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黒井 翼
「し、白鳥いつはでふゅ!よ、よろすくおねがいしまふゅ」
やってしまいました。やってしまいました。やってしまいました。何十回も練習した自己紹介を噛んでしまいました。恥ずかしさのあまりに、頭の中が沸騰しそうでした。あー!タイムマシンがあれば!いや、白い杖を!魔法国女王と対峙した時にさえ、使わなかった白い杖を今こそ使いたいです!!次の人の声が蜃気楼のように霞、揺れます。
「くすっ。白鳥さん座ってくれるかな?」
さらに真っ赤になる顔の火照りが止まらないです。倒れるように座り、一瞬体がずり落ちかけるのを、なんとか踏ん張り、踏みとどまります。クラスの中には男女合わせて二十人弱。カレンがいうには、みんな魔力を持っているそうです
「黒井 翼。魔法国出身。」
その子はシンプルにそういうと席に座りました。私と目が合いました。私とは正反対の黒い髪に、瞳。凛とした美しさがありました。思わず見とれてしまいました。




