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いつは転校初日の朝
「ハンカチは持った?ティッシュは持った?教科書は持った?案内状はもった?本当に本当に本当に本当にお姉ちゃんはついて行かなくてもいいの?」
「もう、心配しすぎなんだよ。お姉ちゃんは。お姉ちゃんこそ、学校に遅刻するよ」
わたしはいつは。中学一年生!数日前からこの街で中学一年生として、暮らすことになったのです。
「あ、魔法の杖は持った?」
「魔法の杖は、今、傘立てのところに挿してあるじゃない。この家には、杖置き場がないんだから」
私は魔法使いである。自分の住んでいた魔法国が今崩壊の危機であるため、この町に引っ越してきたのだ。
「傘立てって!?大事な杖なのに!」
カレンお姉ちゃんは心配しすぎなんだって。
カウンターズとしての活動が外されたため、資産もほとんど没収された。今は残ったお金を使って、寮でルームシェアをしている。私としては大きな豪邸に住むよりか、こっちの方が合っている。
「いってきまーす」
学校に通うなんて初めてだ。ワクワクが止まらない。どんな出会いが待っているんだろう。




