第3試合
まーた濃いいのが来たな。
「ぅほ!荒ぶる大地のスーパーパワー!美少女魔法少女ゴリラン!!バナナの宴を守るため!ウホホンパンチで、なぎ倒す!ドラミングは恋のビート!シルバーバッグがチャームポインツ✩」
「うほ♡」
もはや半分ゴリラやん。
ゴリラ着た洋服やん。
いや、洋服着たゴリラか。
「うーほほほ。さっきの非魔力のババアに勝っていい気になるなよウホ。所詮は僻地の人間。人であって人であらずウホ」
「早く試合開始して」
「ウホホン、あの怪力ゴリラババアと一緒のところに送ってやるウホ」
「試合開始ぃ」
「あんたの夢は」
「非魔力の動物園ウホホン。メスは皆殺しイケメンくらいは活かしてやるウホ。こどもやオスはサンドバッグになら使ってやるウホホン♡」
「だったら手加減いらないね。記憶火炎蛇這い切り!!」
杖を振るう。さくらちゃんの技だ。地面を這うように、杖から出た炎が襲いかかる。
「うっほっほ。蛇と炎にビビる美少女魔法ゴリラじゃないうほ?盾盾うほ!!!」
足首を噛まれるも平然としている。盾魔法の二重掛け。やはり、魔力が足りないか。さくらちゃんなら、あのゴリラはすでに足首もぎ取れてる。
「ウホホン♡嬲り殺して飼ってあげるうほ♡」
「…これは導火線だから。リリース。煉獄輪廻蛇」
ローブを脱ぎ捨て、魔力を解放させる。杖を起点に猛烈な炎が焼き尽くす。
「うぎゃああああああぁぁぁ」
拳を振り上げ、叫ぶ。
「森へ帰りな。記憶マッスルインパクト!!」
立て続けに球が割れる。
爆煙を背にローブを羽織る。
「勝者 ぺちゃパイ!ってちょっとちょっと!」
実況の声を無視して、ガタガタと震える元ゴリラを掴みあげ、杖をむける。髪の毛がちりぢりになった貧相な女がいた。外にまとっていた服も毛皮も全てが焼けていた。
杖から火を燃やしてみせる。
「ひぃ!!」
会場に向かって叫ぶ。
「おい!二度と非魔力なんか言ってバカにするな。次は燃やし尽くすまでやる。あんたらもだ」
反応はまちまちだった。面白がるもの、敵意を向けるもの。だが、賛同するものはいなかった。これはかなり根深いのかもしれない。