第二十五話 キレ芸は舞台の上だけです
トチです。前書きは短い方が良いと思ってますが
やったー!25話まで来ました!テンション上がりますね。
かなり粗削りで来てしまいましたが本筋はブレずにいます。
アニメーションな感じを目指していますが、
皆様には伝わっていますか?想像を補完出来ていたら嬉しいです。
それでは 第二十五話です どうぞ!
男はミシンさんを収容するという。
犯罪者か捕虜みたいな言い方だ。
コンリーさんの店に一度向かうとの話しで、
ミシンさんを運ぶ役を代わった。
そして体を抱き上げた時に分かった。
あの蜃気楼は水分だ、ミシンさんの体に水を纏わせ、
体の熱を奪っている、上半身はヒヤッとするが、
抱えている足の方は熱い、口元から漏れる息も熱い。
男の前を歩くコンリーさんは無口だ。
「お前はこの男の素性を知ってるのか?」
急に男が話し始める。
「遠回しに聞かなくても、平気です
直接的に聞いてはいません
ただ人属というのは間違いありません」
「ふーん」
二人の会話はそこで途絶える。
ニシキは何度かミシンを抱え直す、じわっと汗の様に水分が染みてくる。
服を纏っている上半身とは違い、抱えている素足は汗で時に滑る。
コンリーの店に着くと、男はさも当たり前のように
持っていた傘を広げる。
「ジジイソレ止めてよ、みんな集まるから」
「そりゃその為だからな、お前ジジイ言うな」
広げた傘には、裸婦像と巨大な花が絵描いてある。
文字も書いてあるが全く読めない。
それを地面に立てるが、支えもなく立っている理屈が分からない。
土台があるわけではない、保たれたバランスなのだろうか。
これは何の意味があるんだろう?
絵面はいかがわしい以外の何物でもないな。
集まるって事は看板みたいなものかな。
あまり興味が湧かないのは和傘みたいで既視感があるからかな。
ミシンさんの体は大分冷えてきてる、俺も一緒で涼しい。
呼吸も穏やかになってきて少し安心した。
傘の異様さを眺めながら、ミシンの店に入る一団。
「相変わらずだな、お前は片付けも出来んのか?」
「ほっといてよ、コレはこれで片付いてるの」
男はカウンター近くの椅子に座る。
「ニシキ君、コッチ」
コンリーさんに呼ばれて店の奥へと入る。
あの部屋だ、最初にミシンさんを寝かせた部屋だ。
ミシンさんをゆっくりとベットに移す、
心配でここに残りたいと思った。
「、、すみません、あの先生って、、」
「そうアレがジジイ事、魔術師グライデル、、、様
あと、私の祖父、、、ね」
乱れていないシーツを正す。
「多分色々聞かれるけど、魔術師だから
隠し事はバレるからね、そう思っていて」
ミシンの胸の前で縛られている手に一度触れてから
ニシキはコンリーを見返す。
「コンリーさんはミシンさんをお願いします
俺話してきますんで」
「ジジイ、キツイよ?大丈夫?」
頷きもせずカーテンを捲って出た。
「お待たせしました、俺に興味があるそうで、、、」
「あるな、その力に」
俺はグライデルの前に椅子を引っ張ってきた。
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俺はここまでの経緯を洗いざらい話した。
もちろん斯の地の事、聖者と呼ばれた事。
俺とミシンさんの知る限りの事を話した。
で俺の気に食わない事も話す。
「ミシンさんの拘束は解けないんですか?
アレは俺が原因ですよね?
拘束するなら俺じゃないんですか?」
「お前は武器とそれを使う者のどちらを咎める?」
魔術の使い方の話しか、ミシンさんが銃で俺は引き金か。
だけど結果として俺のツッコみでミシンさんが止まった。
「理性もなく魔術の力を振るう者は危険だろ」
「わかってます、でも昨日まではあんな事は、、
魔術なんて使えなかったんです
本人だって、魔術がいきなり使えて
驚いていると思います」
「わかってないな、あんな魔術いきなり使えん!
驚く?それどころか直前まで楽しげに狙っていたよな?
そこに確実な悪意がある」
嫉妬は悪意か?被害者と加害者の見解の違いだ。
ミシンさんの魔術はメイを倒すために顕現した。
俺の立場はどちらも擁護をしたいけど、ここはミシンさんを守らなくては。
コンリーが広間に入ってきて口を挟む。
「それは間違いないよ、昨日からイメージの訓練を始めて
まだ香の火さえ消せてない
わたしが一緒だったから、嘘じゃない」
「火の杭なんて素人が使うもんじゃないぞ?
一朝一夕で、あそこまで錬れるものじゃないだろ
ならコンリーはどう思うんだ、聞かせてみろ?」
コンリーはカウンターに両肘を突き
祈るような姿勢で語りだす。
「それは、根拠がないけど、、人属と長齢属の、
良いところを持ってるからって推測、あくまでも感」
「面白い発想だな?で良いトコ取りって
どこが良いのか説明してくれ」
「つまりこういう事、、、
人属は短命である、知識を得たり技を習得するのに、
長齢属の様に多くの時間を掛けられない。
人属は物事の習得に当たって最適な方法で学ぶ。
迷い行き止まって戻るを繰り返すのではなく、
道に迷わないよう、止まらず戻らないように
最短の道を見つける事を身に付けている。
物事を早く習得出来るスキルと言えば簡単だ。
長齢属は魔術が得意である、空間を認知して
その場にある物質を理解し、魔術として顕現させる。
熱を理解すれば火や光を、大地を理解すれば水や岩をと
しかしその理解を深めるには長く時間がかかる。
それは人属の寿命では足りないくらいの時間、
相違や失敗を繰り返し理解していく。
長齢属が魔術を使うのに適した種族なのは、これが理由だ。
魔術を理解するスキルと言うのが早い。
「つまりミシンさんは魔術を短期間で覚えて、
それを使うことが出来るってこと?
彼女の先祖が彼の世人だから?」
「じゃあなんだ?混ざって雑種が生まれたって事か?」
コンリーの手がニシキの視界を遮る。
指先がわずかに揺れている。
「ごめん、、ジジイは話が下手だから
私から謝る、混ざるとか雑種なんて酷い言い方して、
ごめんなさい、、、ほんと、ごめん」
俺の怒りよりも先に動いた、そんなの辛いだろ?
気持ちを分かって察するなんて悲しいだろ。
魔術師グライデルはどうしてそれが出来ない?
右手の拳を解いた。
「斯の地に渡った先祖が、命を繋いだ結果なの
私たち長齢属より、遥かに優れているわ
増長したこんな種族より、よっぽどね」
なんで自分の種族をそう卑下する。
「ニシキ君の力もさっきので理解できた、
君達はここにいたら種族間の争いに巻き込まれる」
―ガチャ、―
「悪い、聞いちまった」
店に入って来る、ソウサとメイ。
それを当然のように見つめるコンリー。
という事でいかがでしたか?
魔術師グライデルが登場です。
中年という設定ですが、十代の方が感じるオジサンです。
ジジイなんて言うと怒られそうな年代です。
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答えられる範囲でお答えしたいと思います。
次回 第二十六話 サブタイのサブタイ「個個別別」
それではまたお会いできるのを楽しみにしております。
誠意執筆中です。超カタカタ打ってます。




