カウンターズ隊長『零華』の戦い
黒い杖の発動条件は、深い心の闇だ。白い杖と言うものもあるがあれは神神の代物だ。完璧とも言っていいほどの清い心がないと発動することはない。圧倒的な力を持つが所詮おとぎ話だ。私が考えるに白い杖と言うものは黒い杖の対比として描かれた妄想だと思う。
いいか、黒い杖を使う時は心に振り回されるなよ。こいつは条件さえ揃えば簡単に継承はできるが、誰も使いたがらない。たいていは正気を失うからな。カウンターズ時代ならまだしも、今のお前ではひどく後悔する結果が待っているかもしれない。それでもやるのか。
さちよが問いかける。
野営をしていた場所でカレン以外は眠らされている。さちよはカレンたちについてきたのだった。
「はじめっから私かほのかに何かしようと思っていたのだろ?白々しい。だが乗ってやるよ。」
「散々いろんな人をコケにしてきたお前たちは許せない。その片棒を担いでたとなると吐き気がする。カウンターズの元隊長として、けじめをつけさせてもらう。」
杖に意識を集中させ、心を闇に落とす。強い後悔と憎しみを織り交ぜて、滾らせる。杖はより黒く染まる。絶望感や失望感が追いかけてくる感覚に襲われるが、気力を振り絞って相手に向ける。
「古代魔法限界加速!想像創造対魔外装『新月』対魔剣『満月』!!」
「なんだか、おもちゃみたいな装備ですねぇ!ははははははははは!元零華さまぁ!」
カレンは黙って二本の瓶を取りだし、飲み干す。
「ん、この匂いは血ですか?気持ち悪いですね」
「言ってろ」
中の赤い血はさきとほのかの血。血には魔力が宿る。黒い杖で底上げされてる今この瞬間なら!
「・・・記憶創造竜崎流封印術式改 対魔の鎖」
鎖が鞘に巻かれていき、魔力が変質する。
「ん?」
カレンが刀の柄と鞘を握り態勢を沈める。
「居合・・・・・・『魔滅』!!!」
「・・・へぇ?やるじゃん」
悲鳴をあげる間もなく、狂った悪魔は切り刻まれ封印された。
静かに刀を木の上にいる女に向けた。口からは血が流れでる。身体が軋む。次は奴だ。
「相当無理してるようだけどだいじょぶ?隊長さーん」
「・・・古代魔法限界加速。想像創造強敵喰い(キラー)」
鎧と刀が崩れ落ち、今度は両手持ちの大剣が召喚される。
「・・・古代魔法限界加・・・ごふっ。はぁ、はぁ、・・・限界加速!身体強化烈!!」
木の上にいる奴を切るために飛び上がる。大剣の禍々しさに呪いを感じた零華は、解析を試みる。
「解せ(アナライ)」
「させないっ、ストロベリー・・・シュート!」
最後の魔力を、絞り出し小さな魔法をあてる。一瞬魔法が中断される?
「ちっ、死に損ないが!」
刀が目前に迫り、刀身を見る。回避行動をとるため後ろにバックステップをする。
「想像創造超跳躍」
だがカレンは逃さなかった。さらに加速していく。
「うらあああああああ!!!」
避けきれないことがわかったのか、高らかに言う。
「はははっ!カレン!!どっちが格が上かみせつけてやるよ!!!古代甚大魔法 超爆発!!!
爆炎と爆風が森を突き抜けた。




