第2試合
第2試合の対戦相手はボディビルダーのような女だった。赤毛に引き締まった身体。杖は太く長さは1メートルほど。
「怪力無双!得意魔法はマッスルインパクト!バルサ!バーサス!1回戦大金星をあげた!ぺちゃんこ=ぱい」
「潰すなバカヤロウ!!!」
「プロテイーーーーーン!!!!!」
あ、やばいやつやこれ。鼻息荒い、筋骨隆々の女性が吠えあげる。
「ダイナマイッ!!!」
振りかぶった杖で殴り掛かる。
「いや、魔法は?!!」
「わたしの魔法はプロテイン!」
「いや、物理やん!!盾!!」
うっすい紙っきれのような盾は簡単に粉砕される。
それでも、一瞬は動きは止まるから、なんとかかわせてる、け、ど、
「うわぁ!」
ローブの裾を踏んづけて転ぶ、頭の上を棍棒のような杖が音をたてて通り過ぎる。ほんと、ローブ邪魔!!
「あんたは、優勝したら、何を願うんだい?」
棍棒を私に向けて、問いかける
「え?」
「とぼけんじゃないよ。なんでも願いが叶う権利さ。当然主催者ができる範囲でだけどな」
語りつつも猛攻は止まない。
「あたしは、あたしの村をこの森に移築させる。あたしの村は滅魔地帯のすぐ近く、子供は魔力が少なく、街に出たらいじめられる。大人になるまでに魔力が枯渇するものがほとんどだ。」
「だからわたしは負けられないんだよ!!パイコ!!」
「ぐっ!」
盾は砕かれ、自分の球がくだかれる。怯んだスキに最後の一撃を振るわんとする。振りかぶった棍棒を真下に振り下ろす。
「マッスルインパクト!!」
「盾!盾!盾!」
「はん!三重魔法ごときで私の筋肉を止められッ?!!!」
「盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!盾!」
彼女の体をおし始める。盾を壊しても次の盾が。攻撃が間に合わない。
「く、くそ!クッソォォォォォ!!」
「弱い魔法ってのは使いようなんだぜ✩」
「あんたの夢は」
「超金持ち!」
「こんな奴にわたしが敗れるなんて」
コロシアムの壁に叩きつけられ、気を失う。
「勝者!ペチャ=パイコ!!非道!人にあらず」
「うっさいわ!!私だってな…」
自分の胸に手をあてる。
「たくさん欲しかったわ!!!」
緑のたぬきがドン引いて、つぶやく。
「最低っきゅ…」
「はっ、言ってろ」
わたしは魔法国について、ほとんど何も知らない。わたしの願いは、この国の人々のことを知ることだ。