魔人少女
「お前、ミッキュか?だが、それは、ほのかの身体に間違いない。感じる魔力が、ほのかのものだ!変身魔法や幻覚ではない!」
「ふっはっは!まな板娘が!分からぬだろう!」
「ナメるなよ。それが魔法なら、記憶で解析できる。杖を返せ!そこの気持ち悪いぬいぐるみめ!」
「ちょまっ!誰が気持ち悪いっほか!こんなにもキューティーでプリチーなのにっほ!」
ピンク色のぬいぐるみがさけぶ。その腕には黒い杖が抱えられていた。
「語尾がださいんだよ!」
「ほのか早く持ってくるんだ」
「分かってるっほ!」
ほのかだと??あのピンク色の小さな毛玉に向かってたしかに彼女、いや、ミッキュはそういった。
「記憶はフェイクってわけか。だから森の魔法だけだったというわけか。…魔人少女になったってわけだな。自分の身を妖精に捧げる代わりに膨大な魔力をえられる魔法。だが、実際は妖精が人間の肉体を手にするための偽りの奇跡。ほのか、お前はもう2度と元の姿にもどれないぞ」
イザナギは苦々しく言った。過去の戦いでいくつもの不幸をうんだ魔法。魔人少女。小さくて巨大な魔力を持つ妖精がそのままの比率で人間大になったらという仮定からうまれた禁術だ。追い詰められた人間たちから肉体を奪い返さないことも良くあった。
「ばかめっほ!イザナギ!あんたのいた時代ならそうかもしれないけど、ミッキュはそんなことしないっほ!」
「そうだっきゅ!」
腕組みをしているほのか(ミッキュ)の肩によじ登ってぬいぐるみが叫んだ。その様子を見てイザナギは少し考えた後、話しかけてきた。
「ほのかの身体触り放題だぞ」
馬鹿か。私がいくら可愛くて麗しい美貌を持っていたとして、軽々しく見せたり触らせたりするわけないだろう。
「あ?なめるなっきゅ!こんな貧相な身体に興味はないっきゅ!っぶるはぁ!!」
ぬいぐるみがほのかの顔にドロップキックをかました。
「誰が貧相だこらぁ?っほ!」
「…ミッキュ。その姿なら女湯や女子更衣室に入り放題だぞ」
「それ、ほんとっきゅか?!イヤッホォォォォイイ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
「揺らぐな!はしゃぐな!まい踊んなっほ!!」
そんなやり取りをイザナギは見ていた。
「…ほのか。悪いな。」




