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さき②
さきちゃんの唐突の怒りがわからなかった。
ただあの赤髪の占い師になにかがあるのか。
私の日常がすこしずつ変わっていく気がした。
さきちゃんがかえってきたのは、夜遅くになってからだった。
「さきちゃん!?」
彼女は窓から入ってきたのだった。血まみれで。
「さきちゃん!さきちゃん!!さきちゃん!!!」
「救急車えっと何番だっけ」
頭の整理が追いつかない。そんな私の裾を力なく揺らすものがいた。
さきちゃんだ。
「さきちゃん!!」
「・・・救急車は・・・いらないよ。回復」
さきちゃんの指先が薄い水色に光りだした。
荒かった呼吸が次第に穏やかになっていく。
「なに?なに?」
わけのわからないままさきちゃんは気を失ってしまったのだった。
私の胸には赤い占い師への憎しみの気持ちが芽生えていた。




