黒い杖
「今まで世話になったなぁこれでカウンターズ解散だ」
「せめてもの情けだ。女王にこの場所は教えるまい」
そう言って残りのメンバーは出ていた。
「五葉はなんで狙われてるんだ」
四葉が聞いた。カレンが答える。
「いろいろな理由が考えられるけど、彼女は魔神少女の成功例なの。器としてはこれ以上ないほどの逸材なの」
「魔神少女って?私がなった魔人少女とは違うの」
ミッキュ を踏みつけながら言った。
「魔人少女は魔法生物が身体を乗っ取るけど、魔神少女は神と呼ばれる高位の魔法生物が体の中に共存する状態なの。大抵の魔法使いはその負荷に耐えきれず死んでしまうわ。黒い杖を扱えるほどの魔力がないと」
「黒い杖って五葉が使っていた」
ソフィアが五葉の古代魔法の回復魔法を思い出した。
「そう。黒い杖っていうのは、杖の限界以上の力を引き出している状態のこと。限界を超えているから、はじめのうちは杖の方が壊れてしまうか紙一重なんだけど。ただ繰り返し黒い杖の状態が続くと、古代魔法のような強力な魔法も扱えるような逸品になっていくの。」
「はっはっは!いいことばかりじゃないぜ。杖っていうのは魔法少女の心の状態そのものを表す。黒い状態が長く続くと言う事はそれだけ魔法少女にも負荷をかけるし、大抵の場合は性格が歪んでいく。強力な力っていうのはそれなりの代償があるって言うことだよ。私も黒い杖になる状態はできるだけ避けている。」
さちよが自分の杖を取り出すと
「火種」
杖先に火を灯した。そして杖を黒くしていく。
「古代魔法 火種」
「ログハウスが焼けちゃう!!!」
豪炎にみんながあわてる。
「はっはっは!使ってる魔力は変わらない。ただ杖を強くするだけでこれだけ差が生まれる。黒い杖の持ち主と戦う時は要注意だな。この世界では、女王、零華、五葉ぐらいだろ。なんでこの小娘が黒い杖を持ってるのかは謎だけどな」
「それは・・・」
すこしいいよどむ。
「零華お姉ちゃん、みんなに話して」
五葉が静かに言った。