氷狼魔炎の魔導師
ほのかはさきの家を訪ねていた。
「ほのか。さきちゃん知らない?」
さきが学校に来ていないのだ。明るく活発なさきは交友関係が広く、 無断で何日もいなくなることはふだんのさきからは考えられない。
家の呼び鈴を鳴らしても誰も何も反応がない。
「・・・ミッキュ 」
「あぁ」
ミッキュ が魔力感知を行う。
「・・・この家の結界が崩されてる。魔力と霊力が混線してて、はっきり分からないが、」
「・・・行こう」
玄関を入って、奥へ進む。部屋の電気はついておらず、人の動く気配はしない。リビングに出ると、テーブルがあり、卓上カレンダーが置いてあった。カレンダーには、花丸が書いてあり、今日の日付に家族旅行。と書いてあった。
「家族・・・旅行・・・?」
「ほのか!!!」
強い衝撃とともに後方に引っ張られる。
天照天馬がほのかを後ろに引っ張ったのだ。
「え?天馬さ・・・」
天馬はほのかを引っ張った手とは逆の手で杖を握り、
「障壁」
と魔法壁をはる。目に見えない衝撃が壁を殴りつける。魔法でできた氷の障壁は長くは持たずくだける。リビングの奥に何かいる。
天馬が杖を振るい、炎の魔弾を放ち応戦する。
「変し・・・」
「だめだ。君は監視されてる。それに僕が出てる間はミッキュ は眠ってる。変身はできない」
杖で術式を練り上げ、氷狼と炎の刀を召喚する。氷狼を前に杖と刀を交差して構える。そして驚きと不安の表情を浮かべるほのかに対して、優しく微笑んで言う。
「・・・ほのか安心して。君の先輩たちから受け継いだこの力で、必ず君を守り抜く」