの数日前に合ったニシキ達の話に入ると、コンリーの話を遮るよう
両前足をソファに付き深く座り直す。
ニシキもそれに合わせ彼女を横にしたソファのひじ掛けに腰を乗せる。
「腹が減ったのぅ、何か無いのか」
「それならメイが水を汲みに行っているんで、、」
タイミングよく館に三々七拍子が刻まれる、応援でも、めでたくも無いのだが。
メイと決めた合図はこれ、でなんで三々七拍子にしたのかは今でも理解に苦しむ。
知恵のある生き物で無いとあのリズムは刻まないなって思った。
電話の"もしもし"みたいなそんな魔除けみたいな。
無限ループする三々七拍子、少し鬱陶しくも耳障りにも聞こえた。
その設定をしたのはニシキなのだが、その後悔はメイに失礼だったと反省した。
軽く返事をして宅急便でも受取る足取りで扉に向かう。
外気の冷たさが伝わるノブを回し、まつ毛を輝かせたメイを引き入れた。
「おつかれ、問題なかった?」
軽々と壺を抱え温もりの先に踏み出す。
「はい、少し寒くなってきましたけど、大丈夫です」
小さな息遣いと布の擦れる音。
「メイちゃん、、嫌な役回りさせて、ごめんね、、」
横目でコンリーを見るも安堵に仕上がった泣き顔を背けた。
「いいえ、良いんです、コンリーさんの覚悟が伝わってて、
でもあの時は私にしか出来ないだろうなって」
カラメルは背もたれに顎を乗せ虚ろにメイを眺める。
「、、ほう」
巨大な壺を暖炉脇に降ろすと、こちらを向く狐の頭部を発見。
「あれ? もう食材調達したんですか? 捌くの得意なので絞めましょうか?」
「誰が食材じゃ! チビが! 丸刈りにして寒空に放り出すぞ!」
今にも飛び掛りそうに背中を丸め犬歯を剥き出しにした。
「キツネが喋った?!」
「、、あのね、見た目はキツネなんだけど、中身は人属よ」
「ええっ! じゃあ俺と同じって事ですか?」
それはちょっと心外じゃないかと思ったが、人の方がマイノリティなんだよな。
「カラメルはね"転心"を繰り返してるの、今回はキツネってだけよ」
ちゃっかりと言うか、位置的にそこで良いのか、
ミシンさんはカラメルの脇に座っている、が俺だけに聞こえるように耳打ちする。
「四妖拳」―ボソッ―
―ボソッ―「なんで太陽拳とか、どどん波を選ばない、って言うかハンはどした飯」
「なんでって、いま"御飯"の話してるんだよ、さよならキンさん」―ボソッ―
―ボソッ―「あーなるほどー、とはならないし自爆する気か」
こんな事で頬を赤くするな、あとこんな事で暴走しないでくれよ、、
「ごめんなさい、丸々として煮込んだら美味しそうだなって」
メイは胸に手を当てて謝意は示したが、驚きで表情が伴わない。
「うぅ、、太ってないし、じゃろコンリー、、」
「そんな変わってないと思うよ、4年振りだし雪毛だし」
「まだ雪毛は生えておらん、、」
ニシキには疑問が残る。
「なぁメイ、なんでキツネが喋るのは変なんだ?」
「え? だってキツネですよ」
「ん? ヒツジのメイに言われても」
「お兄ちゃんは失礼です」
ぷんぷんってホントにやるんだ、リアルで見るとあざといな。
「私はヒツジ属と人属の中間なんです」
「ブタさんを食べても、オークは食べないでしょ?
私もヒツジを食べるのには、かなり抵抗ありますけど」
「イカは食べても、擬人化すると食べないでゲソ?」
「ゲソ?」
俺も脳内、侵略されてなイカ?
「って事はミシンさんやコンリーさんは元があるって事?」
「私たちは妖精属と人属の中間にいるの
振れが大きいと偏ったりするけど
どちらかへ完全に寄ったりはしないのよ」
あー妖精って野生動物とかの括りなんだー。
小っちゃくてレオタードで目の前を飛び回りながら
元気一杯に応援しながら"やっちゃえー!"とか言わないんだ。
また一つ夢破れたって感じだよ。
「して食い物はないのか? お主らよく腹が空かんのぉ」
キツネの後ろに倒れた耳を引き上げるミシン、ぬいぐるみをいじくっているようだ。
「やっぱり本能的に冬眠準備なのかな?」
「発掘されるまで冬眠したいんじゃな? そうなんじゃな?」
「ダメですよ、キツネは耳聡いんですから」
「化け狐の扱いはやめい! 元は見目麗しい珠玉の乙女じゃぞ!」
どこぞのお嬢様だったとかかな、中身人属っていう括りは珍しいのか。
メイの反応から察するに特別な存在なのか、それと"詩聖の賢者"とは一体なんなのか。
狭苦しい頭の中一杯に想像が駆けずり回っている。
「それと耳長娘よ、じっくり尾を逆撫でるでない!」
「マフラー てぶくろー キーホルダー♪」
「ミシンさん、キーホルダーは俺らより上の世代だよ」
「一昨年ぐらいにも流行ってたよ?」
「へーそうなんだー それってリアルファー?
なんかコンプライアンス的にフェイクファーのが良い気がするけど」
「"こんぷらいあんす"とは生身を前に話しても問題ないんじゃな!」
こんな言葉遊びにワクワクしたコンリー。
「この子たちはこうやって距離を測ってる、一切の遠慮がないのよ
でもそれが出来る距離感は、風通しが良くてあの街より息がしやすいでしょ?
カラメルの内核を少しでも知ろうとしてるの、だから一緒にふざけてみたら?」
「じゃが弄られるのは好かん」
「見える私からしたら、羨ましいんだけどね」
「そんなものかの」
「そんなもんだよ」
小さく切れ上がった口元はさらに小さく息を付き犬歯の先を覗かせた。
「キツネさん! キツネさん!
何か食べたいものはありますか?
あと食べられない物とか?」
「誰がキッ、、肉じゃ、木の実は喰い飽きた
手の込んだ肉料理を欲するぞ」
「はーい、腕揮っちゃいますよ」
グルグルと肩を回しながら袖を捲る幼く頼りない腕。
おそらく"腕を振う"と勘違いしているのだろう。
だがその意気込みは頼もしい限りだ。
「我は"カラメル・キャラメル"じゃ
お主らには特別に"カラメル"と呼ぶ事を許すぞ」
「それじゃ、、カラメルさん、ちょっと待ってて下さいね」
「私ん家だし手伝うよ」
カラメルの位置はそこで正しいのか、ミシンの膝の上に座らされる。
いかがでしたか?
年齢の差は カラメル>コンリー>メイ>ニシキ>ミシン
遠慮の無さは ミシン>メイ>カラメル>ニシキ>コンリーなのです。
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二章 第四十二話 サブタイのサブタイ「前仆後継」
また皆さんとお会いできるのを楽しみにしております。
誠意執筆中です。




