女王の企み
「あら残念、2人ともまだまだね。わらわの器としては不十分」
まるで商品の品定めをするかのように言った。場所は、女王の間、彼女の私室だ。零華から渡された水晶玉を覗く。彼女にとって子供たちは自分の器でしかない。そのために彼女は何人もの子供産んでいる。しかし、王宮で育てていた後継者たちはある日、惨殺されていたのだ。優しすぎた天馬やソフィアは王宮から煙たがれていた故に郊外にいることも多く、難を逃れたのだ。
「天馬様はずいぶんお強くなられているのですがいかがでしょうか」
鼻で笑う。
「一時とは言え獣の入った入れ物になど入れるものか。臭くてかなわんわ。お、そういえば貴様もそうか。」
零華の笑顔が固まったが、すぐにとりなした。
「魔人少女にも色々なパターンがあります故」
「そうかしら。まあ貴様はできる家畜。手を噛まないうちは、我が庇護下に置こう。ふん、魔人少女たしかに魔力の向上は少し魅力があるが、わらわは強い。美しい女神などなら許せるが、魔法生物など」
ゴートは影に潜みながらも零華の苛立ちを感じた。ああまずそうだ。
「実は女王陛下耳寄りな情報があります。カウンターズに女神持ちがおります」
意地の悪い顔だった。
「ほう?誰じゃ」
「五葉でございます」
零華にとってはたんなる八つ当たりでしかなかったが、女王は目の色を変えた。
「ふ、ふ、ふ。皆に伝えよ。楽しい楽しいキツネ狩りの準備じゃ!森へ行くぞ」




