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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

別ゲー シリーズ

一人だけ別ゲー With PK

作者: まい

 シリアス?

 いいえ、シリアルです。


※~1本は場面転換や時間経過。

 ~2本(2列)は、注視する人物変更です。

 どこかに有るかもしれない、中世風ファンタジー世界。


 その世界にある、この大陸は地獄そのもの()()()


 いわゆる戦乱の時代。


 きっかけとなったものは何か? 戦乱(それ)がいつ始まったのかは、後の歴史家による研究でないと分からない。


 そんな酷い勢いで、大陸中へ戦火は拡がっていった。


 例外で少々の平和的な外交はあれど、国家間の問題にてどんな些細(ささい)であろうと、 大抵は武力が最後にやってくる。


 そして勝った方が全てを押し通し、手に入れる。


 だがそれは、国家間でなくとも言える事。


 国主と言う立場の簒奪(さんだつ)もまたしかり。


 兄弟や親を(しい)して、家督(かとく)を奪う。


 一介の兵士だった者が成り上がり、クーデターにて国主の一族を追い落とす。


 我欲の為だけに国内経済を全て掌握(しょうあく)し、国主を己が傀儡(かいらい)として裏から操る大商人。



 ――――そして、あらゆるいざこざに巻き込まれ、ただただしわ寄せを受け苦難のみ押し付けられる民達。


 どこを見ても悲惨。


 嫌な時代だと、平和を望む者は皆、口を揃えて(なげ)いている。




 そんな世を迎え、破壊の風が吹き荒ぶ暗黒時代が幕を開けたの()()()



~~~~~~



「お待ち下さい陛下! (いくさ)を起こしてはなりませんっ!」


「しつこい! 俺の全パラメーターと全ての枠に並べた強力な技能達が有れば、まず負けねぇ! 転生時にチートを貰ったんだぞ? 使わないと損だっつうの!!」


 会議で血気にはやる国王を、家臣がなんとか思い止まらせようと(いさ)めにかかるが、当人は耳を貸そうとすらしない。


 同会議に出席している他の者もまた、諫める声へ強烈に賛同しているものの効果は今一つ。



 この世界は、将となれる器を持つ全ての者に、パラメーターや技能が与えられる。


 パラメーターは武勇・知略・統率等複数に分かれて数値化されている。


 パラメーターは関連した行動を繰り返させればじわじわと成長するが、強くさせるのに時間がかかって、育てきる前に命を落とす事もよく有る。


 技能は戦法・個性・作戦等があり、必ずなにがしかを1つは備えている。

 どれも複数枠があり、どんな技能でもとりあえず(いく)つも持っていれば、有用な将と目される。


 もし備えておらずとも、何かの拍子に芽生えたり、仲の良い将と行動していれば相手の技能をなにか習得していたりする。


 が、パラメーターとほぼ同じ理由で、育てると言う発想が根付かない。



「駄目です! 駄目なんです! 地獄と言われた戦乱がたったの5年で、睨み合い程度までに落ち着いた理由はご存じでしょう!?」


 家臣が必死になるも馬耳東風(ばじとうふう)(ぬか)に釘、暖簾(のれん)に腕押し。


「戦争をしていた両国の金・兵・資源・備蓄食糧が、急に無くなったとか言う与太話(よたばなし)だろ? 信じるわけが無いだろうよ!」


「神罰じみたその現象は、事実なんですよ!」


 そう、事実である。


「それに、整備したばかりの周辺街道が一夜にして、獣道寸前の凸凹(でこぼこ)道へ変わったとか? この国じゃあ起きてねーじゃん!」


 どこまでも意見を聞かない国王が、他の例も出して威圧感も混ぜて封殺にかかった。


「それは陛下が戴冠(たいかん)されるまで、我が国は戦争を嫌っていたからで……」


 立場と威圧で気力が()がれる家臣。


 もちろんそこを突破口にする気でいる国王の語調は、自然と暴力を生業(なりわい)とする者が如く、酷く荒れる。


「いーや、俺は神から好きにやれと言われて送り出された。

 つまり何をやっても悪く言われない、罰されない、神に愛された男! 訳の分からん事態が俺に降りかかるわけがねーんだよっ!!」


「ですか陛下……」


「だってもヘチマもねーの!

 近隣国を一気に飲み込めるほどの金も、有能な将も、兵も、物資も集めた!

 各城も、街も、街道も、内政で十分強化して抜きん出た!

 更に調略もバッチリ! しかも戦略シミュの鉄板攻略法(セオリー)だって知ってる! 敵なんかいない!!

 それで俺が戦争するって決めたら、戦争するんだよ!! オーケィ!?」


「…………(かしこ)まりました」


 無体(むたい)だったり転生者しか分からない単語も交ぜた滅茶苦茶な大声により、ついに折れてしまった家臣。


 見守っていた他の者もみな、俯いたり顔を手で(おお)い天井を眺めたり。 国王以外、とにかく絶望感しかない光景がそこにあった。



~~~~~~



「さあ! これから俺の、大陸制覇の野望が始まるぜっ!」


 ついに(地獄へ)出陣する時。


 国王を除きほぼ全員が、地面ばかり見ている。


「神が直々(じきじき)に生まれ変わらせた……言ってしまえば、俺は神の子! そしてお前ら配下は神の軍勢だ! 行くぜ!!」


『………………ぉぉー』


「なんだテメェら! 今更この戦争(お祭り)から降りるってのか!? 俺達はやるんだよ!! ほら、声出せぇ!!」


『おおーーーっ!!!』


「良し! 出陣っ!」


『うおおおおおーーっ!!!』


 等と神の子(笑)は煽るが、将と兵は浮かない顔。 返事だってヤケクソだ。


 家臣はこの後の顛末(てんまつ)を知っているから。


 この大陸で5年前から、何度となく同様の事例が報告されている。


 この大陸中で信仰されている、宗教の総本山である教国だって「我らは神に愛されている」と主張していたが、大陸平定を目論(もくろ)み挙兵したら罰を受けた。


 他にも「今まで罰を受けていなかったから、大丈夫だと思った」事を理由に他国へ進軍した国の全てが、(ことごと)く罰を受けた。


 これが、この出陣が、死出の旅路だと国王以外は知っている。


 将がいつの間にか、(まばた)きする間に移動して他国の将へ移籍していたり。


 出陣直後に、発ったばかりの領地からあらゆる人・物が消えたから戻れと、伝令が慌てて飛んできて対処に追われ忙殺されたり。

 それで国民から(強引に)調達しようと徴発(ちょうはつ)令を掛ければ、間違いなく「革命だ」と拳を振りかざされる。


 攻撃に成功しても、在野の将が反発・反乱を起こす民に乗っかり、国盗りしていたり。


 行くも帰るも、そう変わりはしないのだ。



~~~~~~

~~~~~~



「バッカみたい」


 とある川縁(かわべり)の土手で、農民らしい簡素な身なりをした、日本人形と見間違えそうな10代前半の少女が寝転んで何かしていた。

 なお、土手の草に隠れて落ちているであろう、動物のフ○は(見)ないものとする。


「私がスローライフを送ってる国に、挙兵なんてしやがって」


 先日こちらへ攻め入ろうとした、例の国だ。


「しかも周辺国から強い将を引き抜いてかき集めて、好き放題しようって。 あれで元日本人(同郷)だって言うんだから、情けない」


 この子は無所属(在野)(ジェネラル)である。



 そんな彼女の愚痴は、話題をフラフラさせながらも止まらない。


「って言うか、なんでこの世界は戦争ばっかしてんの? 命が軽すぎるでしょ」


 名前は女武将(ジェニー)(ニュービー)。 言葉の通り、転生者。


 ニュービーは村の名前である為、平民の身分。


「あと日本人は血を見る争いが嫌いで、事無かれ主義でしょうが」


 彼女が持つ技能は、個性の【PK(パーフェクトキット)】だけだ。


「しかも将捜索隊は私にまで声をかけておいて、パラメーターが低くて技能がひとつしか無いと言った瞬間に、興味なくして去っていきやがった。 まあ誘われても、そもそも応じなかったけどさ」


 しかしその【PK】は絶大なチカラだ。


「戦争はんたーい。 お金・兵士・備蓄・物資、全部ゼロにして、あいつらが持つ国内全ての街や村の民心(国への忠誠心)や人口、周辺街道や城の設備や駐留兵士。 ゼンブぜんっぶ最低数値にしてやったわ。

 難攻不落の城も、あっという間に貧乏領主の(やかた)程度へ落ちぶれた。

 これで再起不能。 むしろ滅亡しちゃえよ」


 全く動かず、様々な情報を観察し操作して、戦乱をおさめている。


「あの教国は……と。 また信仰を理由に徴発してるぅ……バカじゃないの? ……はい、全部最低値でご苦労さん。 将は全員遠くの国へポイ。

 何もできず、ダルマで悔しいでちゅねぇ」



 これが可能になったのは、前世を思い出した5年前。


 それから、どこで戦が始まった、あそこで戦争の準備をしている。 そう聞けば、ちょこちょこ【PK】を使っていた。


 遠くの国だと人づてでは情報が古すぎるため【PK】の戦略マップを定期的ににらみ、得られる情報で判断する。


 お陰でどこの国も、謎の現象が恐くて戦争を止めた。 ただし例外はどうしても出てくるから、その(たび)にこうやっている。


「将も在野へ落としたり、引き抜かれる前の国へ所属を戻して、国主もまとめて同じ平和思想へ調整したり……っと」


 ジェニーは平和主義だ。


「これで、同じ村で育った幼馴染の、クーガー君と安心して暮らせるわ」



 土手から立ち上がり、身体中をポンポンはたいて草とか落としている少女へ届く、声変わり前の可愛い音。


「おーーい! ジェニー(ジェーン)! (しごと)の続きをするってーーー!! 早く来てよーーっ!」


「はーーーーい! 分かったよ、クーガー君! いまいくーーーーーっ!!」


 栗色の毛、青くてクリクリした目。 そして紅顔の美少年……一歩手前で、少しだけ散ったそばかす。 そんな少年が少女へ手を大きく振って呼んでいる。


 ふたりは家同士で決めた許嫁(いいなずけ)。 関係は現時点で()良好。


 転生者であるジェニーにとっては、精神年齢的にちょっと犯罪かも知れない。 それで気後れするか、精神年齢の差で何か問題が起きるかも知れない。


 でも大丈夫。


「ああ畜生(ちくせう)、クーガー君もあと数年すれば大人の体つきになっちゃうのかぁ……もったいない」


 彼女は平和主義であり、年下が好き(ショタコン)だから。


「今の内に、もっとラブラブできないかなぁ……おっとヨダレが」


 むしろ年齢差は、ばっちこいな御仁(ごじん)


「……小さくて可愛いままのクーガー君。 それをどうやれば維持できるかな? ああ、ずっと抱きしめていたいな、クーガー君!」


 問題がおきるなら、彼女の性癖についてだと思う。


 今の内に衛兵さん……は村では居ないか。 ならば村長に、相談しておくべきかも知れない

 無改造・通常(バニラ)版の世界に、ひとりだけPK版。 しかも設定をいじる権限持ち。

 う~ん、えげつない。



 始まる前に、武将グラフィック選択でクーガー君を子供のグラにしておけばあるいは……。 って、始まってから【PK】が使えるようになったんだから、無理だな。


 あ、いや。 パーフェクトキットなんだから、ゲーム中(生きている間)に差し換え可能かも。

 グラフィックを固定したり差し直す事で、常にショタなクーガー君が維持できる?


 知らんけど。



※ 野望か転生者の渇望にしようか少し迷ったのですが、あえて一人だけ別ゲーシリーズにしました。


※※ パワーアップだと少し心配なので、パーフェクトです。

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[一言] きょ、凶悪な能力だ。 謀略だけで天下統一してもええんやで(縛りプレイ)
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