杖職人登場
「おらぁ!邪魔するぞ」
ドアを蹴破った。女子中学生がすることではない。
「ひぃいい!」
何やら夜逃げするような格好をした。男の子が一人。よく見るとローブをつけているがうちの制服を着ていた。前髪が長くあまり表情はうかがえない。
かおりちゃんはつかつかと歩いていき、彼を壁際まで押しやった。そして壁に手をつく。
「な、な、な、なんで、記憶を失ったんじゃ?」
「はぁ?」
さらにぐいっと近づく。
「近っ近い、あ、当たって」
「あててんだよ」
かっけぇっす、かおりさん、てか、羨ましいな!あの男!
「きゃー斉藤のエッチー」
棒読みだった。
「いや、かおりが」
「私、襲われちゃうー」
「いや、それはない」
「あ?」
「ひぃぃ!」
あ、胸ぐら掴まれてる。彼が助けを求めるようにこちらを見てくる。ごめんね。私逆らえないんだ
「杖をよこせ!セクハラの慰謝料だ」
「いや、でも、かおりが勝手に、それに、君には、僕が作った杖あげてるじゃないか」
「私じゃねぇよ。こいつらのだよ」
「んじゃあ、終わったら、学校集合なっ!」
かおりちゃんはドアがなくなった店の扉を出て行く。あ、そうだ!学校のどこに行けばいいか聞いてない。
「さきちゃん、ミッキュ 、かおりちゃんに詳しい集合場所聞いてくる」
扉を出て数メートル先にかおりちゃんがいた。
「おーいかおりちゃ・・・ん?」
「恥ずい恥ずい恥ずい恥ずいアーッ!あ、」
耳まで真っ赤にしたかおりちゃんがそこにいた。




