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チョキンとミシン ~パラドックスは足元が見えない~  作者: トチ
第一章 ここに至るまでの経緯とかなんとか
25/43

第二十五話 キレ芸は舞台の上だけです

トチです。前書きは短い方が良いと思ってますが

やったー!25話まで来ました!テンション上がりますね。

かなり粗削りで来てしまいましたが本筋はブレずにいます。

アニメーションな感じを目指していますが、

皆様には伝わっていますか?想像を補完出来ていたら嬉しいです。


それでは 第二十五話です どうぞ!


 男はミシンさんを収容(しゅうよう)するという。

犯罪者(はんざいしゃ)捕虜(ほりょ)みたいな言い方だ。

コンリーさんの店に一度向かうとの話しで、

ミシンさんを運ぶ役を代わった。

そして体を抱き上げた時に分かった。

あの蜃気楼(しんきろう)は水分だ、ミシンさんの体に水を(まと)わせ、

体の熱を(うば)っている、上半身はヒヤッとするが、

抱えている足の方は熱い、口元から()れる息も熱い。

男の前を歩くコンリーさんは無口(むくち)だ。


「お前はこの男の素性(すじょう)を知ってるのか?」


 急に男が話し始める。


「遠回しに聞かなくても、平気です

 直接的(ちょくせつてき)に聞いてはいません

 ただ人属というのは間違いありません」


「ふーん」


 二人の会話はそこで途絶(とだ)える。

ニシキは何度かミシンを抱え直す、じわっと汗の様に水分が(しみ)みてくる。

服を纏っている上半身とは違い、抱えている素足は汗で時に(すべ)る。

コンリーの店に着くと、男はさも当たり前のように

持っていた傘を広げる。


「ジジイソレ止めてよ、みんな集まるから」


「そりゃその為だからな、お前ジジイ言うな」


 広げた傘には、裸婦像(らふぞう)と巨大な花が絵描いてある。

文字も書いてあるが全く読めない。

それを地面に立てるが、支えもなく立っている理屈(りくつ)が分からない。

土台があるわけではない、(たも)たれたバランスなのだろうか。


 これは何の意味があるんだろう?

絵面(えづら)はいかがわしい以外の何物でもないな。

集まるって事は看板みたいなものかな。

あまり興味(きょうみ)()かないのは和傘(わがさ)みたいで既視感(きしかん)があるからかな。

ミシンさんの体は大分(だいぶ)冷えてきてる、俺も一緒で(すず)しい。

呼吸(こきゅう)(おだ)やかになってきて少し安心した。


 傘の異様(いよう)さを(なが)めながら、ミシンの店に入る一団(いちだん)


相変(あいか)わらずだな、お前は片付(かたづ)けも出来んのか?」


「ほっといてよ、コレはこれで片付いてるの」


 男はカウンター近くの椅子に座る。


「ニシキ君、コッチ」


 コンリーさんに呼ばれて店の奥へと入る。

あの部屋だ、最初にミシンさんを寝かせた部屋だ。

ミシンさんをゆっくりとベットに(うつ)す、

心配でここに残りたいと思った。


「、、すみません、あの先生って、、」


「そうアレがジジイ事、魔術師グライデル、、、様

 あと、私の祖父(そふ)、、、ね」


 (みだ)れていないシーツを(ただ)す。


「多分色々聞かれるけど、魔術師だから

 (かく)し事はバレるからね、そう思っていて」


 ミシンの胸の前で(しば)られている手に一度()れてから

ニシキはコンリーを見返す。


「コンリーさんはミシンさんをお願いします

 俺話してきますんで」


「ジジイ、キツイよ?大丈夫?」


 (うなづ)きもせずカーテンを(まく)って出た。


「お待たせしました、俺に興味(きょうみ)があるそうで、、、」


「あるな、その力に」


 俺はグライデルの前に椅子を引っ張ってきた。


-------------------------------------------------------


 俺はここまでの経緯(けいい)(あら)いざらい話した。

もちろん斯の地の事、聖者と呼ばれた事。

俺とミシンさんの知る(かぎ)りの事を話した。

で俺の気に食わない事も話す。


「ミシンさんの拘束(こうそく)()けないんですか?

 アレは俺が原因(げんいん)ですよね?

 拘束するなら俺じゃないんですか?」


「お前は武器とそれを使う者のどちらを(とが)める?」


 魔術の使い方の話しか、ミシンさんが(じゅう)で俺は()(がね)か。

だけど結果として俺のツッコみでミシンさんが止まった。


理性(りせい)もなく魔術の力を()るう者は危険だろ」


「わかってます、でも昨日まではあんな事は、、

 魔術なんて使えなかったんです

 本人だって、魔術がいきなり使えて

 (おどろ)いていると思います」


「わかってないな、あんな魔術いきなり使えん!

 驚く?それどころか直前まで楽しげに(ねら)っていたよな?

 そこに確実な悪意(あくい)がある」


 嫉妬(しっと)は悪意か?被害者(ひがいしゃ)加害者(かがいしゃ)見解(けんかい)の違いだ。

ミシンさんの魔術はメイを倒すために顕現(けんげん)した。

俺の立場(たちば)はどちらも擁護(ようご)をしたいけど、ここはミシンさんを守らなくては。


コンリーが広間に入ってきて口を(はさ)む。


「それは間違いないよ、昨日からイメージの訓練(くんれん)を始めて

 まだ(こう)の火さえ消せてない

 わたしが一緒だったから、嘘じゃない」


火の杭(フレイムステイク)なんて素人が使うもんじゃないぞ?

 一朝一夕(いっちょういっせき)で、あそこまで()れるものじゃないだろ

 ならコンリーはどう思うんだ、聞かせてみろ?」


 コンリーはカウンターに両肘(りょうひじ)を突き

(いの)るような姿勢で(かたり)りだす。


「それは、根拠(こんきょ)がないけど、、人属と長齢属(ちょうれいぞく)の、

 良いところを持ってるからって推測(すいそく)、あくまでも(かん)


「面白い発想(はっそう)だな?で良いトコ取りって

 どこが良いのか説明してくれ」


「つまりこういう事、、、


 人属は短命(たんめい)である、知識(ちしき)()たり技を習得(しゅうとく)するのに、

長齢属の様に多くの時間を掛けられない。

人属は物事の習得に当たって最適(さいてき)な方法で学ぶ。

(まよ)い行き止まって戻るを()り返すのではなく、

道に迷わないよう、止まらず戻らないように

最短(さいたん)の道を見つける事を身に付けている。

物事を早く習得出来るスキルと言えば簡単だ。


 長齢属は魔術が得意である、空間を認知(にんち)して

その場にある物質を理解し、魔術として顕現させる。

熱を理解すれば火や光を、大地を理解すれば水や岩をと

しかしその理解を深めるには長く時間がかかる。

それは人属の寿命(じゅみょう)では足りないくらいの時間、

相違(そうい)や失敗を繰り返し理解していく。

長齢属が魔術を使うのに適した種族なのは、これが理由だ。

魔術を理解するスキルと言うのが早い。


「つまりミシンさんは魔術を短期間(たんきかん)で覚えて、

 それを使うことが出来るってこと?

 彼女の先祖が彼の世人だから?」


「じゃあなんだ?()ざって雑種(ざっしゅ)が生まれたって事か?」


 コンリーの手がニシキの視界(しかい)(さえぎ)る。

指先がわずかに揺れている。


「ごめん、、ジジイは話が下手だから

 私から(あやま)る、混ざるとか雑種なんて(ひど)い言い方して、

 ごめんなさい、、、ほんと、ごめん」


 俺の怒りよりも先に動いた、そんなの(つら)いだろ?

気持ちを分かって察するなんて悲しいだろ。

魔術師グライデルはどうしてそれが出来ない?


 右手の拳を(ほど)いた。


「斯の地に(わた)った先祖が、命を(つな)いだ結果なの

 私たち長齢属より、(はる)かに(すぐ)れているわ

 増長(ぞうちょう)したこんな種族より、よっぽどね」


 なんで自分の種族をそう卑下(ひげ)する。


「ニシキ君の力もさっきので理解できた、

 君達はここにいたら種族間の(あらそ)いに巻き込まれる」


 ―ガチャ、―


「悪い、聞いちまった」


 店に入って来る、ソウサとメイ。


 それを当然(とうぜん)のように見つめるコンリー。



という事でいかがでしたか?

魔術師グライデルが登場です。

中年という設定ですが、十代の方が感じるオジサンです。

ジジイなんて言うと怒られそうな年代です。

評価など頂けると嬉しいです。ブックマーク登録もお願い致します。

質問なども受け付けていますので、良かったらコメント下さいね。

答えられる範囲でお答えしたいと思います。


次回 第二十六話 サブタイのサブタイ「個個別別」

それではまたお会いできるのを楽しみにしております。

誠意執筆中です。超カタカタ打ってます。

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