宿しもの
「何を?」
少女に杖をむける。雰囲気が違う。
「ごめんなさい。私は人が怖いの。信用できないの。だから、前に出ることはほとんどない。悪いけど記憶を読ませてもらったの、記憶は嘘をつかないから」
「人嫌いならなんで私を助けたの」
「人ではないから」
少女は静かに続けた。髪の合間で銀色の目がこちらをじっとみつめていた。先ほどと色が違う。
「私のこの眼は、相手を見分けられる。君は混血。魔法少女と魔法生物のハーフ」
「・・・」
「殺すか生かすかどっちにするか迷ったけど、あなた面白い人生を歩んでるわね」
黒い杖をふるう。
「古代魔法時空切断譲渡」
熱い何かが体の中に入ってきた。
「その魔法は愛する人のために使いなさい。一回しか使えないけど、私みたいにならないようにね」
そう言って、自分の頭を撫でた。
「私に何をした」
「さあ?私たちには悪いことだけどあなたにとってはいいことよ」
彼女の杖の色が黒から茶色に戻っていった。
「お姉ちゃん?お姉ちゃん?大丈夫??」
心配そうに覗きこんだ、年相応の顔つきだった。
「零華お姉ちゃんに教えてもらったんだ。この治癒魔法」
身体が軽い。魔力はあふれ出るようだった。だが、
「零・華?」
「私五葉!カウンターズ?のナンバー5!だよ?」