まじ☆天照天馬
「う・・・ん・・・」
暗闇の中で1人の男が目を覚ます。妹と同じ銀髪で日本人離れした容姿はとても美しい。エメラルド色のその瞳はどこまでも深く吸い込まれるようだった。天照天馬その人だ。
「こ・・・こ・・・は?」
自分の周りの様子を確認する。真っ暗ではないが、上のほうにかすかに明かりを感じる。窓でもあるのだろうか。別に拘束されているわけではないが、出口は確認できない。部屋の中にはベッドがあり小さな机が1つだけあった。その上には食パンとりんごと水の入った瓶が置いてあった。
「・・・」
自分の服は制服のままだったが、ポケットの中身だったり持っているもちものはなかった。男は少し思案する。時間の経過はわからないが、喉の渇きや腹の減り具合から、朝の時点からかなりの時間が経っていたと思う。
「さてと・・・・・・おっ」
暗闇のためか、何につまずいたのか、盛大にこけた。額から血を流し、床に落ちる。しばらくうずくまっていたが、よろよろと立ち上がり、ベッドに横になった。
「いててて・・・考えても分からないな・・・寝るか」
しばらくして、すぅすぅと寝息が聞こえる。
「寝てるのか?呑気なもんだな」
「・・・」
「油断したらダメだ」
「・・・」
天照天馬は目をつむり、思考する。自分をさらった理由はまだ分からないが、食事が用意されていたことから、中身の安全は分からないが、少なくとも表向きは関係を悪くしようとは思ってないようだ。
室内を調べるため、自分の血に魔力を注いだが、通常通り魔法は使えた。魔封じの類いはないらしい。あとは部屋を調べた血が戻ってくれば、少しは何かわかるかもしれない。




