最後の魔法少女
「こ・・・ことわる!」
恐怖で震える体を必死に押さえつけて、目の前の相手に言い放った。
「わらわの慈悲を無下にするのか?」
まゆをひそめる女王の威圧に一瞬たじろいだ。
「お、お姉ちゃんたちが私を逃がすために命を張っている。ここで私がその提案を飲んだらお姉ちゃんたちが何のために頑張ったのか分からなくなる。」
それに、と続ける。
「私をすぐに捕まえないのはそれができない何か理由があるんじゃないの?」
「・・・賢いではないか。ますます気にいった。だが理由を言ってやる義理は無いの」
たすけて。誰か助けて。ああは言ってみたもののやはり怖い。昔の私だったら考えもなしに突っ込んで行き、すぐに殺されていただろう。
かつて零華おねぇちゃんに言われたことを思い出していた。お前の中にはもう1人のお前がいる。その力はお前は無自覚だがきっとお前を助けてくれる。もし私にそんな力があるんだったら今この瞬間に助けてくれ。いや違う。私が助けるんだ。必死になって私を逃がそうとしてくれた人たちの思いに応えるんだ。もう1人の自分に押し付けるんではなくて、この私がこの私の力であいつから逃げよう。だから力を貸して欲しい。お願い!!!
せっかく手に入れた平穏を手放すことになるぞ。ゴミ街での惨めな生活をわすれてしまったのか?
冷酷で無慈悲なお前にもどることになるんだぞ!
いいやならない!今の私には大事な家族がいる!私のために命を張ってくれる人がいる!私は戻らない!前に進むんだ!だから力を貸して五歯、いやツクヨミ!!
「変身!!!」
「変身だと?器よきさまは魔法少女ではないはず」
黒い杖がひび割れ中から白い杖が見える。
顔を上げると魔力のうねりで黒髪が逆立ち、瞳があらわになる。金と銀のオッドアイ。
「私はいつは。まだ名も無き魔法少女。」
瞳に強い意志を宿して言い放つ
「あなたの治世に生まれる最後の魔法少女だ!!」




