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チョキンとミシン ~パラドックスは足元が見えない~  作者: トチ
第一章 ここに至るまでの経緯とかなんとか
3/43

第三話 暗いボケには、明るく突っ込めないですよ?

トチです。前書きは短い方が良いと思ってます。

ちょっと早く書けたので、早く投稿できる事が幸せです。

現実世界のお話が先行してますが、前振りが利いてると

ボケるのも楽しくなります。ご参考までに。


それでは 第三話です。

 紳士は窓の方を向き、遠い目をしながら続ける。


「この国で六条天皇(ろくじょうてんのう)の頃から、語り継ついでおり

 また、かの国ではローマ帝国の頃から800年に及ぶ年月

 ご降臨(こうりん)をお待ち申しておりました」


 あの場所の説明はしてくれないんだ、宝くじ売り場って思ってるよ?俺。


「誰の事でしょう?」


 真顔も引きつる


「我々代々受け継がれてきた、(うた)が御座います」


 すぅっと息を吐くと語り部(かた べ)のような口調で歌い出す。


「いななく鉄馬(てつま)(またが)り、流々放蕩(るるほうとう)で根を持たず、星々映すその瞳

 その者青き衣を(まと)いて、(よわい)二十歳を向かえても(なお)清らかな身で在られる

 一切の疑わしき影もなく、幾年月も一人身(ひとりみ)を世に(ささ)げるもの

 この者 "彼の世(かのよ)"を救うものなり」


 あーディスってんなコレ。遠い過去から難しい言葉でディスられている。

俺バカだけどこういうの分かっちゃうんだよね。

鉄馬、バイクね。昔の人はバイク知らないよな、きっと

根を持たずって実家あるし、まだ実家だし!

星がなんたらは良く分からないが。

コレあれだよね、超有名な奴。金色(こんじき)の野に降り立っちゃうやつ

確かにいま着てるの青だけど、ワー〇マンだけど。バイク寒いんだよ!

ホント失礼だな!すんでまでは行ったんだよ、すんで。

前振りはいいよ、問題はここだ!なに幾年月も一人って、

未来予想図が完ソロ決定みたいな、、疑わしき女の影も無いの?

凹むわ~マジ過去の人並べて説教したいわ~


 この間たぶん俺は白目()いてた、


「でも、コレだけじゃ俺って特定出来ないでしょ!?

 もっと似つかわしい、その"降臨"が似合う人とかいるでしょ!」


 少し表情を崩しながら紳士は続ける。


「降臨者にはもう一つの証があり、貴方様のお持ちの

 聖なる紙が共にある事が重要です」


「聖なる紙?それは無いな持って無いですよ、ほんと的外れですよ~」


 紳士は涙ぐみながら声を絞り出した、、


「彼女達は幾年月も待っていた

 宝くじに()した、聖なる紙と共に現れる者を!」


「いやぃやいゃいぁぃぁー嫌ぁあああぁ!!!外れ引いたぁっっ!!!」


 宝くじ当たってから、叫びたかったです。

だって外れて叫んでる人、見たことないし。


---------------------------------------------------------


 叫んだらちょっと冷静になった。

目の前にあった応接テーブルを、

ひっくり返そうと思ったが、重くて持ち上がらなかった。


「俺は一体どういう事に、なるんですか?普通に能力とかないし、

 でもタダじゃ帰れない様子ですし」


 紳士は、おぉ!といった感じで明るい眼差しを向ける


「それでは順を追って、ご説明致します」


 一つ咳払(せきばら)いの後


「世界を救って下さい」


 ははーん時間ないのかな?順を追い掛けすぎて説明が逃げたかな?


「意味わからん!」


 俺は立ち上がって続ける。


「だって世の中、平和じゃないですか?まぁ多少の犯罪や、

 国同士の争いはあるんでしょうし、

 それは警察やら国の偉い人がなんとかするだろうし、

 救う世界はどこにあるって言うんですか?」


「この世界では、、」スッと肩が落ちる


「私は28代目当主、長く受け継がれて来たものの、

 私には救うことも叶わない、私の先祖は"彼の世(かのよ)"から来たのです」


「いいや、、落ち延びたと言うのが、正しいのかも知れない」


 "彼の世(かのよ)"と紳士は呼んでいた、そっちの世界じゃ見たこともない化け物が出て、

国がいくつも滅ぼされたとの事。鉄の剣や魔術の類も反抗には至らなかった。

最後に残された城で、多くの民衆が集まり最後の時を迎えようとしていた

紳士の祖先もそのうちの一人であったらしい。

その城に集まった民衆に一人、呪法を心得る者がいた。


「我が娘に"斯の地(このち)"より、神託(しんたく)が下った

 これより数百年の後、"斯の地"より聖なる若者が現れ

 我々を救いに来たる。それまで我が呪法で眠りの時を過ごさん、

 聖なる若者には導き手が必要である、"斯の地"にて降臨を導いて欲しい」


「おそらく"斯の地"では、力を持たなく生まれ出るであろう、

 普遍的ないで立ちであり、無能に見えるかもしれん、

 "彼の世"に渡ることが出来れば、"彼の世"の、、、光になるやも知れん

 聖者でなくては化け物は沈まぬ、"斯の地"にも災いが降りかかるであろう

 "神託(しんたく)心象(しんしょう)"は導きの者たちに魔術として(たく)す」


 はいまたディスられた、凡顔(フツメン)だけども。

これでも風呂の鏡じゃ、ちょっとイケメンに見えるんだよ!

ドライヤーで乾かすと元に戻るが。

"神託の心象"ってのは俺のイメージって事だよな?

なら数年前から当たり付けとけば、俺もそれなりの準備出来たのに。


 紳士の祖先と数名の人柱(ひとばしら)が、斯の地に渡り

"導具(どうぐ)"と呼ばれる、"彼の世"へ聖者を導くための道具を託された。

忘るるなかれと聞かされた詩が最期の言葉だった。


「いななく鉄馬に跨り、流々放蕩で根を持たず~♪


 もうそれいいから、メンタルマットに仕上がるから。


 宝くじに仕込まれた魔術が、"神託の心象"に反応する仕組みらしい。

本当に迷惑でご苦労な事だ。若者って普通10代なんじゃないか?

詩の内容と宝くじでダブルチェックって事か。まっ仕事の基本だな。


 紳士の祖先が最期の狭間(はざま)で見たものは、

呪法で鉄塊(てっかい)と化す民衆の姿と、

化け物の腹から鉄塊に流れ落ちる、溶岩の姿だった。


「、、うんなんか聞けて良かったよ、いま流行りの小説書けそう、

 まぁ話のネタにはなったかな、、

 でもさ俺に何が出来るの?平凡だし力もないし特別な人間じゃないよ」


 紳士を困らせているのは分かっている。

でも正直怖い。魔術とか化け物とか現実なのか?

知らない世界に行くとか、ちょっとドキドキする。

でも命掛かってる、失敗したらどうする?どうなる?

知り合いや家族に何て言おう、そもそも言えるのか?

でも行ったっきりなのか?ちょいちょい帰って来れるのか?

不明な点が多すぎじゃないか?


 ふいに出た。


「時間は?彼の世に行くまでのタイムリミットは?」


紳士はまた悲しそうな表情をする。


「貴方様が聖なる紙に触れた時点で、向こう側にも知れ渡っております。

 微塵の猶予もありません、何故なら」


と俺の足元を指さす。


 影が!?本来床にあるはずの俺の影が、くるぶし近くまで上ってきている。


「それは()()、化け物の術、

 影の末端(まったん)が胸の辺りまで到達すると、心臓を持っていかれる」


―ズッズズッ、、、ズッ、―


「彼の世から斯の地へと干渉(かんしょう)してきておる」


 なるほど影の形が指の様に見得る、意外と冷静に見てしまう。


「悲しい現実を話すと、貴方様が彼の世に渡らないと斯の地が汚される、

 近しい目線で話すと、お知り合いや御家族の命も近く奪われるでしょう、

 貴方様の(しかばね)起点(きてん)に、世界は終末を迎えるでしょう」


 勝手に身内を人質に取られた感じか、それも今日一日で。


「あーもう分かんないけど、分かった、、行くよ。

 俺があっちに行けば少なくとも、こっちの世界は平和のままなんだな?」

 

 このままココにいたら、俺は世界の鼻つまみ者じゃないか?

それは嫌だ、モテない


「おっしゃる通りで、、、すまぬ、」


 紳士は瞬きもせず応えた。


「俺デメリットしか無いよ、実際うまく行く気もしないよ、

 一人で世界を救うってのに、この」

 

 悪態をついてはみたが、紳士は言葉を重ねてきた。


「彼の世に向かうのは、御一人ではございません」


紳士は車椅子のひじ掛けにあるスイッチを二度押す、、、何も起こらない。

イラっとしたのか連打!じいちゃん結構早く動けるじゃん!

紳士の入ってきた扉が、ゆっくりと開いて声が。


「そんな押さなくても、最初の一回で立ち上がってます、

 そっちに行こうとしてます」


 眼鏡、ポニーテール、、ミシンさん?


------------------------------------------------------


 ミシンさんだ!なんか泣きそうになった。

久しぶりに知ってる人に会った。助かった?

なんで?店は?休みか!俺もだ!

頭の中がグルグルになった。

彼女は何時もの格好とは違って、なんか異国っぽい服を着ていた。

どこの異国と聞かれると分からないが、とにかく異国っぽい、その服可愛い。


「なんで、キンなのか説明してくれますか?」


 ミシンさんは腕を組み、一つ息を吐き冷静になろうとしている。


「魔術が選んだ者を、我々は否定できないであろう?

 時間がないんだ、詳しい話は彼の世でミシンから聞いて下され」


 ふぅとミシンさんが息を漏らす。


「それと"導具(どうぐ)"を持たねばならん、ミシン 壁の盾を押してくれ」


 ミシンさんはヤレヤレといった様子で、

スタスタと壁際に向かい、比翼銀行のマークの入っている盾をおもむろに叩く。

ゴンッン゛ッ!音が重い。それ腕の力のみで叩いたの?

ズズッと盾が凹む、ミシンさん力あるな?盾が壁にピッタリと収まった。


 それに呼応(こおう)して、応接テーブルの中心が半分に割れ、何かがせり上がってくる。

ん?なんだこれ、黒くて丸いマウスパッド、預金通帳?と輪っか、、?

導具ってコレの事か?なんか今っぽいな、向こうにも銀行あるのか?

あとなんかオシャレな輪っか2個。


「お急ぎください!魔の手が腰の辺りまで来ております、

 "彼の世"の事はミシンが熟知(じゅくち)しております!

 その導具を持って、ミシンと共に急ぎソファーへおかけ下さい!」


「急いでるのに、何でソファーに座らせるんだよ!」


「聖なる若者に、祝福を!」


 両手を広げ天を(あお)ぐ紳士


「ボッッシューーートッ!!!」

 

 ―カチッ、バーーーン!!―


「あっ!ジジィ!言いやがったな!!!」


 某細かすぎるの様に真ん中から割れるソファー、下は真っ暗闇

自由落下ってどこまでが自由なんだろう、、落ちるしかなくて不自由なのに。

目に入る、上方の四角い穴から見下ろす紳士。


「最後に!あんたの名前は!!!」落ちながら目一杯叫んだ!


「わたくし、セバスチャンと申します!」


「あんたの見た目は!使う側だろぉーーーーーーー、、、、

いかがでしたか?

少しずつですがお話の展望などが、見えたなら幸いです。

錦と世界の関係性も、少しずつ明らかに出来ればと思います。

説明過多にすると、クドくなりそうなのでサラッと書けたらと考えてます。

造語の書き間違いなど注意してます。

誤字の報告・評価など頂ければ、大変励みになります。


次回 第四話 サブタイのサブタイ「雨天鈍行、二・四・六」

それではまたお会いできるのを楽しみにしております。

誠意執筆中です。

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