第二十七話 早替わりの仕組みを知ると苦労も分かる
トチです。前書きは短い方が良いと思ってます。
なんと今年の節分は2月2日という事で124年ぶりだそうです。
立春に合わせた結果1日ズレたという事です。
私が気になったのは124年ぶりのぶりでした。
ぶりの時間的な感覚は124年に使わないですよね?
「久しぶり~」って124年はないですよね。
いや別にブリブリしてませんよ。
それでは 第二十七話です どうぞ
隣の部屋は少し冷やりとし空気が違う。
彩霞というのは大気や大地の水分を引き集め、
対象に纏わせる魔術で気化熱を利用している。
霧を纏わせているのでもちろん衣類や寝具なども、
水分を帯びてしまうのが難点である。
砂漠を長時間移動する際には非常に有効である。
コンリーは先ほどグライデルが施した処置を解く。
風を通し集まった霧を散らせるように魔術を使う。
それはまるで密教の早九字の様だ。
背後からそれを見つめるニシキとメイ。
メイに至ってはニシキの足に隠れている。
「フゥ、、こんな感じかな?
硬堅は紐自体を触媒にしてるから
ジジイしか解けないか、、、」
ミシンの手首に巻き付いている硬化した元紐を、
人差し指で、ピンっと弾くとニシキの方を向く。
「このままじゃ、気持ち悪いだろうし
着替えさせるから、ちょっと手伝って?」
「え?腕が抜けないですよね?
どうやって着替えさせるんですか?」
「服を切っちゃえば脱げるでしょ?
また縫えば良いんだし」
「あ、そういう事ですか、、んじゃ手伝います」
腕を捲りながら、さてとアクションする。
「ナチュラルに女子の裸を見ようとする
君は流石です、、、メイちゃんだっけ?
あなたにお願いするから、こっち来て?」
「は、はい、、あ、の、、、」
コミュ力は低いんだな。
言いたい事はハッキリ言えばいい。
「その、時間が掛かりますけど、縫い目を
解いた方が、、直しやすいと思うんです」
「まあ、そうね、、、」
ちょこちょこっと小走りで近づく。
ニシキの真似なのか腕捲りをした。
「なので、私が服の縫い目を解きます」
「じゃお願いできる?
ニシキ君は部屋を出る事を、お願いできる?」
「、、はい」
「はーい!」
「覗いたら頭頂部に大通り出来るから覚悟してね」
「イエス!マム!」
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仕方なしと言うか、まあ男の出る幕じゃないな。
俺が活躍した幕なんて、そもそも無いよね。
しかし魔法って色々出来るんだな。
彩霞だっけ、アレを早くから使えてりゃ、
砂漠の移動も苦じゃなかったんだよな。
大気中や地面の水を集めるって、
理屈は分かったけど、実際簡単じゃないしな。
ミシンさんの火はどこから出したんだろ?
メイの石は砂からって感じかな。
にしても俺の思っていた魔法とは随分違うみたいだ。
ベ〇ラマ!とかブリ〇ド!みたいに、
唱えりゃ使えるのが魔法だと思うし。
ホ〇ミみたいに体力回復とか、
エ〇ナで異常回復!とかあると便利だな。
魔術は物質の理解って言ってたもんな。
体力回復の理解なんて到底無理だし、
そんなの普通に寝るしかないもんな。
MPとかあんのかな?LVとかさ、
なんか肉体的な基準もないもんな、コンリーさんの
ジャンプ力も半端なかったし。
今日は昼前に出たのに、もう3時か、、
なんか毎日バタバタしてるのな俺。
今日こそは離受盤使うぞ!あとなんか送って稼がねば、
それにオーナーとも連絡取らなきゃだし。
ソウサともあんな感じになっちゃったし、、、はぁ~
砦に戻りづらいな、、メイもだろうけど。
普通に宿屋とかないかな、、、危険かな。
コンリーがカーテンをガバっと捲って出てきた。
「君ちょっと考えすぎだから
何ベ〇ラマ!って動物?ブリ〇ド!ってなに?
体力の回復には食べることが一番だから
異常の回復は彩霞で見たでしょ?
それに魔法なんてお伽話でしかないからね!」
「あの~妄想に返事するの
止めて貰って良いですか?
寝言に返事されてるみたいで
戻って来れなくなっちゃいそうなんで」
ほんとヤレヤレだぜ。
「嫌なら、声に出して言って!
妄想が駄々洩れしてるから」
「え?嫌ですよ!独り言|しゃべってる
ヤバい奴みたいじゃないですか!」
「それなら最初に"独り言いいます"って
しゃべり始めれば変な目で見られないじゃない」
「そんな奴、見た事あります?
"独り言いいます"って独り言しゃべり始める奴」
「もう、そういう奴だとアピールすればいいじゃない?」
これ以上はメンヘラと話してるみたいで
張り倒されそうなんで切り上げることにした。
「メンヘラってなによ?」
「掛り付けのお医者さんに相談して下さい」
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とまあ他愛のない話だったハズなんだが、
コンリーさんから不意を突かれる事を言われた。
「その後ろに入れてる導具って何なの?
そろそろ教えてくれても良いかな?
リジュバン?って言うの?」
「まあコンリーさんに隠し事してもバレますし
良いですよ、変な物しか送れないんですけど」
俺は肌身離さず持っていた。
ハズなのに砦で全裸にされてて慌てたが、
洗濯物とは別にされて難を逃れてたよ、
ほんと焦ったよね洗濯されてたらヤバかった。
預金通帳とかボロボロになってたかも。
離受盤と預金通帳を取り出した。
コンリーはそれを手に取り鑑定師のように
あらゆる角度から眺める。
「これも転移か~あっちの人は転移好きね?」
「なんか向こうだと使えないみたいですけどね」
「それで?コレは何が出来るの?」
説明が大変でミシンさんに頼みたかった。
言葉にするよりかは頭で想像できてるから、
そのまま覗いてくれて良いんだけど。
「んじゃ、そうする」
「もう喋るの止めます?」
「余計な事考えないでね~
ごちゃごちゃするから~」
コンリーはニシキの頭部を凝視する。
目線の位置は変わらないが、たまに瞬きをして
理解したかのような頷きを見せる。
一度片方の眉を上げると一息吸う。
「ありがと、なるほどね、、、それで
ニシキ君は何を転移するか迷ってると」
「それって便利なんですか?
仕事が魔術師って大変ですよね
見てると色々と嫌な事とかありません?」
ニシキの中の情報を整理してる様子で、
一度握った手を開きながら返答をする。
「魔術師が見てるのとは違うのよ
私のは見えちゃうから違う
調律師に向いてるんじゃなくて
勝手に見えちゃうの、、、
、"ちゃうの"って可愛いの?」
首を少し傾けながらニシキに目線を送る。
腕が胸の前でクルっと組まれる。
「、、、まぁ、はい、、そう思いました
ミシンさんには内緒ですよ、、」
「お兄ちゃんとしての熱い思いとか?」
首を軽く横に振りながら困り顔をした。
「それこそゴタゴタしますよ」
「あとそのヨキンツウチョウ?って生値書ね
それ君の為に作られてて、能力が見れる手帳よ
最後のページに色々と書いてあるはずよ」
「え?なんですソレ!」
慌てて開いてみたけど全く文字が読めない、
というか柄か模様にしか見えない。
大いにぬか喜びさせてもらった。
いかがでしたでしょうか。
どんどん二人に感化されていくコンリー
理解者でもあり楽しんでいる感もあり
私としては嬉しい限りです。
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次回 二十八話 サブタイのサブタイ「切問近思」
またお会いできるのを楽しみにしております。
ただいま絶賛執筆中です。




