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7 アラーム
第一高校生徒には、『緊急実習』に応じる義務がある。悪夢が起こればそこへ潜航し、解決の一助のために尽力しなければならない。だから僕はすぐに105実習室のイスに体を預けて、通知に送付された帯域パスを入力した。
「・・」
ふと、なぜか目が教室の端へ向いた。そこに糸織はいない。しかし一番奥の席で不機嫌そうに話を聞く彼女の姿が浮かんでくるようだった。
「いや・・」
心中でまた反省会をしそうになって、直前で思いとどまった。今はそんなことをしている時間はない。何度か深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。そして十分にリラックスしてから目を閉じて、全身の力を抜いた。