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少女の夢
「ねぇお姉ちゃん!ごはん美味しかった?」
森の中のログハウス。二人の少女はちょうどごはんを食べ終わったところだった。
「美味しかったデース。やっぱり五葉は料理上手でーす。いつかお店を開いたらいいよ」
えへへと五葉は微笑んだ。
「私大人になったら、お姉ちゃんとお店開くのが夢なんだ」
そんな少女のことを慈しんでいたが、表情は悲しげだった。しかし、それも一瞬で。
「五歯」
と呼びかけた。二人の少女が纏う空気が変わる。
「これが今日の分だ。」
そういうと小さな袋から、乳白色に光る球を取り出した。それを受け取ると静かに食べ始めた。瞳の色が銀色に輝く。
「もうやめにしないか。この子が可愛そうだ」
その言葉にカレンは激しく怒りを覚えた。
怒気にあてられ、家の中のものがガタガタと揺れる。
「おまえは私に従っていればいいんだ。カウンターズ隊長の私に!!」
花瓶が爆ぜた。はたとカレンは我に帰る。
「・・・薬が尽きた。取りにいく。五歯、五葉のことを頼む」
カレンはローブを、まといログハウスを出て行った。




