やん☆天馬の秘密
「ほのか・・・」
監獄の中、幼馴染の少女を思う
天馬の運命が変わったのは数週間前だった。
二人の少女が天馬の元を訪ねてきたのだ。
かおりとさくらと名乗った二人は。
「わるいねぇ、天馬」
「あの、その、すみません!」
かおりの方は自分の部活の先輩で時々話すことはあったが、さくらのほうは直接話したことは無い。ほのかが中学に入学してしばらくしてできた友人ということだけは知っていた。
「あまり私らには時間がないんだわ」
「すみません、失礼します」
そういうとかおりは両手に氷の剣を出し、さくらの身体が燃え上がる。
「なっ!」
「あんたを巻き込まないようにしたかったんだが、わるいね。時間がなくて、私たちは魔法少女だったんだ」
そういうと今までの戦いのことを話したのだった。当然その中には、ほのかが自分のために戦っていたことも含まれていた。ほのかだけではなく、多くの人間が自分のことを守るために戦っていた事実に衝撃を受けた。のんきに日々を過ごしていた自分に腹立たしさを感じた。また、断るごとに出かけていくほのかに寂しさや少しの苛立ちを感じていた自分を強く責めた。
「かおりちゃん、これで後戻りができなくなったね」
「なんださくら、ほのかたちのためだろう、後悔してるのか」
「ううん、全然!あの子達はいい子だから、悔いはないよ。私は魔法少女になれてよかった」
なんだ?なんの話をしてる。
「あー一般人に魔法少女のことを話すのは、禁じられているんだ。だから私たち2人はおそらくこの後、魔力を奪われ、記憶を消されるだろうさ。」
少し淋しげな表情でかおりはいった。
「でも、今だけがチャンスなんです。最終決戦に向けて、魔法国も魔法生物も慌ただしくしている今だけが、敵の目を欺くチャンスなんです。」
気弱そうな彼女が、強い意志を持って言う。
「これからお前には、魔法の使い方のいろはと私たちの知識、知ってる敵のことを全て叩き込む。天馬お前は、守られるだけの王子は嫌だろ?」
「・・・あぁ!」
彼女の言う最終決戦まで魔法の使い方について、特訓を行った。
最終決戦後2人が魔法少女を辞めた事は、2人の記憶がなくなっていたことから気づかされた。あの2人が呪い返しの魔法をかけておいてくれたおかげで、俺の記憶はギリギリのところで保たれていた。今はいくつか欠けてしまった記憶を残ったピースを使ってつなげていっている状態だ。
結局、あの2人が危惧していたように何かしらの事件が起こってしまったようだ。魔法少女たち、ほのかを守るために得た力を使う時が来たようだ。