第二十六話 ボケを一つ飛ばした時は、フォローが大事
トチです。前書きは短い方が良いと思ってます。
手が凄く寒いです、集中してキーボードを打ちたいのに、
エアコンの温風は手元まで温めてはくれません。
もう灯油を買いに行かねばなりませぬ。
それでは 第二十六話です
コンリーの店に入るソウサ、後に続くメイ。
グライデルは振り向きもせず椅子から腰を上げようともしない。
国の王に対しても憮然である事が伝わった。
メイはと言うと振る舞いが従者に戻ってしまっている。
それほど広い店内ではないが全員の圧が伝わる。
カウンターの上を片付けながらコンリーが切り出す。
「聞いたから、どうだって言うの?」
「それ分かってて聞いてるだろ?
お前の考えている、そのままだ」
ソウサはメイが運んだ椅子に座りながら続ける。
「それにミシンをお前の所に置いた理由も
ちゃんと理解してるんだろ?」
「すまんな、話を纏めさせてくれ
各々何を考えている?」
グライデルは俺の気持ちを汲んでくれたのか?
心が読めるならそんな必要無いと思うが、
当事者が置いてけぼりだしな、何するんだ俺は?
まず王ソウサの意図はこうである。
他国との争いに利用する、ミシンの放った火の杭は
たとえ一度であっても絶大な威力を見せた。
その力を使えば領土奪還の礎となり。
第三勢力の化け物に対しても有効打を与えられる。
利用次第では呪法の代わりを務める事も出来るのではないか?と
自らの野心を隠しもせずにスラスラ話す。
コンリーはソウサの意図を汲んで反論する。
種族間の争いに異世界人を利用することは、簡単に容認できない。
国家間の争いに民が必ずしも徴兵される事ではない。
二人はこの国の民ではない、愛国心など皆無である。
この国のやり方に嫌気がさして、寝返り、
敵方にでもなったりしたら取り返しが付かない。
呪法の代わりは調べないと分からないが、
これも異世界人に肩代わりさせるのは違うのではないかと返した。
続いてここまでで理解ができた、オドの負荷の説明を進める。
魔術の本質は個の力量次第だが、オドを通すと効果・威力が増す。
簡単に言うとレンズを通す事だと言う。
太陽の光をレンズに通すと火が付く、理由は集光するから。
遠くを見るためにレンズを通すと良く見える。
光を屈折させて焦点を合わせているから。
ただそのレンズが曇っていたら、影を作るし近くすら見えない。
魔術師は魔術効果を高める為に、オドを磨くのだそうだ。
ニシキが行ったオドへの負荷というのは、
突っ込みが瞬発的にオドを肥大化させオドを磨いたという。
個が持ちえない大きさのオドと輝きを作り出した。
ミシンの時は正しく魔力の放出が出来なかった為、
魔力暴走、意識混濁を起こしていると説明してくれた。
魔術を理解し、正しく放出が出来れば、
あのような事は起こらないと力説してくれた。
「つまり、お前がアレを弟子にするって事か?」
コンリーは睨みつけるような視線で、
師グライデルに一喝を入れる。
「ジジイには渡さない、この国にも利用させない」
弟子と言うよりも姉妹の様な言い方をした。
コンリーには情のような物が生まれていた。
それは何よりミシンの事をウミに頼まれたからでもある。
「ニシキ君には、オドの負荷がどうして起こるか
その解析させてもらいます、二人は私が預かる」
「ちょっと業突くじゃねえか?それ?
お前ひとりで、んな面白いもん持って?」
「ここに私を縛ったのもジジイなんだし、
戻って来たなら、私がここにいる必要もない
数日中に、二人と共にアテノを出ます」
ソウサは指を組み、二・三度骨を鳴らす。
「で?コンリー、アテノを出てどうする?
野盗でもやるつもりか?」
「そんな、、、ソウサに関係ない!」
一瞬だがコンリーは悲しそうな表情をする。
「大ありだな、ニシキは俺の夢に
乗せるんだからな、、そこに情はないと思え」
事の運びが急展開すぎるんだよ、
考える時間すらないのか?
「ちょっと待って下さい!
俺たちの意見は無いんですか?
それを決めるのも俺とミシンさんです!」
「まっそうだな、、、事を理解して従うか自決するかは
こいつら次第だからな、まぁ好きにしろ」
グライデルの思い付きに血の気が引いた。
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グライデルの一言から長考してしまった。
ミシンさんの拘束で、もう騒ぎは起きないだろうって事で、
ソウサとグライデルは店を出た。
何でも軍事に拘る事らしく、協力する気がないなら
聞かせる必要もないと砦に戻って行った。
「あなたはどうするの?ソウサへの恩義があるし
ニシキ君は、、、お兄ちゃんだし、どうする?」
コンリーはメイに目を配る。
メイはその場を動こうとはしない。
「私は、、あの女の人に、、あやまらないと、、」
「なんで?」
少しだけメイに興味を示す、その表情は柔らかい。
「そうだよ、メイが謝るのはちょっと違うと思うな」
「私にもあったんです、悪意が、、ありました」
悪意ってそのまま返される、それが普通だと思うけど、
それじゃ世の中良くはならないけど。
「お兄ちゃんを守らなきゃ、倒すんだって
魔術を使って殺そうと思いました」
「そりゃ普通の考え方だよ、いきなり襲われたわけだし
ただ殺すって発想は行き過ぎだけどな」
コンリーは困った顔をする。
「そこは違う、ニシキ君は理解してない
魔術の戦いは殺し合いなの、それが普通」
そんな大げさな、、殺すだなんて、俺が変なのか?
「練習じゃない実戦なの、相手の力量なんて
測る間なんてない、次の瞬間には蒸発してるかも知れない
万が一に避けられたとしたら、
逃げるか続けるかを決められるけど」
寝室の方を見ながら続けた。
「そこも含めて理解させないと、、
あなたもあの子も、ね」
メイとコンリーは初対面ではなかったが、
改めて互いの関係について話し合った。
メイは宮中でグライデルから片手間の隙に、
魔術の基本と応用を教わっていた、だが魔術は初心者である。
もちろん従者が直接、王をお守りするというのは少ないが、
いざという時には自分の身ぐらい守らなくてはならない。
自衛のために魔術を習っていたそうだ。
つまりコンリーとは同じ門下生と言う事になる。
魔術は得手不得手があり、グライデルは水を操るのが得意、
コンリーは風、メイは土と比較的に物質理解がし易い、
魔術を基本として使うという事だ。
しっかりと事象を理解できれば、時間なども操る事も出来るらしいが
そんな魔術は見たことがないと、あくまでも例えだと念を押された。
「ちなみにメイは俺のツッコみに、なんか感じた?」
「意味が分からくて、ポカンとした」
じゃあ俺のツッコみが理解できれば、
他の魔術師にも負荷がかかるって事なのか?
それともミシンさんだけがそうなるのか?
「そこら辺は検証しないとね?」
「!ですよね、、?」
考察中に返事されると、ちょっとビックリする。
「そろそろミシンちゃんの彩霞を解かないと
こんどは凍えちゃう」
そう言ってコンリーは寝室へ向かった。
いかがでしたでしょうか?
皆がお互いの思惑を牽制しあう、ギスギスした感じです。
私個人としてはいたたまれない思いがあります。
グライデルだけが傍観者の様に冷静ですね。
場数を踏んだ年の功という感じです。
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それでは次回 二十七話 サブタイのサブタイ「一寸丹心」
それではまたお会いできるのを楽しみにしております。
誠意執筆中です。寒さでガタガタ打ってます。




