家の事情で教会の牧師をやっている僕の下に学校一の美少女が相談にやってくるようになった。
現代に牧師をしている人を題材にした物がないと思い、書きました。よろしければ見ていって下さい。
「うー疲れた。学校七時間は普通に堪えますね。」
僕は高校が終わり家に帰った後、スータンと呼ばれる牧師が着ている服に着替えながら、そう呟いた。
「海莉今日もすまないな。別に無理しなくても良いんだぞ?保育園の先生方も忙しいならしなくても良いとおっしゃっていたから、休んでもいいんだぞ?」
「ううん、僕この仕事結構好きなんです。だからやるのは苦じゃないし、あの子達の笑顔を見てたら何か元気をもらえるんですよ、だから無理なんかしてないですよ父さん。」
僕の独言が父に聞こえたのか、父が牧師の仕事を休んでもいいと心配してきたが、僕は否定した。
父が家の裏にある教会の牧師をしているのだが、先日腰を痛めてしまい息子の僕が代わりをすることになった。
始めは慣れない聖書の朗読や結婚式に牧師として呼ばれたり、教会で近くの保育園の子供が歌う曲をピアノを弾いたりと覚えることが多くて大変だったが、父や保育園の先生方に教えて貰ったおかげで、最近はかなり充実していて楽しいのだ。
「あっ!もうこんな時間です。では、父さん僕は教会に行ってきますね。」
「ああっ、気をつけてな。」
保育園の子供達がくる時間にもうそろそろなりそうだったので急いで家のドアを開けて、走って教会に向かうのだった。
「牧師のお兄さん、バイバイー!」
「明日は、一緒に外で遊ぼうよ!約束だよ?」
「わかりましたよ、ほらお母さんも迎えに来ている時間でしょう?早く戻らないとお母さんが困ってしまいますよ。」
「うん、じゃあまた明日ね、牧師のお兄さん!」
と言って保育園から来た子供達は、歌の練習が終わった後帰っていった。僕はみんなに手を振りながらみんな姿が見えなくなると教会の大きなドアを閉めた。
その後、いつも教会に礼拝をしているお婆さんが声をかけてきた。
「あらあら、牧師様お疲れ様です。」
「いえ、あの子達の触れ合いはとても楽しいですから全然疲れていませんよ、それよりどうしたんですかいつもの時間に比べたら早く来てらっしゃいますけど?」
「そうだったわ。牧師様の歳は確か16でしたよね?」
「はい、そうです。」
「うちの高校生の孫がね、一週間後誕生日なの。だから歳の近い牧師様に何を貰ったら嬉しいか聞こうと思ってたのよ。何がいいかしら?」
「そうですね〜。高校生だからやっぱり服を買ったり、本を買ったりするので図書カードなんてどうでしょう?服はやっぱりその人の好みがでますから、自分で選んで買いたいでしょうしね。それに図書カードなら、本以外にも文房具とかも買えるから、喜ばれると思いますよ?」
「なら、それにしようかしら。ありがとう牧師様また機会があったら相談するわね。」
と言ってお婆さんは教会から出ていった。
ここ最近こんな風に教会を訪れる人に相談されるようになった。父もこんな風に相談をされることは良くあると言っていたから、父の代わりになれていると実感出来ているので、やはり嬉しい。
そんなことを思いながら、教会の中を見渡すとうちの制服を着た女の子がいた。
僕は高校生がここに来るなんて珍しいなと思いながら、様子を伺った。女の子は何かを考えていてうーんと悩んでいる様だ。かなりの時間うーんと悩んでいるので、僕は声をかけてみることにした。
「かなりお悩みのようですが大丈夫ですか?私でよろしければ相談に乗りますよ?」
とうちの高校の制服を着た女の子に声をかけた。
「あっ、すいません。個人的な事で悩んじゃていて礼拝する場所なのに邪魔しちゃいましたね。」
慌てて僕に女の子は謝ってきた。
その時、彼女の顔を見た時驚いた。
何せ学校一の美少女である星川花梨さんだったからだ。彼女は成績、容姿、運動においてずば抜けて優秀であり、それでいて性格も優しく裏表のない人で、
金髪のロングのおしとやかな雰囲気から、うちの学校では『聖女』なんて呼ばれている。そんな聖女と言われる彼女が教会に来るなんて何か縁でもあるのかもしれない。
「別に、ここは礼拝をするだけの場所じゃないですし、さっき子供達も歌を歌っていたでしょう?気にしなくてもいいですよ。それでこんな時間まで何を悩んでいたんですか?」
「あの、私浜川高校の生徒何ですけど、2カ月後に文化祭をやるんです。その案を今日クラスのみんなに聞いたんです。そしたらみんな、色々な意見を出してくれて最終的に文化祭の実行委員の私に決めて欲しいって言われて、何を選ぼうかと考えていたんです。」
なるほど、確かに聖女と言われる星川さんが決めたなら、みんな文句は言わないだろう。だけどそれはあまりにも身勝手だと僕は思った。こんな重大なイベント最後の決定を一人にさせるのは、良くない。実際に彼女はかなり悩んでいて、心労で疲れているようだ。
「どんな意見が出たのか聞いても良いですか?」
「はい、出たのはお化け屋敷、メイド喫茶、ダンボール迷路、焼き鳥、焼きそば、焼きおにぎり、フランクフルト、チュロス、タピオカ、フライドポテト、唐揚げ、パンケーキ、ベビーカステラ、ですね。」
「なるほど、どれも定番なものが多いですね。でも、確か浜川高校の飲食は三年生がやっていると聞いたんですけど、
あなたは、三年生に見えませんしやって大丈夫なんですか?」
「はい、私は一年生何ですけど、今年から飲食は全学年やって良いことになったんです。だからこんなに意見が出ちゃて..。」
僕は浜川高校に通っているのにそんなことを知らない。多分まだロングホールルームの授業が最近なくて文化祭の話をしていないからだろう。
「あなたは、何をしたいんですか?ここで決定権渡されたということは何を選んでも多分皆さん文句は言わないと思いますよ?」
「そうですよね...。でも私がしたいのはこの中には無いんです。」
星川さんは、何かを怯えるような声でそう呟いた。
おそらく自分の意見が反対されると思っているのだろう。みんな今年からできるようになった飲食店をしたいのに、星川さんがしたいことは恐らく飲食系では無いのだろう。それをやりたいというのは、みんなに申し訳ないと言った感じ見える。
「ここには、私以外居ませんし言ってみて下さい。私から何かアドバイス出来ることがあるかも知れません。」
「おの..笑わないでくださいね?可愛いクマやウサギのぬいぐるみとかの人形展がしたいんです私。」
「いいんじゃないないですか?私はそれをしてもおかしくないと思いますよ。」
星川さんから出た意見は彼女らしい可愛いものだった。
僕は特に変だと思わなかった。いいと思う教室に入るとクマやウサギのぬいぐるみが沢山ある光景かなり癒されそうだ。
「えっ、変じゃないんですか?この歳になってぬいぐるみが好きなんて..。」
「変なんかじゃありませんよ。むしろ、私は良いと思いますよ?教室に入ったら可愛いクマやウサギのぬいぐるみがあるなんて癒されるじゃないですか。」
「でも、みんな嫌がらないでしょうか?男の子とか。」
「多分そんなに、嫌がらないと思いますよ。他と違ったことをしたいと思うのは男なら誰でも思いますし、何なら大きなクマのぬいぐるみを来て宣伝したりしたい!って言う人もいますよ。」
「本当に、私の意見を言っても良いんですかね?引かれませんかね?」
彼女は自分の意見が否定されるのが怖いんだろう。誰も認めてくれないことを恐れているなら、僕だけでも認めてあげようそうすればきっと勇気が出るはずだから。
「私は引いたりしなかったじゃないですか?きっと大丈夫です。みんな賛成してくれますよ。」
「ありがとうございます。こんな時間まで相談に乗って頂いて本当に。おかげでみんなに私がしたいことを伝える勇気が少し出ました!」
「それは良かった。でもまだ少しだけならこれを持っていって下さい。」
「これは..ロザリオをですか?」
僕は十字のロザリオを星川さんに僕が予備に持っていた物を渡した。
「私と、お揃いの物です。それを持っていれば神様が助けてくれます。これ結構効くんですよ?私が弓道の大会の時にこれを持っていると緊張や不安が無くなって代わりに勇気をくれたんですよ。だから、明日それを持って行ってください。あなたの力に必ずなってくれますよ。」
「ありがとうございます!明日に良い報告ができるよう頑張って来ますね。」
星川さんは、ロザリオを大事に抱えながらお礼を僕に言って帰っていた。
その後、僕は久しぶりに長い礼拝をした、神様が彼女の助けになってれるように、と。
翌日、僕は学校の終わった後急いで家に帰り、着替え教会に向かった。すると星川さんが空いていない教会のドア前に立っていた。彼女は僕を見つけると目を輝かせこちらに走ってきた。
「牧師さんとこのロザリオのおかげでぬいぐるみ展を私達のクラスですることになりました。本当にありがとうございました!」
「それは良かったですね。でも、それはあなたが自分で決めたことです私は、あなたの背中を少し押しただけです。だから、おめでとうございます!」
「はい!それでこの後、牧師さんにぬいぐるみ展についての意見を貰いたいんです、後もう一つ相談があるんですよ。」
「何ですか?」
「私、好きな人ができたのでその人を振り向かせるにはどうしたらいいか教えて欲しいんです。」
星川さんは、嬉しそうに頬を赤く染め微笑みながらそう言った。
僕はその笑みに見惚れすぐ様彼女に好かれた人は幸せ者だなと思いながら、彼女の相談に乗ることにした。
「私でよろしければ。」
こうして、学校一の美少女である星川さんはよく僕の下に相談に来るようになった。
その後、実は星川さんの好きな人が僕であること知るのであった。
続きが見たいと思ったら評価やブックマーク、レビューポイントの方をお願いします。
かなりの方に見てもらえるなら連載しようと思います。