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LEANA1010-リーナサウザントテン-  作者: 上川 三
第一話 メイストーム・ランデブー
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prologue-悪夢の最中-

ノベプラオンリー(大嘘

なんとなく時間があったので、移植してあげはじめます


(みやこ)先輩!」

そう叫んだ少年は、夢とか希望とかに満ち溢れているようだった。今だけ表情は乱れているが、その瞳の奥は見る者に活気を与えるような輝きを感じる。

そんな少年の目が眩しいのかーー呼び止められた相手は振り向いた後、すぐにお互いの視線の間を手で遮った。それは遠回しの拒絶のように見えた。

しかし、少年はその手を強引に掴んで、相手の顔をじっと睨んだ。

「なんで退学なんて・・もったいないですよ!今すぐ先生に頼んで、取り消してもらいましょうよ!」

必死に引き止める少年に向かって、相手は力ない笑みを見せるだけだった。

「神谷・・」

「先輩が全部教えてくれたんです!僕はまだ何も返せてないんだから、辞めないでください!」

先輩――そう、先輩だ。僕は少年が説得しようとしている相手の顔を知っていた。

みやこ火照ほてる。今なら、彼女の陰りのある表情の意味が分かる気がした。

そして、やがて先輩は作り笑いすら浮かべなくなって、やや恨めしそうな口調でこうこぼした。

「全部お前のせいじゃないか」

――――その瞬間、全身の血の気がぐっと引くのが分かった。

それは僕だけではなかった。少年も、そして意外なことにその言葉を口に出した本人すらも、幽鬼のような顔色に変わった。

先輩はは自分の口を無理やり両手で塞ぐと、少年と目を合わさないようにしてそそくさとその場を去っていった。

僕は彼女の背を目だけで追った。

やがて少年に視線を戻すと、彼は呆気にとられたように空を見上げていた。空は元旦明けの雲一つない気持ちのいい晴天だったが、その少年にとっては星のない夜空と差異はなかったのだろう。彼の目は打って変わって、ひどくつまらなそうだった。さっきまであれほど輝いていたのに、今はまるで屍のそれより生気を感じない。

少ししてから、僕はその光景から目を離すことを選んだ。


2020.09.08 改稿

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