ほのかの杖
「と、とりあえず、魔力を測らせて」
そっと手をとる。思わずドキッとしてしまうが、背後のかおりちゃんの顔を見て、気を引き締めた。まだ死にたくないもんね。
「よし、君は記憶の魔法を使えるんだね。魔力は少ないから使い勝手が難しいだろう。バッテリーのような機能をつけとくね。少ない魔力でも、少しずつ魔力を貯めておけばいざというときに、君を助けてくれる。あとは術式もさまざまな魔法に対応できるようなオールマイティな物にしておくよ。」
「ありがとうございます!」
いやいやと首を振る。
「杖は魔法使いにとって大事な一品だ。作らせてもらえて光栄だよ。ちょっと下がってくれるかい?」
さて、と杖職人は杖をふるう。
「最適選択、記録、裁断、混合、蓄積、火水風金土、癒し(ヒール)、生活魔法、戦闘狂、記憶!かの者に最適なる杖を与えん!杖製作魔法発動!!」
次々に木々が刻まれて、さまざまな光が現れては用意された木に吸い込まれていき、最後には様々な木が絡み合ったマーブル模様の杖が残されていた。細かな術式がびっしり杖に刻まれていた。
「さぁ、君の杖だ」
表面の数多の窪みが手に馴染み、心地よい。
「これが私の杖」
「振ってみて」
「うん!」
これが私の新しい杖!可愛らしく、ちっちゃな花火でもあげよう。そいや!
「ミキュキュキュ!!ミギャアアア!」ちゅどーん
あれ?




