霊装少女
さきは夢見心地だった。
自分が今どこにいるのか。
自分が何をしているのか。
もうどうでもよかった。
蝶野さんがいてくれるだけでいい。
蝶野さんが私を私のまま受け入れてくれる。
魔法少女のことも、世界の平和のことも、家のことも、姉のことも、全部気にしなくていい。
蝶野さんがいてくれればそれで。
「あんたが蝶野一だな」
「おや?ここには結界がはってあったんだがな。」
柔和な表情を浮かべるが、優しさはなく、とても冷たい機械のような印象をうけた。
「さきちゃんを返して」
「さき?あぁこれか」
虚ろな目でその場にへたり座る彼女を踏みつけた。
「若葉の道場に入るための鍵となるかと思ったがな、おれのみはじかれてしまい全く役に立たない。せめて、血筋に期待して、古代魔法少女の力をいただこうと思ったが、」
さきを蹴りつける。
「あのクソババアの気配がしやがった。とんだまがいものだ」
「てめぇ」
「宮内ほのか。お前の記憶もいい魔法だよな。もっとも、燃費が悪すぎて役に立たないがな。腹が立つなら魔法を使ってみな」
ニヤッと笑う。
「もっとも、使った瞬間、カウンターズの権限で貴様も仲間の魔法少女も処刑対象だ」
「ああ、そうかい!!」
にやつく横顔を拳でぶん殴る。
「なら、霊力なら、問題ないよな」
「あ?」
「今日だけは、霊装少女ほのかだ!!」
フードを投げ捨てると、そこには巫女服姿のほのかがいた。




