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あぁ☆天照天馬 と てんちゃん

転送魔法の準備をする間にみんなに紹介しないといけない人がいる。私の想い人の天照天馬(あまてらす てんま)さんだ。

この町の人間で、天馬さんを知らない女学生はいない。顔良し、金よし、カッコいい!天馬さんをしめす3Kと言われてる。真偽のほどは不明だけど、隣町どころか他県までファンクラブがあるとか、どこかの王家の血筋だとか、天馬さん所縁のものは闇取引されているとか、10種目近いプロスポーツの選手団からスカウトされてるなど、いろんな噂が立っている美青年だ。


 でも、私にとってはいまのキラキラとした天馬さんは少し笑ってしまう。私にとっては幼馴染のてんちゃんだ。もともとてんちゃんの家は貧乏だった。両親もいず、育ての親である叔父さん叔母さんに育てられていた。たまたま公園で出会って、私はてんちゃんとよく遊ぶ仲になった。幼稚園くらいだったかな。


ある時は、山に入って一日中走り回って、山菜や果実をおやつにして、泥だらけになって遊んでた。ある時は、海に行って、魚釣りをしたり、ひたすら泳いだりしていた。たくさん笑って泣いて、私が困ったらいつでも助けてくれた優しいてんちゃん。


小学校高学年になるとだんだんと私たちの関係は変わっていった。山や海での遊びで鍛えられたてんちゃんは、引き締まった体に加え整った顔立ちだったので近所で評判のイケメンボーイに、私はゴリラ女と呼ばれるようになった。

劇的に変わったのは私が小学校6年生のとき、てんちゃんが中学校に行ってしまい、疎遠になってしまっていた。その時には、スーパーのチラシにモデルとして載っていたり、地方テレビに映ったりしていて、少し暮らし向きも良くなっていったみたいだった。

でも、ある冬の日、

「天馬先輩付き合ってください」

私の親友だった子がてんちゃんに告白していた場面に出くわした。頭ん中がぐちゃぐちゃになって、訳が分からなくなって。あとから聞いたらフられたらしいけど。親友だと思っていた子はてんちゃんに近づくために、仲のいいフリをしていたと暴露した。このとき、私の中のてんちゃんはいなくなってしまった。

そして、モヤモヤを抱えこんだまま中学に進学。見事に心の闇を悪者に利用されちゃって、魔法少女のお世話になってしまったのだ。

魔法少女になってますます話す機会が減ってしまった。

でも、そんな中でひとついいことがあった。本人は知らないけど天馬さんが魔法国の王家の血を引くことが発覚。影ながら守ることになって、いろんなところで天馬さんの優しさに触れた。彼は変わらないのだ。


だから、いまは、彼のことが小さいころと違う意味で好きなのだ。


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