商店街にて
気づいたときには私は家を飛び出していた。そして赤い髪の占い師にあった路地に向かって走り出していた。その間に入るかどうかわからなかったがただただ憎しみに心を奪われていた。
「お前だけは許せない」
右手を血でべったりと染めた占い師が立っていた。
「あ?」
占い師はひどく不機嫌そうな顔をしていた。気づいたら私は拳をグッと握りしめて殴りかかっていた。
「わああああああ」
私の拳は占い師の顔面を思いっきり殴りつけていた。占い師の体が軽く吹っ飛んだ。
軽く吹っ飛んだのだ。
占い師の体はひどく軽くまるで手ごたえがなかった。
「ははっ・・・。ははははは」
気の抜けたような笑い声が聞こえた。路地を抜けた商店街側から現れたのは昨日のイケメンだった。
もうすごい場面を見られてしまった。私の恋は秒で始まり秒で終わったのだ。だが後悔はしていない。友達を傷つけた人間は許さない。そこに見栄も外聞もない。
通りまで吹っ飛んだ占い師に止めの拳を叩きつけるためにそのイケメンの横を通り過ぎる。
仰向けになった占い師の胸ぐらを掴んで引っ張り上げる。彼女の体からはゆっくりと血が流れ落ちていたのだ。足元には血溜まりが。
「魔法少女ほのか。君の方から来てくれるとはね。種をまいたかいがあった」
男はほくそ笑む。幾分か雰囲気が変わっていた。髪の毛が黒く、瞳も暗かった。ロープと山高帽子をかぶり、まるでまるで魔法使いのようだった。両手が黒く染まる。そのまま私の方を向く。
「さっきの小娘にしろ、そこの女にしろ、ほかの魔法少女たちにしろ、お前を守るために必死だったのになぁ全て意味のないものだったな」




