181/232
ラック②
「なんだか、街がさわがしいわね」
サイレンが鳴り響き、騒然としている。
ラックは車の中から外を見る。黒煙が建物と建物の間から立ち上る。
「社長ちょっと様子をみてくるよ」
「ちょ、待ちなさい危ないかもしれないじゃない。それに貴方が町にでたらパニックに」
その声をドアを閉めることで遮る。
「大丈夫、大丈夫!変装するから〜」
帽子を目深にかぶり、マスクをつける。
そしてポケットからぬいぐるみをだし、話しかける。
「やぁ、君はこの町に何を感じるかな?・・・ミッキュ 」
そのぬいぐるみはかなりくたびれている様子で、くすんだ緑色をしていた。