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魔法少女ほのか

~10年後~


「ヤッホーイデース!!サキ!!」

「久しぶりだな、カレン。」


パタパタと走ってきたカレンにサキがコーヒーカップを片手に手を振る。カレンは長かった髪をバッサリと切り、反対にサキは髪を伸ばしていた。


「元気でしたか、サキ?あなたも随分おっきくなりましたね!!」

「どこ見てんだよ!胸を見るな!鼻息を荒くするな!指をわきわきとするなよ!お前の成長ぶりと成長しなさぶりには驚かされるよ」

カレンの姿を上から下までながめる。言動こそあれだが、雑誌のモデルと言われても謙遜ないくらいの美貌とプロポーションだった。

「学生時代に戻ったみたいデース」

「はっはっは、そうだな」


だが、彼らがいるのは会議室。2人はスーツの上にローブを羽織り、ひと時の挨拶を交わす。


「いまやあんたが魔法国の首相とはな」

「それを言うならあなたも破魔市の市長じゃないデスカ」

さて、と壁一面に設置されたモニターの電源をいれる。


「ついにここまで来たな」


「そうデース!白鳥財閥はもうすっからかんデース。きょうの会議が失敗したら、破産デース」


「ははは、失敗したらわたしの神社でバイトでもするか?」

「…ぐへ」

「?」

「巨乳ツンデレ巫女服のサキちゃんに膝枕されながら、歯磨きされまーす!」

「アホか!!!」


「まったく、わらわは何を見せられているのやら」


「あ、女王様だ!ヤッホーイ!」


「何がヤッホーイじゃ、はぁ、気が滅入る。お前たちに国をたくしたわらわは間違いだったのかのぅ。それに今わたしは、あどばいざぁ、じゃ。そのあたりのことはしっかりとせぬか。魔法国民が不幸になることは避けねばならぬ」


「それはないよ。イザナギに誓う」

「それはないデース。イザナギに誓いマース」


2人の眼差しは真剣だった。

「わたしたちは世界を変えていきます」

「ふむ。まぁ、よい、各国のトップとの会談じゃ。気を抜くなよ」

「まかせてくだサーい。ところでほのかはどこですか?」

「あぁ、あいつは新生カウンターズ連れて、ピクニックだよ」



「ほのか隊長ぅ!!た、たすけてぇ!!」

「いやああああああああああ!!!」

鬱蒼としげる森の中を猛ダッシュで駆け抜ける一団があった。

その一団の背後からは無数の毒虫たちが彼らを襲わんとしていた。

「はぁ…何やってんだか。あのでっかい木を目指して走ってね。」

集団から離れた場所にいた1人の女が呼びかけた。彼女は深く被った山高帽子を指で押し上げて、様子を伺う。


「赫き一撃よ。かのものに災いと痛みを、記憶(メモリー)赫雨砲(レッドレイン)追跡(チェイス)『赫鷲』ぃ!!」

白いローブを羽織った女のまわりに赫い光弾が浮かび上がり、鳥の形をつくる。彼女の杖の動きにあわして、虫を撃退していく。

「情けないなぁ!」

「無理っすよ。俺たちの世代じゃ、そんな魔法できるの居ませんって」

「まったく。先が思いやられるよ」

ほのかは日除けにしていたフードをとり、水を飲む。

成長し、背が伸びた彼女はトレードマークのポニーテールを揺らす。黒い杖と白い杖を彼女はしまう。


「久しぶりだね。ミッキュ」

彼女たちがいるのは御神木。巨大な木の前でほのかは呟いた。

「ここだけ、魔物がいませんね」

「まぁ、御神木だからね」

「さて、みんな。」

ほのかは連れてきた若者たちに言った。

「今世界で起きてる魔力災害を解決するために、私たちは妖精界にいくよ」

「よ、妖精?!はっはっは!そんなものいるんですか」

「いるよ。ちょっとえっちで軽口ばかり言うのがね。」

「まさか」

ほのかはにんまりと笑った。

「あぁ、いる。10年前の魔法国転移事件から、世界中で起きたいろんな事件を我々は乗り越えてきた。だから大丈夫。今回もなんとかなるよ」

ほのかはつぎの世代に向かって言うのだった。

「いま、さきちゃんやカレンちゃんが魔法国と世界の橋渡しをしているんだ。わたしたちも頑張らなくっちゃ。イザナギちゃんに託された世界を」

「イザナギに誓って!」

「イザナギに誓って!」


がんばれっきゅほのか


ふと御神木から声が聞こえたきがした。

世界は次から次へと問題が起きるが、依然まだ続いている。滅びていない。ちゃんとバトンはつながっている。


「さぁ、いこう。みんな!」




魔法少女ほのかシリーズをお読みいただきありがとうございます。

以上で完結となります。

はじめての長期にわたる作品で、思い入れがあるキャラクターたちに囲まれて幸せでした。

またどこかでお会いしましょう

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― 新着の感想 ―
[良い点] 約二年半にも渡る壮大な物語、完結おめでとうございます。 ほのかだけでなく色んな魅力的な魔法少女たちや魔法の世界の住人たちを掘り下げていった展開からは目が離せませんでした。 途中、連載が長ら…
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