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控え室に
「…あんた。わたしの時は、全然本気じゃなかったんだな」
「へ?なななななんのことかな?」
控え室に戻るなり、大胸筋が凄んできた。
近い、近い、近い!
無視、無視、む
わたしのロッカーがボコボコに凹まされていた。
氷塊が突き刺さり、炎で焼かれ、めちゃくちゃだった。
「な、」
「ほらよ」
筋肉がほおり投げてきたのは、わたしの荷物。
全部無事だ
「…あんたがこれを?」
「まさか!あたしは魔法が使えないんだよ?」
おいおい。
「わたしの荷物を守ってくれたの?ありがとう!」
「礼を言うのはこっちさ。スカッとしたよ」
ロッカーのほうを見ながら言う。
「いっちょ前にプライドだけが高い連中の仕業さ。ただ、お前に真っ向から挑む勇気はないんだよ。あたしはライザ。あんたも名前教えろよ。偽名なんだろ?」
「わたしの名前は…ほのか。ほのかだよ!」
すると、唐突にライザはわたしを抱きしめてきた。
へっへっ?なんで!
「あんた、辛かったね!」
「わぷっ、ど、どういうこと??」
「どうって、あんた女王様殺しの犯人と、同じ名前じゃないか。いやな目にいっぱいあったんじゃない?」




