占い嫌い
「いつまで寝とるんじゃい!」
スパーンッ
という小気味いい音で目が覚めた。
私はおでこの痛みにのたうちまわる。
「でこが割れる〜!」
「さっさと顔を洗ってくる!」
幼なじみでもあるさきが腕を組んで仁王立ちで立っていた。右手には緑色のスリッパを持っていた。
ヒリヒリとするおでこをさすりながら洗面所に向かう。顔を洗って、歯磨きをして、髪を結んでポニーテールにする。少し鏡の中の自分に微笑んでみる。
自信のなさげな地味な女の子がこっちを見つめていた。両手で頬を挟んでパンパンと叩く。よしっ
「おっはよ!」
「はいはい、早く朝ごはん朝ごはん!」
「「いただきます!」」
寮の共有スペースで、さきが作ってくれた目玉焼きや、サラダなどをもしゃもしゃと食べる。
ふと、テレビから軽快なメロディが流れ出す。
『おはあさ!らっきーちゃんねぇる!』
「お、ラッキー!今日はラック様じゃん」
「?だれそれ」
「はぁ?ラック様を知らないの!ほのかヤバいよ!」
テレビの中で銀髪の男がウインクしている。
『今日のスーパーラッキーガールは・・・乙女座の君だ!ズッキュ〜ン』
ナニコイツアタマワイテルノ?
「はぁぁん」
さきはばかなの?胸を押さえ、天井を仰ぎ見るさきは幸せそうだった。たしかにイケメン?なんだろうけど、ふとテレビの中の男と目があったような気がした。
「・・・ほのか!ほのかっ!」
分かるぞ〜分かる!っというふうにうなずきながら。
「ラック様に見惚れてたんだね!」
「ち、違うよ。私占いなんて興味ないし」
「照れんなって」
「やめてよもう」
もう一度テレビを見る。つぎつぎと星座の運勢が発表されて、あの男は映っていなかった。