魔法玉☆
「ということだッキュ♪」
「「なんでテメェが説明してんだよ!!」」
若葉さんと私の拳が柔らかなぬいぐるみをえぐる。出会って殺し合いをした相手とは思えない息のあいようである。
「さっきのイケメン出せコラ!」
「天馬さんは?天馬さん成分を補給させて」
趣味も合うみたいお姉さまと呼ぶことにしよう。こぶしをハンカチで拭きながら
床に打ち捨てられた妖精は血の涙を流していた。
「なんで!?ひどいッキュ!魔力を消耗した天馬の存在を消さないために交代したのに!ひどいッキュ」
「イケメンにまさるものなし!」
「若葉さんわかってますね。今度闇オークションやってんで行きましょ」
「正義の味方のセリフじゃないッキュ」
「あたしは正義の味方じゃねぇよ。今は家族の味方だ。てか、さきが誰にも連絡をしてないのは
気になるな。魔法玉を見てみるか」
「魔法玉?」
「竜崎の家系は代々神職の家系だからな。事件やら神隠しやらに巻き込まれやすい。だから生き
てるかどうかを知るため、魔法玉をつくる。死ねば割れる」
こぶしほどの玉が4つ並べてあった。ひとつを取り、空中になげる。
「ちょ」
玉は空中で止まり、激しく振動しながら回る。見れば、若葉さんが呪符を浮かべ、手で次々に印を結んでいく。最後にテーブルにあったペットボトルの水を玉にかける。水が空中を漂い、一つの形をつくる。
「ちっ」
さきの赤い魔法玉の上に水でできた巨大な蝶が現れ、そのストローのような口を玉に突き刺していた。




