さき
「ほのかー?ほのかー?おーい生きてるかぁ」
どうやって家に帰ったのか覚えていない。ぼーっと火照った頭で先程のことを思い出していた。
何やら朝っぱらから大変な思いをした気分だったが、それも全て帳消しになるほど今幸福感に満たされていたのだった。
「ほのか?いい加減にしないと今夜の晩御飯のおかずをいっぴん減らすよ」
「うん」
「明日カレンがお前にセクハラを働いても助けないからな」
「うん」
「ほのかがこっそり隠していたハーゲン食べちゃっていい?」
「う・・・ってちょっとまてぃ」
「ん?」
私の楽しみにしていたDAT様がさきにペロリと食べられていた。
「やっと現実に戻って来れたかい。一体何があったの」
ことのあらましを話して聞かせた。さきちゃんは楽しそうにうんとなずきながら話を聞いていた。
「で、赤い髪をした占い師が、襲ってきて」
派手な音をして食器が割れた。
「さぁ、さきちゃん?」
眉間にしわをして激しい憎悪の表情を浮かべていた。さきちゃんのまとっていた空気が変わった。
「え?え?な、なに?」
「ほのか、その女に出会った場所はどこ!?」
「しょ、商店街の路地裏だけど」
「そんな近くに!ほのか今日は家から出ないで!!!返事は!!!!」
激しいさきちゃんの表情に気圧されてしまいうなずくことしかできなかった。さきちゃんはそのままの勢いで外に飛び出していたのだった。




